ヒマワリ:unUtopial World (2) (角川スニーカー文庫)

【ヒマワリ:unUtopial World 2】 林トモアキ/マニャ子 角川スニーカー文庫

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同級生・桐原士郎のせいで、世界の支配を賭けたバトルゲーム「聖魔杯」に巻き込まれた日向葵。人工島を裏で支配する者を引きずり出すため、士郎とヒマワリは時価十億円のブツを餌に「宝さがし」を開催するが、「マフィアの首領」に「正義の味方」と厄介な敵が参戦し、なぜか後輩・アリスがさらわれて!?そして語られる四年前の事件―「あれは最も純粋な正義の戦いだったんです」。魔法と実弾が飛び交う夜の街をヒマワリが駆ける!
ヒマワリちゃん、いったい何者なんだ!? いやいや、幾らなんでもこれは一般人じゃないでしょう。カラー・ギャングのボスたちを無造作に蹴散らして行ってしまうのはまだしも、本職の達人相手に真正面からぶっ飛ばすとか、明らかにおかしい。暴力に対して躊躇がない、という精神的リミッターが振り切れている、というだけでは説明がつかない歪さが垣間見えてきたぞ。そもそも、相手を傷めつけることに対して全く禁忌を感じていないところと、決して暴力主義ではないところが両立しているところからおかしいんですよね。これって後天性のものなのか? 四年前の事件をきっかけにおかしくなった、と思っていたのもどうもあやしくなってきたぞ。
ひまわりとは、そもそも一般人側じゃなくて、あちら側の人間じゃないのか? それにしては、彼女の情報が洗われても何も出てきていないのが変なのだけれど。マフィアだけじゃなく、公的機関も動いているはずなんだけれどなあ。
実のところ、あのラストの場面、マザー・アースの全権代表の正体、ひまわりちゃんだったのかーー!! と勘違いしてしまったんですよね。まさか、主人公のひまわりちゃんがーーっ!? と、かなり度肝を抜かれたのですが、順当に相手の人だったわけですけれど。そう思っても不思議ではないほど、得体のしれないところがある。ラストらへんの言動、元々普通の高校生じゃなかった、とも取れる言い方していますし。
だいたい、主人公のなのにひまわりちゃんの行動原理って未だに明らかじゃないんですよね。四年前の事件をきっかけに、彼女の価値観がガラッと変わってしまったのはわかるのだけれど、どこかららどのように変わったのかが具体的ではない。実際、あの事件の何にショックを受けていたのかすら、最初の印象通りか怪しくなってきている。何が、彼女にあれほどの衝撃を与えてしまったのか。彼女のこだわっている部分がまだ見えてこない。おそらく、そここそがこのシリーズの根幹になってくるのだろうけれど。
一方で桐生くんが世界征服にこだわる理由の一端、いわゆる家庭の事情も明らかになってきて、彼の方はだいたいスッキリしてきたんですよね。まあ、あの人望の無さは地のものというのもよくわかりましたけれど。あれは駄目だ。人を不快にする何かが在る、ってやつだww
むしろ、アリスがくっついているのが不思議なくらいで。アリスはアリスで木島性である時点であのテロリストと関連あるとは思っていましたけれど、なにやらそれどころではない彼女自身に大きな秘密があるような話も出てきて、闇側闇側にどんどん底が深くなってきてるなあ。水姫とか出てきたら闇堕ちしてるし。元々アレな人でしたけれど、見ない間に具体的にぶっ壊れてきてしまったというか、どうしたんだこれ?
でも、第三世界方面に関してはまだ全然なんですよね。アウターや神殿協会の領域からすると、どうにも表層の出来事のように見えて仕方がない。とはいえ、世界の構造自体がデストピアの方にスライドしていっているのは、治安の悪化などから目に見えて明らかなんですけれど、外側の連中がこの手の出来事に介入できない、というのはやはり焦れったい。それをどうにかつないでいたのがヒデオらへんだったのですけれど、ようやくヒデオの名前が作中に出てきてホッとした、というくらいで。摩殺商会も暗躍はしているようだけれど、悪の組織としてはまだまだ大人しい活動だと思うぞ。裏でこそこそしている分には。もっと派手にダンプ突っ込まそうぜ。
ともあれ、マザー・アースが再び動き出すからには、黙ってみていられない勢力もあるだろうし、当事者であったひまわりたちもどう動くことになってくるのか。正義とはなんぞや、という話になるのか。正義の味方の登場によって。

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