蒼鋼の冒涜者<ブルースチール・ブラスフェマ>3 (HJ文庫)

【蒼鋼の冒涜者<ブルースチール・ブラスフェマ> 3】 榊一郎/赤井てら HJ文庫

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再び現れた宣教騎士団を前に、ベルタの才能が目覚める!!
順調に発展を始めたフリートラントに、宣教騎士団に追われていた傭兵が流れ着いた。それをきっかけとして訪れた宣教騎士は、街が教化済みでないことを見破ってしまう。戦力を整え、再び襲い来る宣教騎士団を前に窮地に陥るユキナリたち。
《教会》を前にしたアーロンと戦う力を手に入れたが人を傷つけることを厭うベルタ。それぞれの決断とは――。
なるほど、神という崇められる立場に立たされながらも、ユキナリは孤立していくのではなくむしろ仲間を増やしていくのか。一方的に背負うのではなく、守るべき対象だった村人たちと協力して今の環境を守ろうとする。地神への生け贄であり、今はユキナリの巫女という立ち位置に収まっていたベルタもまた、受動的にあるがままを受け入れるのではなく、自分の意志としてユキナリに仕え、自分の考えでユキナリと村をどう守るかを思い巡らせ、その上で自分の出来ること出来ないことを自らに問いかける。
思考停止して与えられた役目に没頭するのではなく、考えて考えて自分の欲しいもの、自分のやりたいことを見つけていく。その意味では、アーロンや今傭兵に身をやつしているヴェロニカも同様で、自分の道を自分で選択することを問われるのですな。神としてのユキナリは、決して周りの人間たちに何かを促しているわけではないのですけれど、そうして何も強制しない姿勢こそが、常に自らの考えではなく与えられた役割を果たすだけの生き方をしていた人たちにとっては選択であり思考を誘発させるものだったのでしょう。
そこで、何も強制しない神に対して撃発しないあたり、この村の人たちにしろアーロンにしろ、柔軟だなとは思うところですけれど。特に宗教や生きる指標としての価値観は早々覆るものではないだけに、アーロンくんはチョロいな! と微笑んでしまうところです。

しかし、表紙にもなってる宣教騎士アンジェラ、何気に重要なキャラみたいだけれど、敵のままなのか味方になるのか。彼女、宗教的な純真さの持ち主であると共に俗的な野心家でもあって、思考停止して現状を受け入れているのではなく、恣意的に利用しているタイプなだけに、敵になると厄介だけれど味方になるとクセのある面白さがあると思うんですよねえ。
まあチョロインを爆走しているアーロンくんと同様、今後に期待。

榊一郎作品感想