クロニクル・レギオン5 騒乱の皇都 (ダッシュエックス文庫)

【クロニクル・レギオン 5.騒乱の皇都】 丈月城/BUNBUN ダッシュエックス文庫

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征継の記憶を取り戻すため、皇都東京への訪問を決意した志緒理。だが、時を同じくして皇都東京では女皇照姫が災厄の英雄・平将門を復活させてしまう!!将門の率いる二千騎ものレギオン“零式”により、武力で実権を握る照姫だが、将門にはさらにおそるべき秘密が隠されていた…!!志緒理と共に皇都入りした征継は、ついに記憶を取り戻す鍵となる人物、神君徳川家康と邂逅を果たす。だが家康の放つ意外な言葉に迷いを感じて…!?いっぽう虎視眈々と巻き返しを狙うエドワード率いる大英帝国も、ある密約をもとに次なる計画を立てていた…。幻想と歴史がクロスする覇道戦記、混沌と激突の第五巻!!
志緒理姫、黒い、黒いよ! 闇堕ちしかかっている照姫を助けるどころか、むしろ煽りに煽り倒して闇落ちを促進させようという容赦なさには惚れ惚れしてしまった。政敵でもあり、性格的にも感情的にも相容れない不倶戴天と言えど、イイ性格してますわー。思慮が足らず、感情的でコンプレックスにゆがんでしまっている照姫では、ちょいと役者が違い過ぎますなあ。将門公を呼び出して、調子乗っちゃってる照姫をこの場合哀れんであげるべきなのでしょうけれど、この姫様も小物なんですよねえ。小物らしい味わいのある人ではあるのですけれど。小物であるからこそ、考えが浅く感情任せなぶん、コントロールしやすく利用のし甲斐がある一方で、小物であるからこそ英雄・賢人の想像の埒外とも言える理に合わない暴挙を易易とやってのけてしまう。愚者ではあるのですけれど、舞台上の役者としては意外なほど存在感があるキャラクターなんですよねえ。
世界は英雄だけで動いているわけではない、というのを示しているキャラなのかも。
しかし、将門公はもうこれ完全に人間じゃないじゃないですか。まともな人格が残ってなさそう、という意味においては正しく怨霊のままなんですよね。そして、その装束は旧陸軍の軍服。将門公というと、軍服姿が思い浮かんでしまうというのは、帝都物語の影響凄いなあ、と思う次第。
さて、この悪霊を侍らして如実に精神を汚泥に浸しつつある照姫を、志緒理姫は煽りに煽り倒して混乱をもたらそうとしているのですけれど、一方でカエサルはこれどうするつもりなんでしょうね。この超絶自信家は、わりと行き当たりばったりだからなあ。彼の人生、概ねそんな感じであるのは作中でも描かれていますけれど、それでなんとかなっちゃうのがこの人の凄いところで。色々と想定はしてるんでしょうけれど、想定外の事が起こっても本気でなんとかなるだろう、と思ってるっぽいのよねえ。かと言って、ラストのあの出来事については流石に想定外にも程がある気がするけれど。
いや、実際これについてはびっくりさせられたんだけれど、この人がどう動くのかというのは予想がつかない分、ドキドキさせられる。
予想外というと、征継の選択も予想外だったなあ。順当に、英傑としての過去を取り戻してカエサルやエドワードなどと伍していく、と思っていたのだけれど。
なるほど、彼が過去を取り戻そうとしていたのは強くなるためで、なぜ強くなろうとしていたかというと、志緒理たち愛する女性たちのため、という極々シンプルな目的だったんですよね。それが、強くなったはいいが過去を取り戻したおかげで、彼女たちを守るために不必要なしがらみを得てしまったり、彼女たちを大切に思わなくなってしまうのなら、本末転倒。それならば、過去の記憶など不要、と言ってのけて揺るぎもしない征継の漢っぷりは、そりゃもう前世の記憶なんぞなくても稀代の英傑そのままですわー。
なぜ、土方歳三の再来などと呼ばれ、彼の刀やレギオンも引き継ぐ、という余分な要素を兼ね備えているのか、以前から不思議だったのですが、今回の選択とさらに神君家康公からも新たに頂いたモノを見て、大いに納得させられた次第。なるほど、過去の英雄の復活者でありながら、彼はこの時代における橘征継という新たな英傑として誕生しようとしているのか。

それにしても、そろそろレギオンを運用するための霊液補充のため、という建前名目を脇において征継さん、女性陣に手を出しはじめたなあ。

シリーズ感想