お世話になっております。陰陽課です (メディアワークス文庫)

【お世話になっております。陰陽課です】 峰守ひろかず メディアワークス文庫

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妖怪だって市民です! 京都の町を舞台に、妖怪たちの生活を守る新米公務員の奮闘記!

念願の公務員に採用され、京都市役所で働くことになった火乃宮祈理。入庁式を終えて彼女が配属されたのは、通称・陰陽課。京都の町には人間に紛れて暮らす妖怪がたくさんいて、そこは市民である彼らの生活を守る部署だというのだ。
混乱する祈理の教育係についたのは、白銀の髪に赤いシャツでガラの悪い、公認陰陽師の五行主任。妖怪の次は陰陽師……? と、訝しむ祈理は、陰陽師らしからぬ風貌の五行と、町を治める鬼や狐の親分との顔合わせに向かうことになるのだが……。
不良陰陽師×マジメ女子の凸凹コンビによる、不思議な公務員生活が始まります。
ずっと妖怪ものを書いてる印象だった峰守さんだけれど、実際に妖怪が出てくる作品書くのは久々だったのかー……いやぁ絶対城先輩のあれやこれやは実質妖怪と呼んでも過言じゃない存在だったような気がしないでもw
ヒロインとなる火乃宮祈理は、ちょっとお目にかかった事がないような四角四面の融通がきかない娘で規則規則と口うるさく、誰も読んでないような規約の隅々まで暗記しているような堅苦しい娘さんである。学生時代は生徒手帳を普段から手放さず、今の時代では意味がないような校則までカッチリ守ってるような娘だったんだろうなあ。学生時代の話とかは一切持ち上がらないのですが、友達とか居なさそうとか思ってしまうタイプである。
勉強家で暗記も得意ということで、むしろ法曹界の方に適性がありそうなものなんだけれど、彼女の場合なんとなく公務員になったのではなく、市民の奉仕者という市役所の職員という理念に本気で共感して市役所で働きたいがために、全国各地の公務員試験を受けてまわったという強者なのでやる気としては不必要なくらいに十分なのだが、回された部署が「いきいき生活うんたらかんたら」という何をやっているかわからないところで、居るのは年配の課長に、ガラの悪い主任の青年の二人だけ。意識高く勇んで働こうとして配属された部署がこれなら、拗ねたりやる気をなくしたりしそうなものなのだけれど、この娘の生真面目さというのは折り紙付きでそこが「陰陽課」なる珍妙な仕事内容の部署であるとわかってそんな怪しげな世界には全く関わりも関心もなかったにも関わらず、全然ひねたりせずに真面目に仕事に取り組み、必要な情報や覚えないといけない知識についても積極的に図書館に通ったりして習得していくのである。真面目最強だなあ、と思うのはこういうところで、自分の不満や不安を別枠において手を抜かないところは素直に凄いと思うし、武器でもあるのでしょう。一方で、そういう真面目さが物事をこじらせていく、という事もあったりするのですが。

この話、妖怪ものではあるんですけれど実のところ妖怪だ人間だというのは根本では関係なくて、規則規則と枠組みに縛られていた主人公が、実際に市民と接してその声を聞き、その思いを汲み取ることで市民のために働く、奉仕するということの意味を学んでいき、見た目では不真面目にしているようにしか見えなくても実際には真摯に自分のできる範囲で手をつくして、市民に奉仕し街を守る先輩職員の姿を追うことで、規則に使われるのではなく、規則とは目的のために使うものだ、という柔らかさを堅物娘が学んでいくお話なんですよね。
糞真面目な堅物の主人公とは正反対に見えるけれど、目指し願うところは同じだった先輩との共同作業。そこに、妖怪……この作品では「異人さん」と呼ぶのか、そんな異なる人たちが醸し出すもう一つの京都という不思議な、でもほんのりとした歴史と懐かしさがある生活感が根付いている世界観がくっついてきて、峰守ワールドがここでもきっちり構築されてるんですよねえ。
面白いのがこの先輩となる五行主任。まあ柄悪いし態度悪いし面倒くさい人なんですけれど……最後のあれみてしまうと、印象がガラッと変わってしまうというか、この人わんこ属性なんじゃないのか?
二巻でどうなってしまうのか心配になってしまうくらい、なんか従属属性醸し出してたんですけれどw