ノーブルウィッチーズ (4) 第506統合戦闘航空団 暗雲! (角川スニーカー文庫)

【ノーブルウィッチーズ 4.第506統合戦闘航空団 暗雲!】 南房秀久/ 島田フミカネ 角川スニーカー文庫

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負傷から回復した那佳は通常任務に戻るが、突如として魔法力が消失してしまいネウロイを撃ち逃してしまう。困惑する那佳へ医師が診察にあたるも、依然としてスランプの原因は突き止められずにいた。一方、ロザリーは将軍暗殺を目論む機関の計画を知り警護を申し出るが、突如部隊のレーダーは妨害され更にはネウロイまで出現し…!?ちょっぴり守銭奴な魔女がガリアとロマーニャの空を暗躍する!異色の部隊、暗雲漂う第4弾!
ちょっぴりじゃないよ、那佳ちゃんの守銭奴っぷりはちょっぴりどころじゃないよ!! もう筋金入りの鉄筋仕様だよ!
前回のスパイサスペンスばりの追跡劇で瀕死の重傷を負った那佳ちゃん。体は回復したものの、いきなり戦闘中に魔法力が消失してしまう状態になってしまい、出撃できなくなってしまう。
普通なら原因不明の不調に見舞われたら落ち込んでしまうものなんだけれど、那佳ちゃんってば表面上はずっといつもどおりの明るさなんですよねえ。それでも、プリン姫なんかはかなり深刻に心配してしまっているのだけれど。この姫、ほんと那佳ちゃん大好きなのよねえ。
でも、那佳ちゃんがずっと明るいものだから、部隊のみんなも心配はしながらも必要以上に暗くなったりはせずに様子を見よう、という雰囲気で居られたわけで、もしここで那佳が落ち込んでしまっていたりしたら506の空気はどれだけ淀んでしまっていたか。本気で心配したプリン姫が一度、那佳を部隊から遠ざけようとした時以外は、ウィッチとして働けない状態の那佳だけれどとりあえず居ればいいから、みたいにして誰も離そうとしなかったのは、彼女の存在がまさに506の要だとみんなわかっていたからなのでしょう。
だいぶ親密になってきたチームで、あのプリン姫ですらBチームの面々にも気をかけるようになってきた……今回なんぞ、ジェニファーが夜間戦闘用の武装のデモンストレーションの為に模擬戦で主役を務めることになった時も、プリン姫が陰に回ってフォローしてたり、と全体的に打ち解けてきた506ですけれど、それでもこの上手く回るようになってきた人間関係の扇の要が那佳であることは、誰しもが理解してることですからね。もし彼女がいなくなったら、果たしてAチームの中ですらちゃんとまとまるかどうか。那佳ちゃん居ないと、プリン姫すぐにピリピリし出すし、アドリアーナ大尉だってグレるだろうし。

果たして那佳ちゃんがどこまでそういうのわかっているか、多分当人まったく考えてないんだろうけれど、それでも無意識か本能的か、ムードメーカーとしての自分の重要性をこの娘は承知してるんでしょうね。
でなければ、どれだけ脳天気だって自分が役立たずになってしまったら多少はへこんだ様子を見せてしまうでしょうし、彼女のスランプの原因……ラストに明らかになったそれを見ると、黒田那佳は決して心が傷ついたり苦しんだりしない強いだけの娘じゃない、痛みを感じ恐ろしさに怯え罪悪感に苛まれる、体に変調をきたす程に心をきしませる普通の女の子なのが分かってしまっただけに、そんな内面をおくびにも出さなかった、というのは、周りの人間にまったく気づかせなかった、というのは翻ってやっぱり尋常じゃなく強い子なんだなあ、とより一層思うようになったのでした。ほとほと感心させられた。
ホントなら、表に見せる様子と自分でも気づかない内面の軋みとの差異は、将来的に壊れないか心配になってしまうところなんだけれど、那佳については不思議とそういう不安感を抱かせないんですよねえ。面白い子だなあ。
あんまり戦闘面では無茶したりする子ではないのだけれど、やっぱり銃じゃなく近接武装でネウロイやっつけちゃうあたりは、この娘もいわゆる「扶桑の魔女」である。でも、名槍「扶桑号」はほんとに名品なんで、そんな雑な扱いしないでー。物干し竿にしないでーー!

今回も、一人ひとり部隊のメンバーにスポットをあてて話を広げてましたけれど、一番興味深かったのはやはりBチームの隊長であるジーナ・プレディ中佐でしょう。
数あるウィッチの中でも、この人ほどガチでプロっぽい人は他にどれだけいるだろう。幼少時から、ネイティブリベリアンの達人のもとでサバイバル技術と戦闘技術を学び磨いていたって、合衆国の兵士としてはまず最強にあげられる履歴じゃないですか。
この人に関しては、あがりを迎えて魔力を使えなくなっても関係なく戦えそうな気がする。なにより、ジーナ隊長のかっこよさは尋常じゃない。ほんと、この人は語られれば語られるだけ格好良さが上積みされていく感じ。まったく、どこまでイケメンになっていくんだろう。

シリーズ感想