アサシンズプライド (3) 暗殺教師と運命法廷 (ファンタジア文庫)

【アサシンズプライド 3.暗殺教師と運命法廷】 天城ケイ/ニノモトニノ 富士見ファンタジア文庫

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「わたしがその試験に合格できなかったら、先生は?いなくなってしまうんですか…?」
学院での一年が過ぎ去ろうとする季節。クーファは様々な悪意に晒される教え子・メリダに、進級試験を課す。もし失敗すれば、自らの手を彼女の血に染める覚悟を秘めて―。もう何もできない私じゃない。気負いながらエリーゼと共に試験へ赴くメリダの前に、同じ騎士公爵家の娘ミュールとサラシャが現れ…
「三大騎士公爵家の四人娘、初の共同任務よ!」
世界を欺く少女に試練と断罪の刃が振り下ろされるとき、暗殺教師と少女は命がけの矜持を示す―!
この作品の戦闘シーンは特徴的で面白いなあ。とはいえ、前の二巻では感じなかったことなので、この三巻からの描写なのかもしれないけれど、とにかくアクションが速い。特にクーファとマディアに関しては戦闘シーンのスピード感がノリにノッていて痛快極まりないんですよね。余計な勿体ぶりや間の悪い掛け合いもなく、バッタバッタザックザックと敵をなぎ倒していく、また動きが捉えられないほどの挙動の速さとか、手管の数やとめどなさ。ハイテンポのミュージックを聞いているかのような気持ちよさが感じられるわけですよ。これは雑魚敵相手だけではなく、強敵にぶち当たっても同様で相手のリズムを無視して自分たちの即戦のスピード感で塗りつぶしていくさまは、非常に楽しかったです。
このテンポの良さはメリダたち娘さんたちは学院長の奮戦なんかにも波及していて、かなり錯綜した混戦が続くのですが、それらがそのまま読んでるこっちの混乱に繋がらず、この戦闘描写のリズム感によってきれいに切り開かれていくような感覚があって、展開がごちゃごちゃしているわりにかなり読みやすかったんじゃないでしょうか。
メリダ・エリーゼ組とミュール、サラシャのコンビとのガチ戦闘なんかも、かなり歯ごたえがありましたし。メリダもエリーゼも、お師匠たちにガンガン鍛えられているだけあって、強くなったなあ。お互い、理不尽な境遇は続き、悪意が絶え間なく浴びせかけられる辛い立場なのですが、能力的な強さ以上にそうした悪意にへこたれない、胸を張ってやり返せる強さをいつの間にか身につけていたかと思うと、感慨深いです。これだけ、着実に、明確に、メキメキと成長しているのを見てしまうと、ね。
今回の舞台は、迷宮化した巨大図書館。これまでの人類史において記されたあらゆる本や記述、日記やメモに至るまで自動的に収集され秘蔵される図書館、なんてワクワクものじゃないですか。しかも、ダンジョン化し、中には本を探すゴーストたちがウヨウヨしていて、稀少は本を手に入れるためには司書資格を手に入れて図書館の奥深くまで潜らないといけない、と。ただの迷宮より、こういう大図書館の方が個人的にはワクワクさせられてしまいます。
メリダの境遇については、自力での改善も然ることながら、ようやく彼女の父親の真意がツンデレの奥の奥ですけれど、明らかになってきただけに、ちょっとホッとしました。場合によっては、父親にメリダを殺して事態を収集する意志がある、と疑いが生じかねない状況でしたしね。
しかし、この様子だとメリダの両親に不和はなかったようですし、メリダは実子で間違いないのか。最悪、メリダが身分を捨てて、クーファと駆け落ちしないと収まらないんじゃないか、とまで危惧していたのですがw
とりあえず、明確な黒幕というか悪役も出てきましたし、まだまだわからない部分はあるとはいえある程度道筋は見えてきたかな。
あとは、メリダの恋の物語の方ですけれど、何しろクーファくんが満更じゃなさそうだしなあ。あの、飛び出す絵本の記録の件は、微笑ましくてたまりませんでしたが。もう可愛いなあこの子。
それよりも面白かったのが、今回は味方として登場したマディアでしたが。褐色ちびっこ、お嬢様方にもうモテモテじゃないですか。今回は、クーファよりもマディアの方がお嬢様たち相手に思いっきりカッコいい騎士様してたから仕方ないんでしょうけれど、これ幼女にして騎士様、お姉さま扱いなんじゃなかろうか(笑

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