皿の上の聖騎士〈パラディン〉2 ‐ A Tale of Armour ‐ (Novel 0)

【皿の上の聖騎士〈パラディン〉 2 ‐ A Tale of Armour ‐】 三浦勇雄/屡那 Novel 0

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片腕を失ったアイザックは剣の特訓をしながら旅を続けていた。次の目的地はベヒモスの棲む大湖沼。しかしアイザックたちが着いたときにはすでに件の霊獣の姿はなく―?伝説の甲冑、その醜悍しき真実に身を裂かれた聖母と、王に背き大陸中を巡るフィッシュバーン家の神話、第二章。
ヒュドラさん、パねえ、と思わず浮かぶにへら笑い。いや、何気に今回一番活躍したのって、ヒュドラさんじゃね? マジでマジで。ヒュドラさん、貫禄のラスボスじゃなかったのか。それどころか、むしろこの言動、ツンデレヒロインなんですけれど。変に真面目だし偏屈なわりに律儀だし、けっこうお節介だし、霊獣って伝説の時代からの僅かな生き残りであり、その強大さから殆ど神様みたいな扱いを受けているわりに、いつまでもサキュバスの色香に惑い続けてて人間臭いところもある、という雰囲気で見ていたのが一巻だったのですが、今回の話を見ているともう人間臭いどころじゃなくて、その精神性って殆ど人間と変わらないんじゃないだろうか、と感じさせられるんですよね。
それに、話の順番に霊獣を訪ねていって、アシュリーの体を取り戻していく、という単純な筋書きでは無いことが明らかになってきましたし。
皿の上の捧げられた生贄としての聖騎士……それが驚愕の話の真実だった、というのもどうやら怪しくなってきて、皿の上どころか皿の下が問題になってきた上に、そもそも国が霊獣にアシュリーの肉体を差し出したことすら、単に霊獣との契約を重んじてその報復を恐れてアシュリーを生贄に捧げた、という話ではなく、裏の思惑がある、ということが明らかになってきて……。
まさに歴史の謎、世界の真実が関わってくる大きな話になってきてるんですよね。その一方で、自分たちが中心にいる事件がどうやらとてつもない規模の、そここそ霊獣たちですら知るよしのなかった世界規模の神話にすら関わる陰謀劇になってきた、というのを承知した上で、そんなことは知ったことじゃなくまず成し遂げるべきはアシュリーを元に戻すことだ、と一貫してブレないアイザックのひね過ぎて変に強靭になってしまった彼のメンタルである。右往左往しないのは頼もしい限りなんだけれど、この弟ってわりと根っからの無頼漢なんじゃなかろうか。そういう考え方の傾向ってあんまり騎士っぽくないし。
その無骨さが、自分の体の欠損にも対して頓着しない、という傾向に出ているのなら、心配ではあるのだけれど。アシュリーとしても心配だわなあ。この弟、必要とあらば平気で残った左腕だろうと両足だろうと眼球だろうと差し出してしまいそうだし。その意味でも、これからアシュリーの体が戻ってくる度に、それを霊獣の能力とともに装着する特殊能力を扱うために、体の一部を削り落としてしまうんじゃないか、というアシュリーの懸念は当たらずとも遠からず、だったように思う。そりゃ、口ではそんなことしないと言ってるし、それは本心なんだろうけれど、この男、いざとなってそれしかないとなったら躊躇わんだろうし。
だからこそ、ヒュドラさんの助言で発想の転換が出来たのは大いに助かった件だったんですよね。今後のことを考えると、霊獣の能力を使えるに越したことはなかったでしょうし。
ヒュドラさん、この調子だと今回で助力は終わり、とはならなさそう。何だかんだと、文句言いながら見捨てられずに助けてくれるタイプだよなあ。
ドラゴンの娘であるイザドラも、今回の一件を通じてしっかり仲間として定着しましたし。元々健気に頑張る子でしたけれど、アシュリーとアイザックの姉弟コンビに意外としっくり馴染んで三人組になってたんですよね。姉に対してひねくれた態度のアイザックも、素直なイザドラにはわりと真っ直ぐに接していて、これはアシュリー相手には見せない顔でしたからね。
でも、姉弟の掛け合いがやや少なくなってしまったのは残念かなあ。「弟よぉーーー!?」のアシュリーの絶叫は何気にハマってましたし。

未だ、謎が謎を呼ぶかのような展開が続いていますが、どんどん核心へのベールが剥がれていっている実感もあり、ワクワクが止まりません。なるべく、速く続き出ておくれ。

1巻感想