聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 15 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 15】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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石動が校長となって初めて迎える新学年。戦力増強のため刷新された学園システムの目玉『学内総当たりリーグ戦』も大詰め! その優勝者には、ランクA昇格を賭けた石動校長への挑戦権が与えられる。
果たして、舞台に立つのは、
「邪魔はしないでよ、モモ先輩! 」
「サツキこそ足引っ張るなってば」
サツキ&春鹿の現・学園最強白鉄コンビ! それぞれ諸葉の教えを胸に、不撓不屈の精神で遥かなる高みを目指す!
だがその裏でヂーシンが石動に接近。ひたむきに強さを希求する男が闇の中で交わした『契約』とは?

「――僕は灰村君を越えたい」

届け、邪を払う刹那の閃き!!
信念と友情が燃える、疾風迅雷の学園ソード&ソーサリィ第15弾!!
石動先輩、かっけえなあもう!! 当初から闇堕ちしそうな気配をプンプンと漂わせながら、それでも鋼の意志と生真面目さ、一本気通った性格と克己心で踏みとどまり、真っ当な努力を持って成長を続けていた石動さん。しかし、並のAランクでは足元にも及ばない強者となりながら、超越者の壁は厚く高く、彼は何度も無様に這いつくばり、勝者から見下されながら血反吐を吐くような悔しさに咽びながら、無力に涙することになる。
そう、誰にも慕われ、信頼され、諸葉からも絶大な敬意を寄せられている石動先輩は、無残な敗北者であり続けていたのだ。
彼の強さへの希求は飢餓感に等しいもので、度重なる敗北と大きな強さの壁の存在は、求道者的な在り方ゆえに余計に彼を追い込んでいく。
そう、ここであっさりと闇堕ちしてしまうのなら、所詮石動さんもそれまでの人……というには、今までずっとかっこよくそれ以上に気持ちの良い人であり続けていたので、いつか絶対に来る展開だったとはいえ、どうなってしまうのかとハラハラしていたのですが……。
参った、この人は想像以上の人だった。まだまだ、全然分かっていなかったよ。なんて欲張りで、皆の信頼を裏切らない人なんだ。友人である丈弦先輩のほうがやっぱりこの人のことをわかってたよ。
まさか悪魔の誘惑に乗ってしまい強くなるためなら手段を選ばない! としながらも、だがそうやって得た強さをどう使うかはこっちの勝手だ! とばかりにパワーアップするだけして、力さえ得ればお前は用無しだ、とばかりに動いてしまうとは思わなかった。ってか、そのやり口は普通悪者サイドのやり方ですから。裏切り者とか反逆の弟子の行動パターンですから!!
これを主人公サイドでまんまとやってしまう人がいるとは、この展開は想像の埒外だったよ!
普通の闇堕ちする人は、強さを得るために他のすべてを捨ててしまい、自らが強くなりたいと思った理由を見失って、暴走或いは悪の手駒になってしまうというパターンなのだけれど、この石動先輩という人はもうこれだけ強さを渇望しながら、どうして強さを欲するか、の部分に関しては巌のごとく頑なに揺るぎなく見失わないんですよね。だからこそ、強くなるために手段を選ばなくても、道は見失わない。
いや、カッコいいですわ。これほどがむしゃらに、常人の壁を努力で突き破った人は滅多ないですよ。マジカッコいいですわ。
それでも、S級であるジーシンの壁はまだ厚かったのですけれど、今までと同じように打ちのめされ、地面に這いつくばらされながら、今までと違い今度はついに自らの力で立ち上がり、自らの力で届かないはずの敵に拳を届かすことが叶った。あれほど明確に、壁を突き破った瞬間が描かれたことがあっただろうか。
シリーズ15巻という長きに渡る積み重ねがあったからこそ感慨深い、そこで描かれ続けた石動先輩の葛藤と慟哭がついに報われた瞬間である。そして何より、常人の側であった人がついに超人の域へ努力と意思の力で到達した瞬間である。名実ともに、石動先輩は諸葉たちと同じステージへ這い上がってみせたのだ。
もうね、カッコいいですわ。男惚れですわー。
この人の凄いところは、あれだけ強さを求めながら、その求める強さを持っている人に対して一切嫉妬しようとしなかったところなんでしょうね。悔しく思い続けながら、しかし妬ましくは思わなかった。その高みに至りたいと願いながら、その高みに居る人を自分と同じ位置に引きずり下ろしたいと思うことはなかったのである。
ただただ、自分がその高みたるステージに上がりたかった。そこに居る人に憧れた。これぞ、求道者というものだったんでしょうなあ。

そして、彼のそんな克己心は彼ほど凄まじくはなくとも、彼の後輩たちに着実に伝わり、感化し続けている。春鹿の成長しかり、サツキのあの悔し涙もまた然り。
主人公たる諸葉の圧倒的な存在による牽引だけでは、ここまで学園全体の雰囲気が向上したりはしなかったでしょう。強すぎる彼におんぶに抱っこになってしまい、さて他の生徒たちが果たして戦力となり得たか。
まー、なんにせよ今回ばかりは石動先輩オンステージの主人公回と言わざるをえないでしょう。もうこの人が全部持ってっちゃったもんなあ。どうやら、石動先輩の戦い、彼の得た能力を目の当たりにしたことをきっかけに、ある意味頭打ちだったレーシャも、どうやらヒントを得てパワーアップフラグが立ったみたいですし。
相手方は強力だけれど、静乃がマジモード入ったのも含めて、味方サイドの底上げがだいぶ叶ってきた感じだなあ。
にしても、静乃さん、びっくりするくらいサツキと打ち解けだしたなあ。打ち解けたというより、甘やかしだしたというか、可愛がりだしたというか。弄り方にラブが感じられるようになってきたぞw

シリーズ感想