セブンスターズの印刻使い3 (HJ文庫)

【セブンスターズの印刻使い 3】 涼暮皐/四季童子 HJ文庫

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バイトの為に訪れた迷宮で襲い掛かってきた《七曜教団》の《木星》アルベルを退けたアスタは、離れていた仲間と合流して事態を把握すべく、迷宮のさらに奥へと進む。
そして、そんな彼の前に立ちはだかったのは、先ほどまで一緒に冒険していた同級生・ピトス=ウォーターハウスだった――。

本格異世界ダンジョンファンタジー、激動の第3巻! !
このジャケットデザインは好きだなあ。ピトスの初登場時は、治癒術師でサポート役という役回りもあり、自己主張も少なく穏やかに笑ってるような大人しめのキャラクターに見えたのが、バリバリの武闘派だったのがよく分かる勇ましいイラストじゃないですか。
未だメンバーの大半が登場していないアスタの元仲間たちである【七星旅団】のメンバーも世間的にも知られている事は少なく謎多き存在なのですけれど、学園組に当たるピトスたちも何気に大概謎なんですよね。ピトスからして、学園生としては埒外なほどの戦闘経験の持ち主で明らかに修羅場慣れしているという。シャルに関しては、むしろ当人のほうが自分の出自についてわかっていないのですが。魔法使いアーサー=クリスファウストの娘、を自称しながらその詳細を全く知らない、という。
ともあれ学園第二学年四傑のレヴィ、ピトス、シャル、ウェリウスの四人は、こうしてみるとアスタと同世代というだけあって、物語の主役格でありヒロインなんですよね。むしろ、七星旅団のメンバーはRPGで言うところの前作の主人公たち、みたいな役回りなのかもしれない。まあ、メロは年少組ということもあってバリバリに絡んで来てますけれど。彼女もまた成長枠だしなあ。あとは、フェオもこれ今後も深く関わってくるので……主要メンバーこうしてみると多いなあ。最後に現れた彼女もそうですしねえ。逆に、最初まるでメインヒロインのように登場したレヴィが一番出番少ない、という。ウェリウスなんて、最初のダンジョンで痛い目見てフェイドアウトするいけ好かない増長した貴族キャラ、と見せかけて、レヴィなんかよりもよっぽど出番ありますもんねえ。

さて、ウェブ版を先に読んでいるとピトスの事情や過去についてはだいたい明らかになっているので、この時のアスタとのやり取りを見ていると色々と気づくこともあって、面白い。彼女の正体を知ったあとだと、会話の内容や反応でけっこう「おっ!?」と思う部分があるんですよね。こういう所なんぞは、再読の楽しみである。
優しげに見えて、情の深いというか怖い女性だからなあ、ピトスって。こういう穏やかな言動を装いつつ、急所をグリグリと捻ってくる押しの強いキャラは好みなのでいいんですけれど。それに、アスタっていつ如何なる時も血を吐いて怪我しまくる主人公なんで、どう考えても治癒術使う人が傍に居ないとすぐ使い物にならなくなるんですよねえ。となると、ピトスがメインヒロイン枠というのもある意味当然なのか。前日譚においても、主にコンビ組んでたの、治癒術師の娘でしたし。
相変わらず、訳がわからないけどすげえ! という描写は面白い。メロにしても、アスタにしても、先生にしても、それぞれ訳の分からなさの質、タイプがそれぞれ違うのも楽しさの理由なんですよね。通り一遍の強い描写だと飽きがくる。でも、手を変え品を変えの訳の分からなさ、というのはワクワクさせてくれるものです。
それに、七星旅団メンバーのような天井突き抜けた理解の埒外みたいなのだけではなく、例えばピトスのサポート役と見せかけて、フェオの前衛シャルの後衛というバランス取れたコンビ相手に、その肉体一つでぶん殴り蹴っ飛ばしねじ伏せるという肉体言語バリバリな戦闘スタイルで圧倒する、という意外性もまた、シャルやフェオからすると「なにこれ分けわかんないんだけど!?」という意味不明さなんですよね。
いろんな場面、様々なスケールで「想像を超える」シチュエーションが用意されている。こういうのって、楽しめるなら実に面白いんですよね。そして、こういうケースは能力面のみならず、感情的なもの人間関係のぶつかり合いとしても、時としてそれぞれのキャラが抱いている「予想」を越えるシチュエーションも入ってくるわけですよ。そうなると、恋愛パートでも友情パートでも、実に楽しいことになってくる。
波長が合ってるんでしょうね、この作品だから凄い好きなんだよなあ。
なあ、ちょっと七曜教団絡みの展開には、その分じれったさを感じてしまうところですけれど。他が基本、痛快感を感じさせるところが多いだけに、余計にこっちのターンがほとんどない教団相手の展開は焦らされるんでしょうけれど。

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