神殺しの英雄と七つの誓約<エルメンヒルデ> 1 (オーバーラップノベルス)

【神殺しの英雄と七つの誓約<エルメンヒルデ> 1】 ウメ種/柴乃櫂人 オーバーラップノベルス

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「――みんな、俺の事を誤解してるんだ」
異世界より召喚されし十三人の救世主の一人、山田蓮司(ヤマダレンジ)。
彼は他の十二人と力を合わせ見事に“魔神”討伐を果たすも、その栄誉を捨て仲間と袂を分かち、行方をくらます。
時は流れ、正体を隠し相棒の“喋るメダル”エルメンヒルデと共に旅をする蓮司は、その日暮らしだが穏やかな生活を送っていた。
しかし、彼の平穏は魔術学院の生徒フランシェスカとの出会いをきっかけに終わりを告げる。
オーク討伐を請け負った蓮司たちの前に現れたのは、かつて滅ぼしたはずの“魔神”の眷属で――!?
『七つの制約(エルメンヒルデ)』が解放されし時、最強の英雄が再び顕現する!!
“神殺しの英雄”の称号を得ながら「英雄ではない」と言い張り続ける男の紡ぐ英雄譚、ここに開幕。
なるべく楽に過ごしたい。面倒事はかんべんしてほしい。わりとそんな風に嘯いて楽隠居を決め込んでいる主人公は多いけれど、このレンジくんは妙に実感が篭っていて、実際ダラダラと自堕落な生活を営んでいるのに、親しみを感じてしまいました、苦笑混じりだけれどw
酒飲んでクダ巻いてたり、美人なお姉さんに目移りしたりしているのもそうなんですけれど、本当にダラダラ生活するのを堪能してるらしいところがねえ……羨ましいw
まあこの生活出来るだけぼちぼち稼いで、だらだら過ごすという生活は先を考えると胃がキューっとしてくるので、自分には到底無理なんでしょうけれど、あんまり先のことを心配せずにサボっていられる余裕には嫉妬してしまいますねえ。いざとなればなんとでも出来るから、なんだろうけれど。幾ら自分なんて大したことがない、と自己評価低くても、そんだけ余裕あるんだからまあ……この野郎、って感じですよね、うんw
でも、メダル状態で人型にはならないものの、エルメンヒルデは完全に女房格ですなあ、これ。尻叩いて叱咤激励するタイプの。撫でられて機嫌よくしているあたり、チョロいようですけれど。ってか、人型にならないのにこれだけ正妻感があるのは凄いというか何というか。
でも、うんこうやって嫁さんにちゃんと働けと叱られながら楽そうな仕事をつまんで小銭稼いで、お酒飲んでへらへら過ごす、というのはある意味究極の平和なんじゃなかろうか。堪能してますねえ……。
昔の仲間達、特に年少組は本当にレンジのことを誤解してるっぽいですけれど。ダメ人間生活を堪能してるとはつゆほども思っていなくて、人知れず世直し旅してる、と思っているらしいですけれど。お兄さん、あなたちょっと頑張らないと恥ずかしくて子供らの前に立てないですよ、これw
ただ、子供らに慕われているだけあって、実に面倒見が良い男である。英雄の旅の当時、自分が年長だったというのもあるのでしょうけれど、ツライ場面や大人としての責任が必要な場面では子供たちの前に立って盾になり、一方であくまで自分は引き立て役として縁の下の力持ちに徹していたあたりは、実に出来た大人だったようで。そのわりには、場面場面でイイトコロ掻っ攫っていたようですけれど。肝心な場面にしか役に立たない能力の持ち主であるとはいえ。
仲間とたもとを分かって、などとあらすじに書かれているのでそれこそ決別したのかと思ってたら、仲間連中とはみんなと普通に仲良さそうで、安心した。あまりギスギスしてても、なんですもんねえ。子供というのはできてる子はちゃんと見てるところは見ているもので、レンジ君が敢えてしんどい役回りを背負って自分たちに華を持たせてくれていた、というのをよくわかっているようで、これは随分と懐いて慕っているようで、なんとも微笑ましい。
貴族のお嬢様で魔術師とはいえ才能もなく、外のことなど何も知らない世間知らずのフランシェスカのことも、あれこれと親身になって面倒を見つつ、前のめりにならずに彼女の意思ややる気を尊重して立ちまわってるあたりに、レンジが子供らや仲間たちとどうやって付き合っていたのかが透けて見えて、なんだか微笑ましくなってしまった。フランシェスカ嬢がえらい素直で真面目で聞き分けがよく聡明な子、というのもあるんだろうけれど、告げたことを真剣に考えて、丁寧に受け答えしてくれる様子にはすごく好感が持てたのですけれど、こんな子相手だとそりゃあ親身になっちゃいますよねえ。あの英雄の年少組もこんなんだったのかなあ。
エルメンヒルデとのツーカーのやり取りも含めて、鐘を打てば響くような意思の疎通が滞り無く出来て、レスポンスが素直に返ってくるやり取りというのはキモチイイですねえ。

一方で、かなり鬱陶しかったのがレンジくんが何度も何度もしつこく同じことを繰り返す言い回しですか。主に自分弱い発言なんですけれど、それ以外にももう聞いた、というような内容を何度も何度も短いサイクルで繰り返しつぶやくので、いい加減うんざりした次第。はいはい、聞いた聞いた、もういいから、と何度思ったことか。このあたりはもうちょっと何とかならんものか、とため息が漏れてしまいました。