男装騎士の憂鬱な任務 (角川ビーンズ文庫)

【男装騎士の憂鬱な任務】 さき/ 松本テマリ 角川ビーンズ文庫

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男と偽り異国の騎士たちと共同生活!?…ってそんな無茶な!!王子の婿入りに付き添うことになった少女騎士オデット。だけど婿入り先の国は「女性はおしとやかに」な風潮で女性騎士なんてもっての外!渋々男装したオデットだけど、さっそく王女付きの美形近衛騎士フィスターに正体がバレちゃいそう!!なんとかごまかしたけれど、剣技大会で決着を付けることに!?「俺が全てを暴いてやろう」オデットの危険だらけの男装生活!!
【アルバート家の令嬢は没落をご所望です】のさきさんの新作は、男装乙女の大暴れ編。実際、文字通り暴れてるんですけれど、この男装騎士さま!
さすがはさきさん、相変わらずギャグの切れ味が抱腹絶倒である。登場人物みんなが一歩ズレていてお互いのポンコツさにツッコまざるを得ないために、ツッコミがスパイラルエンドレス。
中でもやはり他の追随を許さないポンコツなのが、兄オディールの名前を名乗らされることになってしまった主人公のオデットであります。自他共認める脳筋一族の脳筋娘。力こそパワー。攻撃こそ防御に勝り、その戦う姿は野獣のごとし。おとめーー、乙女成分が残ってないですよ!?
いつ自分が女性であることがバレるか戦々恐々としている上に演技できるほどの器用さも持ちあわせていないので、その言動たるやアヤシイの一言で、繕う言葉は棒読みもイイトコロ。バレる、普通なら完全にバレるし怪しまれる!
にも関わらず、一切疑われないオディール氏。ナチュラルに誰も疑ってくれないオディール氏。
一応、王女付きの騎士として関わることになり、何くれとなく一緒に過ごすことになるフィスターが、実に思わせぶりにオディールのことをずっと怪しんでくれていたので、オデットとしてもハラハラしながら頑張って男の騎士を装い、数々の真実を暴かれそうなピンチを危機一髪躱し続けていたつもりだったし、ついに疑惑をつかれ女である事実にどうやら確信を持たれ、言い逃れできない場面で明らかにされそう! と思い込んで、必死に対抗しようとしていたオデットなんだけれど。なんだけれど……。
ラストで明らかになる、幾多の空回りの真実に、もう笑ってしまうやら仰け反ってしまうやら。
さて、女性としては疑われるのも立場上ヤバイんだけれど、まったく疑って貰えないというのも虚しいを通り越して、笑うしか無いよねw
まあわりと最初の反応から、フィスターが何を疑っていたのかについては察しがついてたんだけれど、まさかオデットの方も全然気づいてなかったとは思わなかったんで、いやもうどんだけ男らしい生活してたんだ、とオデットお嬢さんw フィスターもこれ、なんだかんだでポンコツだわなあ。

一番笑ったのは、やはり知らないうちに故国の方で得体のしれないナニカになっていく本物の兄オディールから送られてくる這い寄る混沌レベルの手紙でありました。
なまじ、あっちの描写がかけらもなく、送られてくる手紙の内容からしか様子が伺えないのが、余計恐怖をソソられて、もう笑えて笑えて。想像が羽ばたくね♪
オデットも、まあガチで現実逃避してしまうにも無理ないなあ。予兆はなかったのか、予兆はw
これだけポンコツコメディをかましているのに、よくまあラブコメの体裁をなんとか整えられたものだ、とむしろ感心してしまうほど。あとがきによると、ほっとくとひたすらコメディの方に偏ってしまっていたみたいなので、いやむしろ偏れるだけ偏ればよかったのに、と思わないでもなかったのですが、少女系レーベルだと多少はラブ成分を入れないといけないのかな。さきさんは、キャラが温まってからの方が、じんわりと良いラブコメ書かれる方なので、むしろ続きがあったらこっからの方がそちらの分野も楽しめるんじゃないかと。
というわけで、続編希望。

さき作品感想