彼女がフラグをおられたら 少し疲れたわ…次の夏休みまで眠らせてもらうね… (講談社ラノベ文庫)

【彼女がフラグをおられたら 少し疲れたわ…次の夏休みまで眠らせてもらうね…】 竹井10日/ CUTEG 講談社ラノベ文庫

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『栄光の神竜兵団』を率いて、故国を「天界」~異世界の侵略者から奪還したブレードフィールド公国王子・旗立颯太。国を挙げての祝祭が続く傍ら、再び現れたサクラメントの導きにより、自らの封印された過去と対面する。解き明かされる出生の秘密、“仮想世界”で颯太を学園へ誘った男の思い~あの日自らを縛った運命の真実とは!?そして旧世界以来の強敵ギルガメスと剣を交えた颯太は、運命を自在に操る“神竜”の能力に完全覚醒する。しかしその戦いは、来たるべき真の最終決戦への序章に過ぎなかった…「この世界には守りたい人達がいるんだ」愛すべき人たちの住まう世界を守り抜くため、颯太が選んだ危険な手段とは!?怒涛の夏休み編第15巻!
こっ、この伏線回収には驚いた。まじで驚いた!! だいぶ最初の方からチョロチョロとその姿を垣間見せながら、いまいちどういう形で、立場で、思惑で本筋に介入しているのかわからなかった聖帝小路美森の兄・隆守。そもそも本編がはじまる五年も前に他界していたという彼が、どうして颯太を学園に誘うことが出来たのか、仮想世界にどうやって介入していたのか、など重要な事柄に多く絡んでいる割に本人の存在が薄っすらとしていて実在しているのかすらあやふやで、とにかく謎だったんですよね。
だからといって、まさか颯太とこんな形で関わってるなんて。こればっかりは予想も想定もしていなかった。いやだって、時系列的にそんなことありえないし。ありえないでしょう!? だがしかし、本作の世界はそもそもそんな固定された時空の話でないということは、第二部が幕を開けると同時にその世界観とともに明らかになっていたわけで、これは固定観念に縛られてたなあ。だいたい、隆守さんという人はあくまで美森会長のお兄さん、というイメージが強かったですからね。まず美森会長やその母であるサンジェルマン伯というフィルターを通していたので、彼との直接の接触も殆ど無く、彼の思惑がまったくわからなかったのも相まって完全に死角に入っていた、と言っても良い。
しかし、いざ事が明らかになると今まで謎だった様々な事柄に一気に説明がついてしまって……いや、これは凄いわ。こんなに綺麗に一つの事実が明らかになるのに合わせて、バタバタと伏されていた世界の謎が詳らかにされていく展開はなかなか見たことがない。
少なからず度肝を抜かれた。

最大最強の敵として立ちふさがるギルガメス。他作品では頼もしい同盟者や友人枠であり、常に世界最強だった彼が敵として暗躍している、というだけで相当にびびってたんだけれど、どうも今回の行動に関しては茶パ・マーリン卿がこっちについてくれたように彼の仲間たちからすると、「……えー」てな感じだったようで、絶対存在二人を始めとしたワイルドカードばかりを揃えた神竜兵団を相手にするには数も質もまったく足りない感じで……聖騎士王さま、人望ねーw
いや、それだけ反対だったら反対で協力しないよ、と態度はっきりしている部下たちとの気安い関係の結果とも言えるのだけれど。それに、どれだけ今回悪辣なこと考えているのかと思ったら、ギルさんなんか普通にいつもの御劔さんで、神竜との決闘も因縁の対決というよりも親友同士のじゃれあいみたいもので、一度立ち会ってケリをつけたら、すっきりと後腐れなく敵対関係を解消して、普通に颯太の周りブラブラとふらつき始めたのは拍子抜けしたような安心したような……。
ジュジュライトさんは、あれ大魔王まおん先生にリベンジ食らわされるためだけについてきてしまったような(苦笑
確か、東京皇帝☆北条恋歌でジュジュライトさんにうっかり殺されかけたんですよね。あれ、根に持ってたんだ。そりゃ持つか。あの時残機1しかなかったみたいだし、殺されてたらマジ死んでたわけだし。あれはまおんの油断と東雲さんから貰った天剣による十億倍斬撃のお陰だったわけで、ガチでやるならまおん様の相手じゃないよ、というのを思い知らされることに。

ギルとの和解は、若干、天界軍の騎士団の連中が可哀想な気もしますが。ルシェ・アンチスペルの天帝復権によってリストラされた連中、ある程度リベンジの想いあっただろうに、あっさり黒幕の御劔・ギルさんとの対決終わっちゃいましたからねえ。いや、聖デルタ騎士団とガチでやりあうのは勘弁極まるのですけれど。
そう言えば、ここでギルガメスの別の名前として山風忍の名前が神楽から出てましたね。ポケロリ以来か。
さて、ラスボスかと思っていたギルとの対決が単なる前座であることが明らかになり、実はさらにヤバイものがグリモワールの中で眠っていて、それがついに目覚める、という世界崩壊の大ピンチが……。
何気に世界の真理編に入ると、他のヒロインぶちぬいて、鳴ちゃんが圧倒的に真ヒロインの風格を放ちだすんですよね。神竜に飲まれだす颯太の側で、彼の存在が変わっていくのを目の当たりにしながら、心を痛めながらも見守るしかなく、せめてとばかりに涙を浮かべながらそっと寄り添い続ける大名侍鳴。と、第一部のラストで思いっきりメインヒロインしていたのを、ここでもリピートしてるんですよね。なんという役得!!
実は従姉妹という事実が発覚して、気持ち悪い笑顔になってる菜波さん、大丈夫ですか!? 一応、菜波がメインだと思うんだけれどなあ。一応、前世からの運命の関係でもありますし。
そして、ついに復活した真・幼馴染の愛菜。どう考えても眞奈花・シャーマンズが巫女神愛菜とイコールだというのは間違いなかったんですけれど、同一人物とするにはおかしい設定になっててどうするんだ、と思ってたらここに来て一気に真実を引剥してきましたからね。劇的な復活、という意味では実にヒロインらしいのですが……。
でもやっぱり鳴ちゃんが圧倒的に一番、持ってかれてるぞ。

とか言ってるうちに、本当の新ヒロインは俺だ、とばかりにギルが颯太のパートナー位置に陣取り、ついにグリモワール世界への再突入へと。次が、シリーズ最終巻かー。果たして第一部クライマックスに匹敵するだけの大盛り上がりが期待できるか。長らく続いたシリーズだけに、どう収拾つけるのか実に楽しみです。この幾つもの作品を跨いだ世界観設定が面白くて大好きで大好物なだけに、なおさらに。
あのはじまりの旗の物語のやり直し、ハッピーエンド編が待ってるのかなあ、やっぱり。

シリーズ感想