ラストエンブリオ (3) 暴走、精霊列車! (角川スニーカー文庫)

【ラストエンブリオ 3.暴走、精霊列車!】 竜ノ湖太郎/ももこ 角川スニーカー文庫

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GWの“天の牡牛”事件から3ヵ月―。“生命の大樹”計画が動き出す中、遂に主権戦争の招待状が焔たちに届く。精霊列車には箱庭中の実力者が集結し、西郷焔はそこで“ノーネーム”の春日部耀、そして更に意外な人物たちと出会い!?同じ頃、外界で別行動中だった十六夜とプリトゥは、“廃滅者”を名乗る強敵と遭遇。いよいよ王群“アヴァターラ”が外界でも動き出す―!箱庭と外界に激震が走る、急転直下の第3巻!!

耀も二年も経ったら成長を、って見た目髪も伸びてすごく女っぽくなってるのだけれど、問題児としてはさらにひどくなってないか? 飛鳥と十六夜が居ないぶん、一人でやりたい放題やっている感がありありなんですけれど。同時に、今は一人でノーネームを背負ってるせいか、随分と大物感も出すようになってるんですよね。十六夜が窮屈なことになっているのに比べると、色んな意味で伸び伸びとやってるなあ。
しかし、外界編は片手間でメインは箱庭の方で進んでいくのかと思っていたのだけれど、思いの外外界編も重要なパートとして進行していくんですね。焔たちは外界と箱庭を行き来しながら状況を進行させていくみたいですし、十六夜は外から戻れないままプリトゥと背後関係を洗う地味な仕事を世界をまたにかけて駆けまわることに。
どうも黒幕というか、裏でなんかやってる勢力はいろんな実力者がそろっていて身動きが取れにくい箱庭よりも、むしろアバターしかいない外界の方で積極的に動いているようなので、十六夜が外に常駐しているというのはこの際しかたがないのか。いよいよとなると、外界の方でこそ激戦が起こりそうな気配もあるし。とはいえ、箱庭ではない外の世界では、まともに神さまたちが動くとあっさり世界が壊れかねないので、どう始末をつけるのかわからないのだけれど。
そもそも、主権戦争で命の保証がなされている、というのが逆に不穏なんですよね。外界での“天の牡牛”事件の被害の凄まじさや、パラシュラーマが叫ぶ人類の悪行なんかからすると、そんな穏便な話になるというのは凄く怪しい。少なくとも主権戦争の対象外である外界の方で凄惨なことにならないか心配。
しかし、未だに主権戦争がはじまらないのもそうだけれど、全体像がまだ全然見えてこないというのは、第二部のストーリー全体にギフトゲームが掛けられているようなものなのか。そもそも、どんなゲームが行われるのか、いったい何の話が進行しているのか、というところから考えなきゃいけないところなんか、実にギフトゲームらしいんだけれど、シリーズ物としては大胆な構成だなあ、と思う所。こういうやりたい放題なやり方は近年の窮屈な縛りを思うと、大いにやればいいと思うんですけどね。個人的に、こういう詰め込み式の膨大な設定群はテンション上ってウハウハなってしまう性質なんで、凄い好きなんですけれど。
とりあえずの注目は、ジンと焔とアルジュナの苦労性弟同盟の誕生でしょうか。アルジュナに関しては帝釈さんが思いっきり後手を踏んでいて、息子の存在が彼の致命傷になるのかと思ったら、まさかの賭博癖を利用して上手いこと自分のところに引っ張りこんだものである。帝釈さん、ほんと駄神もいいところの放蕩者なんだけれど、要所要所で絶妙の指し筋を見せるあたり、ただでは転ばないというかやはり只者ではないというか、それも人の情を擽る一手ばかりで、周りの連中、あれだけ迷惑かけられるわ盛大にポカするわで、怒り心頭になりながらもどうしてもこの人に甘い顔を見せてしまうんだなあ。実に人誑しの神さまである。
あと、三巻になっても未だに彩鳥お嬢様がなかなか元の調子を取り戻せないのは、どうしたものか。こうも何度も鈍っている、腑抜けている、気が抜けている様子を見てしまうと、当人が幾らシャンとしようとしても無理なんじゃないかと思えてくる。鍛え直したら云々じゃないんだよなあ。これはもう、飛鳥と再会しないことにはリスタートできないんじゃないだろうか。

ところで、上杉謙信ちゃんは、レギュラー化してくれるんですか?


シリーズ感想