電波な女神のいる日常3 (講談社ラノベ文庫)

【電波な女神のいる日常 3】 望月唯一/しもふりおにく 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W
二学期が始まった九月。夏休みのチア勝負の余韻が残る中、セレナに一つの依頼が入る。夏祭りでの彼女の演奏が、今をときめく超一流アイドル・星庭天音の目に留まり、彼女のステージメンバーに選ばれたらしい。プロのミュージシャンと繋がりを持つのは、布教活動的にもプラスになるだろう。そう思ってOKしたセレナと俺だが、アイドルらしく自由奔放な性格の天音に俺は振り回されてしまう。さらに、俺はとあることに気づく。天音がふとしたときに見せた、身体を纏う光。それは、セレナの魅了の力と同じもので―。「私が一番安心できるのは、智希君だから」電波な女神様、ついにアイドルデビュー…!?ハートウォーム学園神様ラブコメ第三弾!

この主人公、ちょっと女の子とのコミュニケーションの距離感が近すぎやしないか!? 言動が友達としての一線を自覚なく越えすぎてるような気がする。え? そんなセリフ言っちゃっていいの? とぎょっとするようなことも割と平気で口にしちゃってるし。
言われる方の女の子、セレナも美桜もそしてこの巻で親しくなる天音も、勘違いするような娘じゃないんだけれど、これだけプライベートスペースに踏み込まれると、そりゃ覚悟完了しちゃいますよ。それぞれ、傑物と言っていいくらいの女傑なだけに。
むしろ、これだけメンタル的に自立して相手と対等たろうとする女性じゃなく、もっと勘違いしやすく寄りかかるタイプのヒロインだったら、修羅場がえらいことになってた気がします。ってか、みんなここまで踏み込まれて、関係性がはっきりしない状態をそれでも良し、と受け止めてくれているのは相当甘いと思うんですけどねえ。
美桜にしても、フェアプレイ精神がすぎるんじゃないだろうか。距離感が、もうそれ恋人じゃないとダメだろう、という状態にも関わらず、そのまま引っ張りながらセレナや天音とも似たような距離感で接し続けるというのはけっこう酷な話ですよ。
この巻を単体として見る限りでは、星庭天音というヒロインの魅力を丹念に掘り下げた、その発端からセレナに触発された問題の発生、そして解決に至るまでのドラマは見応えたっぷりで実に面白かったのだけれど、シリーズ全体を通してみると、どうしてここで新たなヒロインにそこまで労力を傾けなければならないのか、という不満も生じてくる。今回、美桜はほとんど蚊帳の外で支援者として立ち回りながらも本編にはほとんど絡んでこなかったし、これがシリーズ最終巻となると尚更にヒロインとの関係を構築するだけ構築して、結局決着をつけないまま、というのもすっきりしないものがあるじゃないですか。
ってか、どう見てもド本命が美桜にも関わらず、セレナとの関係も精算しないまま継続し、そこにさらに天音という新要素も加えてしまって、収集つかずですよ。これ、女性三人ともマジな上にガチなんですよね。だからこそ、今のところ均衡が保ててるといえるのかもしれないですけれど、逆に言うといざ崩壊した時の修羅場がそこらへんのチョロいヒロインどころじゃなくて、ガチの泥沼の戦争になりかねない恐ろしさがつきまとうわけで。
ある意味ここでぶん投げたのは、賢明だったのかもしれない、とすら思ってしまうと同時に、その後のライトノベルらしからぬ本気の修羅場も見てみたかったという怖いもの満たさもくすぐられるところであります。
ちょっとこの作者さんに関しては、ヒロインひとりに絞ってのガチのラブストーリーとか見てみたいなあ。

シリーズ感想