異世界迷宮の最深部を目指そう 7 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 7】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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Kindle B☆W

武闘大会が終わり、遂にラスティアラたちと本当の再会を果たしたカナミ。下手な火薬庫より危ない彼女たちと共に、カナミのパーティーはリヴィングレジェンド号に乗って海原を行く。向かうは『本土』―全ては、パリンクロンとの決着をつけるため。パリンクロンを倒す実力をつけるために潜った迷宮で、カナミは“天上の七騎士”ハインの面影を残す少女と遭遇し…!?「初めまして―私の名前はワイス・ハイリプローペ」彼女はいったい何者なのか。『迷宮』とはいったい何なのか?カナミは真実を求め、迷宮に再突入する―。
あ、あれぇ? 確か、前回で色々と切羽詰まっていた懸案を解決して、行き詰まって絡まりすぎていた人間関係も上手いこと精算して、柵や呪いに囚われていたヒロインたちも開放して、カナミ自身もジークとしての自分とカナミとしての自分を合わせることで足りなかった部分が補われて、万事が万事上手く行って船出したはずだったのに。
上手く行ったその先であるリヴィングレジェンド号船上が、明らかに今までで一番危険地帯なんですが。一つ選択肢を間違えるだけで即死してしまうダンジョンよりも恐ろしいデッドゾーンなんですがw
普段の日常生活内で、何故かスキル「感応」による護身の極みが発動しまくってるんですが。スキル「???」がちょっと慰めてくれてるみたいな感じに肩叩いてきてくれてるんですがww
常在戦場って、こういう意味でしたっけ? と思うくらいに、神経をすり減らして女性陣の間をおっかなびっくりつま先立ちでツナ渡るカナミくん。なにしろ、一つ発する言葉を間違えただけで船は爆発炎上、人生終了のお知らせ、という事態が精密な未来予測である感応や次元魔法のスキルによってもたらされるのだ。
そこは紛れも無く、最恐最悪の死地である。どうしてこうなった。笑える!

いやもうなんというか、ご愁傷様としか言いようが無い。自業自得と言うには、カナミ悪いところないもんなあ。別に女の子みんなにいい顔した結果、というわけじゃないし。親しくなった、そして人生を破綻させようとしている娘たちを、自分を救うのと同様にして助けて回った結果がこれだもんなあ。
とりあえず、スノウあたりは捨てて来ても良い気がするけど。この女、本気でただの怠けモノなだけじゃないか。まさに怠惰。マジモンの怠惰だ、これ。スノウさん頑張らない、が身に刷り込まれちゃってるよ。本来、彼女の怠惰は無力感から来ていたはずなのに、家の柵から逃れて自由になったあとも何も変わってないどころか、むしろ悪化しているように見えるこれは、いったいどうしたらいいものか。燃やそう、マリアに頼んで燃やそう。もしくは、ディアに頼んで焦がそうぜ。
これで、ほんの数巻前はわりといい感じにヒロインしてたのになあ。ダメな感じが放っておけない系のヒロインとして結構いい具合に絡めてたんだけれどなあ。今はむしろこのダメな粗大ごみ放っておこうぜ、という感じになってしまっている。いや、放っておくのも腹立つので、なんとか働かせてやらないと、という気になってる。なんというニートw
逆に甘酸っぱい度を増々しているのがラスティアラで。前巻までは頼もしい脱出のためのパートナー、という感じだったのだけれど、落ち着くと途端に可愛らしくなっちゃって。戦闘経験や駆け引きの経験の豊富さとは裏腹の恋愛というものの初心さのおかげか、距離感の無防備さと恋に気づいた瞬間の湯立ちっぷりがめちゃくちゃかわいくてねえ。いや、カナミの本命がラスティアラだ、というのもわからなくはないよ。
しかし、彼女も彼女でトラブルメーカーなのは確かで、一行の中で一番良識的で空気読めて気遣いが出来て細やかなサポートもしてくれる優しい癒し系が……リーパーだというのは、なんという幼女頼りなんだ、この一行……。いや実際、リーパーちゃんマジ心配りが神対応なんですけれど。
でも、個人的にはマリアが意外と精神的に安定しているので、何がきっかけで船が爆発炎上するかわからない、ということはなさそうなので、それほどピリピリはしてないんですよね。以前の不安定な頃の彼女は地雷の感度が高すぎて、ハラハラドキドキだったもんなあ。その頃からすると、マリアすごい落ち着きましたよ。その代わり、物理的火力も限界まであがってますけどね。そうか、実質アルティの力を継いでいるから、守護者クラスの力を得ちゃってるんですねえ。ディアとのコンビで後衛無双してラスティアラとカナミをでくのぼうにしてしまった展開には笑いましたけれど。ってか、二人ともわりとメンタル緩いよww

まああれこれドタバタはありながらも、久々にダンジョン攻略なんぞも絡めながら、まあ穏やかな日々、なんだろうなあ。とりあえず切羽詰まってヤバイ状況ではないわけですし。今までは、何かしら追い詰められていたのを思うと、カナミが普段の生活の中で決死の綱渡りしているというのもまあ船が実際爆発炎上するまでは笑い話です。
唯一不穏だとすれば、ディアのあのやたらと眠そうな様子だけか。今のところ、誰もあんまり気にしている風ではないのだけれど。
そして、新たなキャラクター、騎士ハインの面影をもったワイスの登場。外見も中身もハインとは違う、という話だけれど、むしろハインよりも落ち着いていて安定感がある感じのワイスだけれど、本土編のキーキャラクターになっていくのか、彼女が。本土編の助走編、仕切り直しの章としてはちょっとずつ色んな謎を明らかにしていく段階に足を踏み入れつつ、今の関係やpartyの能力を再確認する、という意味でもなかなか今までなかった日常編としても、大変面白かったです。またここから、激動となってくるのでしょうけれど、その前の一休みとしては十分だったのではないかと。

シリーズ感想