路地裏バトルプリンセス 4 (GA文庫)

【路地裏バトルプリンセス 4】 空上タツタ/平つくね GA文庫

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「木曜まで……待たなきゃ、だめ?」

避けられない師・灰谷切子との対決に覚悟を決める日月と、そんな彼へ自らの想いを告白する小町。
一方來未は……。

「その銃を模した構えから放つ一撃。もしや、あなたは! 」
日月の知らぬところで『初代魔王少女』に出会っていた! ?
空港での日月の宣言を境に進みはじめた関係の変化。それに皆が戸惑う中で――遂に木曜日は訪れる。
切子との再会、そして《血闘》。日月はそこで彼女が路地裏に現れた目的と、隠されていた衝撃の真実を知る――!

「お前はやはり、次に相応しいわ」

巻き起こる究極の師弟対決!
白熱の路上バトルアクション第4弾! !
前回の感想で「認めてもらいたい」という思いこそがこの作品のコンセプトなんだなあ、みたいな事を書いてたわけですけれど、闘うことで自分を証明し、自分を認めてもらおうという行為は、一方的で合った場合やっぱり通じないんですね。それで、完全に失敗してしまったのが日月と師匠切子との再会だったわけである。
この時、彼は切子のことを理解しようとせず、自分のことも理解してもらおうとせず、ただ今の自分を認めてもらおう、許してもらおうとして、思いっきり拒否られてしまった挙句に、認められるどころか全否定されてしまうのである。
ここでの敗北って、圧倒的な力量差である以上に、日月の心の弱さがもろに出ちゃってるんですよね。この作品、バトルものでありながら実のところ腕っ節や技量云々よりも、重点が置かれてるのは心の在りようというのが何とも面白みを感じるところで。武術は精神修養に繋がる、なんてのを御題目としてしか捉えない風潮が少なからずある中で、十代の不安定な時期や青春模様と絡めながらであるけれど、闘うことで得られる強さを肉体的なものだけではなく、心の強さにこそあるという起点を置いて、それを真っ向から熱い清々しい物語として描き切ったという意味で、紛れも無い逸品だと思うんですよね、このシリーズ。
敗れた日月、打ちのめされ存在を否定され心砕かれた彼を、もう一度立たせ、彼に強さを与えたのは修行でも新技でもなく、これまでの路地裏バトルで経験してきた人の心の在りようの素晴らしさであり、培ってきた人との繋がりでありました。
心の弱さを素直に打ち明けられる親友がいつの間にか居て、前に勧めず立ちすくむ自分の手をまっすぐに引っ張って一緒に進んでくれる弟子が居て、閉じこもろうとする心に寄り添って凍える心を温めてくれて、自分を信じる強さをくれた恋する人が居て。
みんなが日月を認めてくれる。彼の弱さを理解した上で、彼を肯定してくれる。ぜんぶさらけ出した弱さを強さに変えられると信じてくれる。
そうやって初めて、弟子は無敵に思えた師匠の抱える弱さを理解でき、彼女がずっと何を求めていたのかを把握し、弟子として師匠に返さなければいけないモノを知ったのだ。
弟子たる来未を救うため、師匠たる切子を救うため、負けられぬ戦いにいざ挑む日月が纏う決戦装束は、おのが逃げ場たる弱さの象徴であり、今は自らを肯定する強さの象徴、初代魔王少女のコスチューム。

うん、こうしてみると最初から最後までテーマがブレることなく、掘って掘って掘り下げ尽くした、やり尽くした、やってのけた、書くべきを余すことなく描き切ってみせた作品だったように感じます。
そして、小町が実によいヒロインしていた。最初はライバルというか、一緒に戦う役柄なのかと思ってたけれど、結局彼女が闘う場面って殆どなかったんですよね。一方で、日月の傍らでずっと一緒に迷い悩み、そして勇気を出して日月を支え続けた、実にイイ女っぷりでした。まあこれだけ献身的にされたら、惚れるわなあ、男なら。
来未は来未で、最初から最後までこの娘は愛すべき弟子に徹してしまった、というべきか。初っ端に食らいついた日月の根幹に食い込み続けた彼女でしたけれど、だからこそ物語の中枢になりつつ、恋愛パートには一顧だにもしない、ある意味純粋な在り方でした。本人としては、もう一片の憂いもなく、弟子としてご満悦だったみたいですけれど。

次回作も、是非じっくりと内面を描くことを重視した読み応えのある作品、期待させてくださいな。
大変、面白うございました。私もご満悦。

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