竜は神代の導標となるか (3) (電撃文庫)

【竜は神代の導標となるか 3】 エドワード・スミス/クレタ 電撃文庫

Amazon
Kindle B☆W


ヴェーチェル領を掌握し、カイは領主にまで上り詰める。郡主の子が領主になった例は皆無。王国始まって以来の快挙である。
だが、安息の時はない。東部一の勢力を誇る領督スコット・クロンダイクが、カイたちヴェーチェル同盟に宣戦布告をするのだった。王国に鳴り響く猛将バネッサ率いる精鋭クロンダイク軍と同盟は激突する。竜に乗る騎士たちが戦場を疾駆し、矛を交える。華々しい英雄譚が幕を開ける! 百戦錬磨のバネッサはやはり只者ではなかった。硬軟を使い分ける戦略に、同盟軍は劣勢を強いられるが!?
親父さんたち、隠居して縁の下の力持ちとして活躍するのかと思ったら、むしろ領主を降りて身軽になった立場で最前線出て将軍として大暴れしてるんですけどw
面白い。味方が増え相対する敵が増え、起こった動乱に能動的に動き出す各勢力の描写が増え、と戦記モノとして巻を重ねるごとにスケールがアップしているんだけれど、それでとっちらかって動きが鈍くなるどころかむしろ物語が水を得た魚のように躍動感を増してるんですよね。この作者、規模を大きくしたほうが活きるタイプなのかもしれない。登場人物が増えるということは、一人ひとりに割く描写が減る、ということなのだけれど、短い描写の中に十分そのキャラの魅力を感じさせるモノが詰まってるんで、全然物足りなさは感じないんですよね。これは群像劇となる戦記モノを描くにあたっては得難い能力である。おかげで、誰これ?という感覚が全然無いうえで、敵味方で一気に増えた人物が一斉にそれぞれ能動的に動いてくれるものだから、物語が跳ねる跳ねる。
新たにぶつかり合うことになったクロンダイク軍との激しい攻防。新たに同盟に参加してくれた領主たちとの交流も含めて、新しい人間関係がどんどん構築され、更新されていくのがまた楽しいんですよね。元々最初に敵同士として戦い、お互いに大切なものを喪った、奪われたもの同士であるシギル家との融和などにも丁寧に描写を割いていましたし。エレナがあれだけ、同盟の要になっていくとはなあ。シギル家のレアさまと言いクロンダルクのバネッサ将軍といい、何気に三十路から四十路の熟女層が充実しているのが侮れない! 一方で、アンドリュー先生のところのパララ姫(7歳)という英邁ロリの鮮烈なデビューもあって、ロリ枠にも抜かりはないという見事な陣容w 何気にヴェーチェル同盟の主だった女性陣はみんなカイではなくて、エレナの方がしっかりと捕まえているあたりが、さすが女王様といったところでしょうか(笑
まあカイの方はエレナがもうゆるぎのない奥様として君臨してるので、そのイチャイチャっぷりに割り込めるのはあの愛人さんくらいだもんなあ。カナはどうなるんだろう。彼女は彼女で相方出てきそうな気もするけれど、今のところはメリダとのツートップでブイブイ言わせる方が忙しいかー。カナの方もエレナと一緒でむしろ女泣かせというか、懐に入って懐くの上手い子だわし。
何気に、メリダがアーロンといい雰囲気になりかけてるのは、なんですか、あっちこっちでロマンスですか!?

若い子供ばかりに美味しいところは持ってかせん、とばかりに親父さんたちが水を得た魚のように
はしゃいで遊びまわるかのように暴れまわってるのは、なんとも頼もしいというか年甲斐もないというか、楽しそうですねえ、お父さんたちw

別の地方で反乱軍相手に暴れまわっている鋼鉄王の勢力の方の描写もまた面白く、場合によってはこっちメインでもじゅうぶんイケるんじゃないか、と思う展開だったのですけれど、キャラが多いということはわりと容赦なくそれを削っていける、という意味でもありまして、彼の脱落にちょっとこれ勿体無いんじゃ、と思わせられたのは、それだけ思い入れ持ってかれてるって事なんだよなあ。
鋼鉄王、今のところはエレナたちとは相容れぬ、という感じではあるのですけれど、当人たちがお互いのことを知り得ていない段階ゆえのことだけに、実際は方向性も似ているので先の未来としては敵対だけではないルートもあるはずなのですが、さてどうなることか。
2巻での期待以上に盛り上がってきてくれて、これはかなりの注目作になってきましたよ。

1巻 2巻感想