魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 1 (HJ文庫)

【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 1】 手島史詞/COMTA HJ文庫

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悪の魔術師として人々に恐れられているザガン。不器用で口の悪い彼は、今日も魔術の研究をしながら領内の賊をぶちのめしていた。そんな彼が闇オークションで見つけたのは、絶世の美しさを持った白い奴隷エルフの少女・ネフィ。彼女に一目惚れしたザガンは財産をはたいてネフィを購入するが、口下手な彼はネフィにどう接していいかわからない。かくして、愛の伝え方がわからない魔術師と、主人を慕いながらも訴え方がわからない奴隷、不器用なふたりの共同生活が始まる。
おおっ、手島史詞/COMTAコンビの作品というと【影執事マルク】以来じゃないですか。作者の作品の中でもあのシリーズは特に好きだったので、コンビ復活は素直にうれしいですね。
原点回帰というわけじゃないんでしょうけれど、この主人公とヒロインが微妙に食い違いながら何故か噛み合っている、という本人たちは必死でお互いの距離感を縮めようとバタバタしているのに、傍から見ているとなんだかんだと相性ピッタリで相思相愛で微笑ましい、というスタイルのラブコメみたいになってて、いいんですよね。
ザガンもネフィも口下手とか通り越して、生き方が不器用そのものでそもそもコミュニケーション能力が壊滅しているんだけれど、逆にそれが良かったのか本来なら明後日の方向にすれ違ってしまう行為や言動が不器用同士二人とも若干ずれているせいか、お見合いするみたいにばったり合わさってちゃんと大事な部分は伝わるんですよね。
それが傍から見ていると拙いけれど必死なコミュニケーションがちゃんと成立しているのが実に微笑ましく見えるんですよね。だもんだから、二人ともがとてもかわいらしい。
その点、聖騎士の娘はザガンがあまり相手をそもそも認識していないせいか、一人でカラ回ってるところが多々あって若干可哀想なんですよねえ。立場上仕方ないとはいえ、誤解されることも多くて泣いちゃってますし。ってかガチ泣きじゃないか、騎士のくせに。でも、立派な娘なんだよ。教会内で異端とも言える常識と良心が信念の芯に据えていて、自分の身が危うくなるのも覚悟の上であれこれと画策してくれるわけだし。
その好意がある程度ちゃんとザガンに伝わっているのは、報われていると言えるのかもしれないけれど、恋愛面からするとザガンとネフィがあまりにも相思相愛すぎてとても割って入る余地がなさそうなだけに、そっちは報われなさそうだなあ。
本作では魔王の称号は統治者としての「王」ではなく、魔術の徒としての最上級の位としての意味合いであり、他の魔王たちから承認を受けて継承するものなので、想像していたものとはだいぶ違ったんだけれど、変に王様としてあれこれ内務や外政や戦争をやらないといけないよりも、魔術という分野のマッドサイエンティスト的なあれやこれやで、キャラも変に増やさずに行くほうが話の展開も面白そう。魔王という存在そのものへの謎も、今回浮かび上がってきたわけだし、ネフィが抱えている彼女の過去、背景もまだ端緒に足を踏み入れた程度ですし、本番はこっからかー。
でも、二人の微笑ましいイチャイチャっぷりを見てるだけでも、何とも癒やされそう。

手島史詞作品感想