異世界魔導古書店 ~チート魔力あるけど、まったり店員することにした~ (ファミ通文庫)

【異世界魔導古書店 ~チート魔力あるけど、まったり店員することにした~】 年中麦茶太郎/夕薙 ファミ通文庫

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地球最強の異能者『勇者』タクトは魔王を倒した瞬間、異世界に転生してしまった!運よく古書店を営む女神クララメラに育てられ14歳になったタクトは、前世から引き継いだ能力を使い、危険な魔導書を仕入れたりと古書店を切り盛りするようになっていた。そんなある日。銀髪の美少女セラナが店を訪れる。魔術学院の生徒として抜群に優秀だが、かなり抜けている彼女に興味を持ち、タクトは依頼を受けようとするが―。最強古書店員の異世界冒険譚、開幕!
セラナさん、ポンコツ可愛いよ、アホ可愛いよ! 表紙絵だと、銀髪のクールで知的美少女っぽく見えますが、これは詐欺です。これって、もうセラナさんを愛でるための物語ですよねえ。
すごい素直で良い子なんですけれど、穏当な表現に終始するあらすじですら「かなり抜けてる」と称されるだけあって、セラナさんの愉快な自爆っぷりは笑えるわ可愛いわ。当人、へこたれないのもあるんだけれど、前向きで明るいだけに、数々の失敗もぜんぶ可愛げになるんですよねえ。反省しないアカン子じゃなく、努力家でネガティブにならない応援したくなる子、というのもあるんでしょうけれど、それ以上にいじり甲斐があるというか。主人公、わりと大人気なく子供か! というようなちょっかいやらイタズラやらセラナにして構いまくるんですけれど、その気持もわかるんだよなあ。反応が素晴らしいんですよねえ、いじった時の反応がもうこれ、もっとやってもっとやって、と言ってるみたいに夢中になる、中毒になる。
それでいて、ちゃんと教えれば教えるだけ吸収し、めきめき成長していってくれるから、構い甲斐もあるんですよねえ。実際、天才少女なんですよ。天才だけに、一本どころじゃなく抜けてしまってる部分もあるのでしょうけれど。でも、これだけバンバン他の追随を許さない成長をしながらも、増長もせず謙虚だし、素直だし、なついてくるし、ワンコみたいに懐いちゃってるし、可愛いし。これ重要、アホ可愛いし。
この二人の和気藹々としたやり取り含め、ポンポンとリズムの良い掛け合いはホント楽しかった。気楽に楽しむぶんには十分なんじゃなかろうか。
一方で、物語としての盛り上がりには若干かけるかなあ。これは、ウェブ小説発信にありがちな特徴なんだけれど、一冊の本としての構成として捉えるとメリハリに欠ける部分がどうしても浮き彫りになってしまう。かと言って、無理に起伏を取り付けても変な構成になって全体の印象が損なわれてしまうので、よっぽど上手く再構成するか、敢えてそのまま投じるか、なんですよね。
ゆるゆるとセラナさんを弄ってポンコツなイチャイチャを楽しむ分には、これでいいんじゃないかなあ、と思ったり。それだけ、セラナさんおもしろ楽し可愛かったので。ので。
この娘、何気にドキッとさせられる無防備な発言をポロポロこぼしてくるので、侮れないのよ、うん。