英雄教室  3 (ダッシュエックス文庫)

【英雄教室 3】 新木伸/森沢晴行 ダッシュエックス文庫

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元勇者ブレイドは108人と1匹と2羽に囲まれ、今日も気楽な学園生活を送って…いなかった!?ブレイドを倒すため最強ガーディアンがクラスに仲間入り。ついに『超生物』敗北か!?ブレイドはアーネストを賭けて国王と決闘をするハメになる。さらには国王の“実戦的訓練”で、混浴温泉や、王国地下食料庫でのサバイバルと、学園のカリキュラムは大賑わい!しかしブレイドにとっては、平穏そのもの。だってもう勇者じゃないし。ここ戦場じゃないし。男子のコイバナあり、女子の友情あり、ローズウッド学園は青春まっさかり。ここに通えば誰もが強くなれる!笑顔になる!元勇者が過ごす規格外の学園日常ファンタジー、待望の第3巻!!
あらあらまあまあ。と、ママさんキャラみたいな呟きを漏らしてしまった、若い子たちの微笑ましい恋のあれこれ。初々しいなあ。恋の何たるか、以前に友情の何たるかも人としての最低限の常識も持たなかった超生物のブレイドが、随分と当たり前の情緒が芽生え始めたじゃないですか。求めよ、されば得られん、かどうかはわからないけれど、普通の人間になりたいと学園に通い始めたブレイドが、こうして本当に「普通の人間」になっていく様子には思わず目を細めてしまう。それが、彼自身の願いと努力の結果、のみならず彼の周りの人達の「優しさ」によって育まれていくのなら、尚更のこと。
まー、その一方で学園の生徒たちはまるごと「普通の人間」の枠から順調に逸脱しつつあるのですがー。未だブレイドは超生物ですけれど、既に他の一般生徒たちも一巻の頃から比べるともう超生物の方に割り振られる生き物ですからー。最初は人間の学園だったのに、最近もう当たり前のように人外魔境になってきてますから。ブレイドに「普通」が教え込まれる一方で、それに倍するスピードでみんなから「普通」とか「常識」とかが消し飛ばされていってますからー。
アーネストも順調に精神年齢が暴落中。その分、見栄っ張りの仕方も幼くなってしまい、ブレイドへの好意の発露も初々しいというか微笑ましい拙さと純粋さでねえ、頑張れ頑張れと応援したくなる次第。もう、かつての「女帝」の様相は欠片もないんですけどねー。でも、より一層優しくなった。
防衛機構の機械端末に過ぎなかったイオナに思いっきり感情移入してしまう所なんかもね。イオナに関しては、似たような境遇だったソフィと反発し合い共感し、友情が芽生え、という過程がまた素晴らしかった。ただの機械から自力で一個の生命として生まれなおし、周りとの交流によって感情が育ち、人として羽化していく。それを見守り、促す周りの連中の優しいこと。
ブレイドに対しても、ドラゴンの子に対してもそうなんだけれど、みんな心からその存在を祝福してあげてるんですよね。超生物なんて言いながらも、ブレイドのことを分け隔てない。それが、どれだけこの人としての常識も情緒も感性も持たなかった勇者という存在を、根本から書き換えていったのか。
彼の中に芽生えた、「恋」という感情はその祝福の結晶みたいなものなんでしょう。ラストの、食材求めての原始人サバイバル、の話なんてその極めつけ、みたいな話でしたし。
こういう「優しさのお話」は、ほんと好きです。
何気に混浴が当たり前になってるけれど、この年頃の男女にそんな環境与えてしまったらえらいことになりそうなんだが、でも実に羨ましいw

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