彼女がフラグをおられたら 冥土の土産よ、最期に卒業式のことを教えてあげるわ (講談社ラノベ文庫)

【彼女がフラグをおられたら 冥土の土産よ、最期に卒業式のことを教えてあげるわ】 竹井10日/ CUTEG 講談社ラノベ文庫

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破滅へのカウントダウンから世界を救うべく、元凶たる“グリモワール”内の仮想世界へとダイヴした颯太と親友ギルガメス。孤独な戦いの果てに颯太が辿り着いたのは“第83462仮想世界”―死亡フラグに怯える自分を癒やしてくれた少女達と過ごした、あの懐かしい場所だった。心ならずも去った日々が再び始まり、順調に時は過ぎてゆく…進級、出会いと別れ、後輩の登場―喪われたはずの毎日が颯太を満たすにつれ、次第に颯太は“現実世界”に生還する意欲を失っていく…この仮想世界には「彼女」がいないのに、だ!!そして迎えた卒業式当日、颯太に巻き起こった驚愕の出来事とは…!?史上最高最大のクライマックス、シリーズ最終第16巻!
芹キャン、頑張った、頑張ったよ。他の子たちが自分から最後の一歩を踏み込まなかった中で唯一芹キャンだけが思い切ったわけだ。その勇気は評価に値する。お付き合いが結局上手く行かなかったのはもうタイミングが悪かった、としか言いようがないしなあ。お互いの生活リズムのすれ違いだもんなあ。というよりも、お互いにもっと図々しくあればよかったというべきか。そのへんはむしろもっと大人になっていればすり合わせられる経験値だったんだろうけれど。
暗黒の夢の卵を浄化する過程で発生してしまったトラブルによって、あの懐かしい第一部の舞台であった“第83462仮想世界”に取り込まれてしまった颯太。平穏すぎる幸せな生活に、外の世界に脱出するという意識そのものを封じ込められていく颯太。一方で、現実世界ではギルガメスが中心になって颯太救出のために皆が奔走することになるのだが……ギルくんこと忍くん、さすが原典の主人公であるだけあってかちゃんと出てきた途端に凄まじい存在感である。相棒の中の相棒、というオーラを出しまくってる。確か、事前の話では彼こそが最大の敵となるはずだったのに、やっぱり彼はどの作品においても主人公の相棒枠、というか凄まじく頼りになる支援者枠なのよねえ。東京皇帝でもそうだったし。まあこの熱くてカッコイイ男が悪役なんてやれるはずもないのだが。
ってか、颯太に「自分が認めた唯一の男」と言われて、めちゃくちゃ奮い立ってしまうところなんてもう侠気の塊みたいなもんじゃないですか。友を助けるために恥も外聞もなく、誇りも捨て去り同じ絶対存在のエデン・リプライをはじめとする皆々に助けを請うギルガメス。まあ、エデンや大魔王まおん先生からして、みんな颯太のためなら否応もないのだけれど。
しかし、ラストにヒロインたちがその名前に由来する魔法使いや騎士といった職業に纏わる能力を発現して颯太を助けることになる、というのはシリーズ当初から容易に想像できてはいたんだけれど、元々備わっていた力がーー、という展開だと思ってたんですよね。それが、該当する力を有する強大な存在から力を借り受けて、という形になるとは想像もしていなかった。
それも、この一時的に力を貸与できる戦乙女という黄道器の機能は「普通の少女」でなければならないというものなんですけれど……。

菜波・K・ブレードフィールド(騎士)
魔法ヶ沢 茜(魔法使い)
召喚寺 菊乃(召喚士)
盗賊山 恵(盗賊)
龍騎士原 月麦(竜騎士)
聖帝小路 美森(聖帝)
忍者林 瑠璃(忍者)
深雪・マッケンシー(魔剣士)
大名侍 鳴(侍)
大司教河 くるみ子(司教)
白亜・バーサーカー・ブレードフィールド(狂戦士)
吟遊院 芹香(吟遊詩人)
英雄崎凛(英雄)
巫女神愛菜(巫女)

