盟約のリヴァイアサンVIII (MF文庫J)

【盟約のリヴァイアサン 8】 丈月城/仁村有志 MF文庫J

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「ふふふふ。どうにか我―雪風の前に立つ資格を得たようだな、春臣よ」
辛くもパヴェル・ガラドを討ったハルたちの前に宿敵、雪風の姫が再び立ちはだかる。どうにか勝機を見出すための時間稼ぎに休む時間がほしいと嘯いたハルは、雪風から三日間の猶予を得る。願いを聞き入れた雪風に、アーシャ、織姫の二人と共に連れてこられたのは彼女の領土、なんと月面上だった。刻一刻とタイムリミットが迫るなか、最終決戦への切り札を模索するハルたちだったが―。シリーズ最大級のスケールにしてクライマックス!至高のドラゴン・エンタテイメント、堂々完結の第8弾!!
作者の描く主人公ってみんなエロスの権化みたいなところがあるけれど、その中でもこの晴臣は一番自分の欲望に忠実なところありますねえ。その割に一番一線を超えられなさそうなのが、ヘタレというよりもエッチさが子供っぽいというべきか。織姫、ほんとどんだけ揉まれたんだ。ってか、二人とも若いのによく揉むだけで我慢出来たなあと思わないでもないけれど、それだけ夢中というか集中してたんでしょう。揉む感覚と揉まれる感覚にw
パヴェル・ガラド相手でもギリギリの綱渡りだったのに、その直後に竜王たる雪風が喧嘩を仕掛けてきた状況は、ハッキリ言って勝てる可能性ゼロ。こればっかりはいくら小細工を弄してもどうにもならない相手で、それでも口八丁に手八丁、あらゆる手練手管をこの短時間で用意して見せたハルの小賢しさが際立っていました。やっぱり力任せではなく、何としてでも真正面を回避して策や詐術をろうしまくる方がいくら僭主として成長してもハルらしさが出てて、この雪風との決戦は実にらしい戦いぶりで見応えがありました。
そして何より生き汚い! ハルの場合って切り札を幾つも用意している、というよりもいざ負けてもリカバリーできるかもしれない可能性を常に準備しておく、という感じで負けた場合を想定しておくことを恐れないところが、実にクレバーというか戦士とも策士ともまた違う、彼の本質が冒険者やトレジャーハンターという生還することを最優先にする生き物であるというのがよく滲み出ていた気がします。
生き残るためならなんでもやらかす、というあの無茶苦茶さはいい具合にマトモじゃないです。
その点、アーシャの方は真っ当に魔女であり戦士であるんですよね。ハルよりもよっぽど竜に親しい性質なんだろうなあ。ハルが度々戦うセンスについてはアーシャの足元にも及ばない、彼女こそが本物の天才、と繰り返していたのをこの一戦で嫌というほど実感させられました。当人は雪風にはどれだけ授業しても強くなっても届かない、と感じてたようだけれど現時点ではともかくとして、僭主としてもっと伸びていったら、そして竜にまで至ったら遜色なさそうなんだよなあ。
少なくとも、あれだけ女子力を損失してしまっている以上、等価交換じゃないですけれど魔女として天元突破する可能性くらいないと可哀想すぎるじゃないですかー。
結局、ヒロインとして成立しないくらいに女子力損なってしまったんだし。うん、ここまでどうしようもないポンコツは類を見なかったなあ、うんうん。
まあ相手がパーフェクトヒロインである織姫であった以上どうやったって太刀打ち出来なかったのでしょうけれど。包容力といい女子力といい清純さといい性格の良さといい聡明さといいスタイルといいエロエロさといい、まさに非の打ち所が無い完璧さでしたものねえ。
むしろ、最後に横から殴り込めた雪風がそれだけ大したものだった、と言わざるをえない。個人的には別シリーズのアテナのリベンジみたいな感じがして嬉しかったですけどね、この顛末は。
ラストは随分とハンニバル氏が美味しいポディションに食い込んでた気がしますが、こういう渋いナイスミドルがやりたい放題しているのは気持ちいいです。エンディングもスッキリ飛躍する未来へと繋がっていて、キレイな幕引きでした。
何気に、作者の完結作品ってこれが初めてなのか。

シリーズ感想