天空監獄の魔術画廊 (4) (角川スニーカー文庫)

【天空監獄の魔術画廊 4】 永菜葉一/八坂ミナト 角川スニーカー文庫

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奇跡の島『天空の大監獄』―そこには魔王の血肉と、恐るべき魔術が込められた600枚以上の『魔王の絵画』が封じられている。天空の大監獄に閉じ込められ、看守の任を与えられたリオンの下にやってきた新しい囚人、それは昔からの知り合いで吟遊詩人の少女・ユフィリアだった。リオンの過去を知る人物が加入したことで、女の争いは一層過熱することに。そんな中、リオンの企みを阻止するべく激しい襲撃を仕掛ける敵が現れて―!?
本気触手責めキターー!! しかも、主人公がヒロインを魔獣を使って触手責めするという鬼畜的所業! もうやりたい放題ダナー。
そもそも、幼なじみ的少女を既にヌードモデルで全身舐めるように堪能済み、という時点で凡百の主人公と一味も二味も違うのですけれど、これまではトラウマ紛いの欠落が原因の鈍感さによってリオンって性的な欲求が全部画狂のそれに変換されてしまっていたので、羨ましい境遇も致命的なところには至ってなかったんですよね……いや、その鈍感さが既にユフィリアには致命的な展開を催してしまっていたのですけれど。
ともあれ、前回シスター含めてみんなの奮闘によってリオンの欠落は埋められて、彼の男性としての感性は鈍感から脱することに成功したのですが……。
レオナやキリカに対してドキ・ドキしている間は良かったのですが、途中から変な具合に突っ走りだして、フィーネを弄りだしたときにはもうどうしようかと。
フィーネはフィーネで雌豚扱いされて、喜びだすし。これだけやりたい放題やるくせに、リオンってば本質的に一人しか選べない男であるなんてことになってしまったので、本命のレオナとキリカはともかく、三番目のアネットとフィーネはどうするのかと思ってたんですよね。アネットは色々と割りきってましたけれど、四番目扱いのフィーネは本人は諦観してるもののちと可哀想だなあ、と思ってたのですが全然可哀想じゃなかったし。むしろ、ペット扱いされて雑にあしらわれて悦んじゃってるし。一生雌豚として大切に支配してやるとか言われて完落ちしてるし。なぜそれで落ちるw
色んな意味で、アネットが勃興した魔王ハイレイン教の布教が順調に進んでる、進んでしまってる!!

ともあれ、ついに脱出のための手段が揃い、天空監獄の脱獄作戦を決行するリオンたち。ところが、その計画は筒抜けもいいところで、結構開始寸前から全看守と囚人に追撃指令が出されるしっちゃかめっちゃかの逃走劇に。そして、立ち塞がるは完全にノリで邪魔しに来た監獄王ヴァレリアと、リオンを叩き潰すために狂乱したハイネ。
人生楽しそうなヴァレリアさんはともかくとして、狂ってしまったハイネが哀れでねえ。彼は、もう一人のリオンだと言われるのもうなずけるところで、多分最初にレオナを失っていたらリオンの魔王化はこんな方向で進んでいたんでしょうね。尤もリオンがこうなる可能性というのは、現在進行形であってレオナとキリカ、アネットとフィーネ、今この四人の誰かが犠牲になったりしたら、あっさりこの主人公、転変してしまいそうなくらいには危なっかしいというか、情が深い。情が深いからこそ、なんでもするし、どんな手段でも取るし、自分すらも追い込んでいく。まあ、女性陣からすると目が離せないタイプなんだろうなあ。
それでも、リオンやハイネは常識枠なんだろうなあ。完全におかしいのは、むしろキリカさん。この人、確か登場時はもうちょっとまともな女騎士だったと思うんですけれど……。
「ひゅんひゅんっ、ぎゅいーーんっ!」
どこのアラレちゃんだよ! と思うような斬撃の掛け声とともに暴れまわるこのパッパラーポンコツ騎士。いやもうこんな「ずんばらりん」ってな感じで斬りまくるって、一人だけ世界観違う! 無敵すぎる!
どうやらこの手の「オカシイ」人というのは割りと一定数以上いるらしいのはラストに明らかになるんだけれど、それでもキリカの無敵っぷりは頼もしいなあ。何故か、戦っている時の頭の悪そうな様子がどんどんえらいことになってる気もするけれど、もうポンコツっぷりは普段から酷いことになってるから仕方がないか。

ユフィについては、えらい中途半端な時期から加入してきたなあ、とは思っていたものの、下にいる頃からの知り合い、しかも同じ師匠から学んだ妹弟子で、しかもプライベートでも結構ゴニョゴニョな関係だった、と最初からある程度以上に親密だっただけに、後半加入でも仲間となるには巻き返し可能なのかなー、と思ってたのですが、彼女の動向に関してはかなり思いもよらぬ展開に。
いやでも、欠落が埋まったリオンの変化はきっと喜ばしいことなんだろうけれど、芸術家として空隙を埋めるように良識も放り出して狂奔していた姿にこそ魅力を感じていた、という人も居てはおかしくはないはず。
ある意味、もう自分の知っている、自分のものじゃなくなってる兄弟子に、決断を下したユフィのそれは未練がましさのないキッパリとした性情で、なんかスッと腑に落ちるものがあった。ユフィはそれでいいよ、うん。

さあ、ラストに待っていたのはどんでん返しにさらに大ドンデン返し、の挙句に怒涛の盤外からの降って湧いたようなサプライズ。クライマックスは、今まで以上にド派手な騒ぎになりそうだ。
リオンが、誰を選ぶのかも含めて、きっちり最後まで楽しませて貰えそう。

シリーズ感想