この素晴らしい世界に祝福を!スピンオフ この仮面の悪魔に相談を! (角川スニーカー文庫)

【この素晴らしい世界に祝福を! スピンオフ この仮面の悪魔に相談を!】 暁なつめ/三嶋くろね 角川スニーカー文庫

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Kindle B☆W
アクセルの街の裏路地にひっそりとたたずむ『ウィズ魔道具店』は商才ゼロのダメ店主、ウィズのせいで常に経営難である。元魔王軍幹部で地獄の公爵―今はしがないバイトのバニルは『先を見通す』能力で冒険者たちの相談屋となり、報酬を得ようと考えるが―。バニルとウィズの出会いがついに明らかに!書きおろしエピソードも収録のスピンオフ!!
やっべえ、ほんまにおもろいわ。コメディ・コントの切れ味たるや、キレキレも良いところで、これはもう完全に一番ノリノリだった頃のそれに戻ったか、それ以上の充実を感じさせるテンポの良さですよ。
主人公のクズマさんがチラチラと名前が口端にのぼるくらいで登場せず(めぐみんとダクネスも)、全編バニルが主役で進むスピンオフ。時系列的には本編最新刊とほぼ変わらない時期なのか。
この悪魔の大公爵たるバニルも、カズマに負けず劣らずの状況を引っ掻き回して煽り倒すスキルの持ち主だけに、大概みんなひどい目に合うのですけれど、最後にバニル自身もウィズとアクアに台無しにされるので収支としてはトントンなんだよなあ。
ウィズ一人だけでも赤字をどこからともなくひねり出す錬金術士なのに、アクアという触媒を介在すると途端に桁が2つ3つ跳ね上がるという、ここでも大迷惑な駄女神さま。別にアクアって、カズマが関連するところでだけダメなわけじゃなくて、根本的にあかん子なのである。完全にカズマが保護者扱いww 何かあると、引き取りに来てもらえと呼びに来られるカズマさんw


【第一話 相談屋はじめました】
バニルとダストに絡まれるゆんゆん。もうやめてあげてよ! がオーラスで繰り広げられる、ある意味惨劇の幕開けである。いやもう本当にやめてあげてよ!!
以前めぐみんに言われた、友だちになってあげると言い寄ってきた悪い男に引っかかって身を持ち崩していく、パターンを露骨に踏襲していくゆんゆん。自覚があるのに逃れられないこの悲劇ww
いやしかし、カズマも大概だけれどダストのこのクズっぷりも見事だなあ。このチンピラ、本当にキャラ立ちまくっている。いや、キャラが立ってない人なんて基本この作品、居ないんですけど。


【第二話 従者はじめました】
お忍びでアクセルの街を訪れた某お姫様一行の世直し行脚。こうして外から来た人の目から見ると、現状のアクセルの街がどれだけイカレているのか、如実にわかってしまう。
それはもう、作品内では一番まともに近い常識人の魔術師クレアさんが、極々常識的な振る舞いや反応をすると、この街では「もっと常識をわきまえてくださいよ」と苦言を呈されるほど。町の人にこいつ大丈夫か? と白目で見られるくらい。
大丈夫じゃないのはあなた達だ、という女史の悲痛な叫びはどこにも届かない。
ってか、街の近所で爆裂魔法炸裂させてたら衛兵の人にめぐみんが怒られてたのも随分昔の話になっちゃったんだなあ。未だと、凄まじい爆音と地揺れが起こっても誰も気にしないレベルになってしまっている。
ああなるほど、震度3くらいの地震で大騒ぎする外国からの旅行者なんかを見る目というのは、こういうのなのかー。逆に外国人からはこういう風に見えるのかもしれない。
まあ、わりとイリス様もレイン某も街に適応してしまっている気がするのは、あれだな、某主人公の悪影響をウケてしまったせいだな。
あと、冒険者たち、普通にララティーナ呼びやめてあげてよ!! もう全員、普通にララティーナ呼ばわりじゃない、やめてあげてよ!!


【第三話 受付嬢はじめました】
これは酷いっ、だからもうやめてあげてよ!! って、やめてあげてばっかり言ってる気がするが、バニルは基本行動がそう叫んでしまうことばかりするからなあ。なんという鬼畜!!
でも、何気にバニルさん、モテるんですよねえ。あれ? もしかして概ね末期的なダメヒロインにモテてしまうカズマさんより、バニルの方がまともな女性にモテてないか!? ポンコツなところはあるとはいえ、ウィズも性格は良いですし。サキュバスたちはみんな献身的な女性ですし。そして何より、受付嬢のルナさんですよ。面倒見が良くて働き者で聡明で、とこの作品内でも屈指の良質な女性ですよ!?
しかし、バニルにもちゃんと仮面の下の顔ってあるのか。仮面が本体だろうに、ルナさんに悪魔でもいいからと言わしめるのは相当だぞ!?
いやでも、素顔を抜きにしてもあれだけの残虐行為を働かれながら、その後愚痴飲み会にバニルを付きあわせてるあたり……。


【第四話 用心棒はじめました】
やくざ者の悪党たちがアクセルの街を食い物にしようとしたら、アクセルの街の頭のオカシイ人たちに寄ってたかってひどい目に合わされる話。だめだ、こいつら本当に頭オカシイw
警備会社を名乗って無理やり店舗などに契約を迫り、強引に金をむしり取っていくミカジメ料の巻き上げみたいなものをやらかそうとした連中であったが、そんな常識的な詐欺寸前の行為など常識を踏み外した頭のおかしい人達には通じない!! まったくこれっぽっちも通じない!! 恐ろしいのは、めぐみんとかダクネスがやってたっぽい頭のオカシイ対応がまだまともに見えるところで……。
ダストとゆんゆんのマッチポンプ詐欺とか、本当に酷いんですけど!! そして、ダストの逮捕率がすごいことに。こいつ、この本の半分くらいは獄中だったんじゃないかw
まあ一番頭がオカシイことをしているのは安定のアクア様なのですが。
直接描写はされていないが、今回カズマさん、シリーズ史上最大の怒髪天状態に。今後も、これだけカズマさんがブチ切れる機会はないでしょうなあ、うんうん。


【最終話 リッチーはじめました】
生前はかなり名の知れた、人間の中の最強論争の中にさえ名前があがるくらいのアークウィザードだったというウィズ。その彼女がどうして死霊の頂点たるリッチーになってしまったのか。その過去を語る物語であり、ウィズとバニルの出会いの物語でもある。って、ウィズがリッチーになったのって、思いっきりバニルが関係してたんかい!
おお、人間の頃のウィズって、今のぽややんな温厚そうな性格と違って、クール系の雪の魔女なんて言われる冷静美人だったのか。
それが、煽り系最強のバニルに挑むようになって、身を持ち崩してしまった、と。悪い男と出会って身を持ち崩す系の女性、この作品多すぎますなあ。いや、元からそういう素質があるからこそ、なのですけれど。
ただ、ウィズが人間だった頃から彼女はバニルのお気に入りの中のお気に入りだったわけか。何となく、今も二人が一緒にいる、その仲の良さというか気心の知れた関係、のはじまりが此処にはあって、いいコンビじゃないですか。
ラストシーンは、予想外にいい話になってて、うん良かった。……でもさ、残り時間が少なくなってみんな思い残すことがないように一日一日を大切に生きてたって、ブラッドとロザリー、その結果がラストシーンのあれだとすると……うんうん、思い残すことがないように盛り上がったんだろうなあw