……鳴ちゃん、仮にも七徳院のメンバーなのに普通の少女待遇ですよっ。作中でもツッコまれていましたが。でも、地産地消の月麦婆ちゃんもええんかい、って話ですし、現実世界だとくるみ子だって魔法少女福祉機構の事務総長に就任してますし、普通とはw

結局、力を与えてくれた相手も表記すると、

菜波・K・ブレードフィールド(騎士)神楽・ブレードフィールド
魔法ヶ沢 茜(魔法使い)マァリン
召喚寺 菊乃(召喚士)ナルメル・エベラーゼ
盗賊山 恵(盗賊)ジェルトロ・フルテッド
龍騎士原 月麦(竜騎士)アリシア・ドラグーン
聖帝小路 美森(聖帝)ギルガメス・センティア
忍者林 瑠璃(忍者)N
深雪・マッケンシー(魔剣士)エデン・リ・プライ
大名侍 鳴(侍)タリアス・ジョア、ナーシア・ファグナル
大司教河 くるみ子(司教)天后まおん
白亜・バーサーカー・ブレードフィールド(狂戦士)ミーロワース
吟遊院 芹香(吟遊詩人)リヴェド
英雄崎凛(英雄)ギルガメス・センティア
巫女神愛菜(巫女)サクラメント、ラプラスの魔

美森先輩なんか、登場した時聖帝ってなんだよ、サウザーかよ。と笑ったもんだけれど、聖デルタ王国の聖騎士王であるウィガレム・オーヴァーロード/巴御劔/ギルガメス・センティアはそれこそ聖帝と呼ぶに相応しい存在だったんだよなあ。まだ巴御劔の存在も何も出てない時期の登場だったんで、チラッと巴御劔関連してるのかな、とは考えたことはあったけれど、こういう形で関わってくるとは。
侍に関してはけっこう強引なこじつけだった気がするけれど、タリアスとナーシアに侍要素ってあったのか。彼らの師匠っていう白井・出雲守・璃貴―璃貴フロスト・ホワイトって、がをられでは登場してなかったはずですよね。東京皇帝の方では本人チラッと出てただろうか。
よくまあ、こんだけとんでもない存在集まってたなあ、とこうして並べてみると半笑いになってしまう。肩書だけ見ても、聖騎士王に全次元最強魔導師に大魔王に妖精女王に、と。召喚士の彼女も三大召喚士の一人ですし、七徳院No.100のNが、忍者のNだった、というのには吹いたけれど。この人、本名がニニスなんですよね。七徳院、さらっととんでもないの混じってるなあ。

こうして振り返ってみると、盛大に広げた風呂敷をちゃんとキレイにたたむに至る構成で、ある意味置き去りにしてきた第一部の舞台である“第83462仮想世界”の件にも決着をつけてるんですよね、これは本当にえらいと思った。
竹井ワールドの四方八方に広がりまくった世界観を、この「がをられ」ではだいぶ見える位置に引っ張り上げてくれたので、設定好きとしても非常に楽しい作品でした。菜波にはじまり菜波に至る、という観点においてはきっちり菜波がメインヒロインとして締めるところをシメてくれたのは素直に嬉しかったです。個人的には大名侍鳴党だったんですけれどね。神竜編での圧倒的なヒロイン度は、鳴ちゃんぶっちぎりでしたしねえ。
さすがにヒロインの数が数だけに、なかなか主張できない煽りを食った子も居ましたけれど、逆に考えるとこの登場人物の数を思うとよくこれだけみんなに存在感を失わないように出番与え続けられたなあ、と感心するところでもあり、あのテンポのよいギャグというか掛け合いも、みんなにセリフと出番を与え続けるには最適のシチュだったのかもしれません。神楽のおかん属性がラストらへんあんまり見られなかったのは微妙に残念でしたがw
既に新シリーズ【褒められて神軍】も開幕しているので、さっそくそちらの方も堪能しに行こうと思っています。
15巻という長期シリーズをあますことなく使い尽くしての大団円、文句なしの大満足でありました。あー、満腹満腹。がをがを♪

シリーズ感想