超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!  3 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 3】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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「春までに『民主国家』を建国する」ギュスターヴの戦略魔法による攻撃さえも退けた超人高校生たちはいよいよ帝国との本格的な戦いに突入。近代兵器で武装した“七光騎士団”は、智将アークライド侯爵に率いられた“討伐軍”を苦もなく撃破し、民主国家の建国を目指して邁進する。一方で、異世界にきてからの過労がたたった司と林檎は桂音から三日間の休養を言い渡され、せっかくだからと二人で街中デートをすることに!リルルの出現で焦っていた林檎は司との距離を縮めるために一念発起して奮戦するが―!?地球最高の叡智と技術がますます冴え渡る、異世界革命物語第3弾!

うはは、圭音先生いい具合にイカレてるじゃないですか。さすがは現代強化版ナイチンゲールというべきか、頭のおかしさもナイチンゲール超級だったというわけか。人を救うためには手段を選ばない、ってタイプの人だよなあ、これ。いや、正確には巧妙に手段は選んでいるので、最終目的へ到達するための障害を無理押しで余計に増やしてしまわないように真意は隠しつつ上手いこと立ちまわっている、とも言えるんですよね、これ。少なくとも、最大の障害になり得る司たちには一切悟られていないわけですから。
怖い怖い。
この超人高校生たち、何気に実際は常識人枠と、実は狂人枠に別れてるっぽいんですよね。司もショーニンも俗世の業を背負ってなお突き進むタイプで、浮世離れしている林檎もあれで幼少時のエピソードを見ると真っ当な感性を持つからこそ対人恐怖症になった類ですし、マジシャンは言わずもがな。一方でニンジャ娘ちゃんの忍はあれで境界線上をフラフラしていて、圭音先生と大剣豪葵がいささか振り切っちゃってる感がある。葵に関してはまだ根幹が見えてないのでなんとも言えないけれど。
しかし、復活したと思った途端にギュスターヴを叩き潰してしまったアレといい、ケーネ先生のイケナイ外科療法といい、主人公サイドがタブーとも言うべきラインをガンガン跨ぎ越していくのは、一種壮絶なものがある。これだけ超絶的な能力を制限なしに使いまくりながら、司たちにはキレイ事でお為ごかしする様子が一切ないんですよね。必要ならば徹底的に手を汚す覚悟を持っていることこそが、彼らの超絶的な能力が数字的スペックではない証左なのかもしれないが。ヌルい事を言って甘い見通しでやれるほど、文明を数世紀一気に進捗させることが簡単ではない、というのを誰でもない彼ら自身が承知しているということなのだから。
同時に、それだけ彼らが本気である、ということでもあるんですよね。他人事ではなく、文字通りその心身を削り倒して、この世界に未来を残そうとしている。特に司は、この世界においてすらも完璧に「公人」として自らを貫き通している。
一方でこれだけ高い視野で物事を見ている人物であり政治家であるにも関わらず、林檎のエピソードに出てくる司を見てると、たった一人のために身を粉にすることの出来る人でもあるんですよね。誰か一人を大事に出来る人でも在る。だからこそ、身近な人を幸せにすることと公の人物として国家や世界を幸福に導くことが相容れない状況が訪れたとき、この人の「私」は徹底的に滅び去ってしまうんじゃないだろうか、と心配になる。滅私という言葉を精神的に実践してしまうのではないか、と。その意味でも、彼のプライベートに寄り添おうとしているリリルと林檎の好意、恋慕は貴重なものなのかもしれない。

一見圧倒的に見える司たちだけれど、狂信的なギュスターヴの背後に見えてきた帝国の中枢がやたら不気味なんですよねえ。決してこれが超人高校生の蹂躙戦ではなく、超人的高校生が七人居て彼らが全力を尽くしてようやく、伍することが出来るほどの相手が、敵であり謎の皇帝の存在なのかもしれないと考えるなら、今まで司たちが居なかったこの世界って、完全に無理ゲーだったんだよなあ……(遠い目)

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