セブンサーガ (2) ~七つの大罪 氷の王国は怠惰に眠る~ (電撃文庫)

【セブンサーガ 2.七つの大罪 氷の王国は怠惰に眠る】 和泉弐式/まじろ 電撃文庫

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七つの大罪のひとつ“憤怒”の力を手に入れたラファエルは、ペルガモン王国で賞金首となってしまう。追っ手から逃れるため、そして宿敵クルセウスを追うために彼が目指したのは、長年敵国として戦ってきたサルデス王国。一年のほとんどを氷雪に覆われ、氷の王国とも呼ばれるサルデスに密入国した彼が吹雪の中で出会ったのは、驚くべきことに―。復讐の念に燃えるラファエル、兄の真相を知ろうとするセルシア、そしてラファエルをひたすら慕うイブ。彼らの冒険の先にあるのは…!?王道ファンタジー、待望の第2巻!
セブンサーガなのにセカンドで終わってしまうんかー。というわけで、壮大なスケールではじまったにもかかわらず二巻で打ち切りと相成ってしまったのですが、個人的には変に話をまとめずに敢えて続く形で終わらせたのは良かったと思う。これは人の好き好きになってしまうんだろうけれど、無理やり纏められた方がもやもやするんですよね。むしろ伏線とかぶん投げて話が終わってないまま続く、で終わってくれた方が書籍としてはもうこれ以上でなくても、物語としてはまだ描かれない先で続いているのだ、と捉えることが出来るというのは一つの救いなんですよねえ。
まあでも、大罪の力を使えば使うほど代償を支払わなければならない、というラファエルが抱えてしまった呪いの行く末とか、ほんと何が待ってるのかとかめっさ気になるんですけどね。アザゼルの過去とか、そういえばウリエルがあんな形で登場するってことは、主人公のラファエルってもしかして単に名前だけが天使ってわけじゃないのか、とか気になるところは色々と残ったままなんですけどね。こればっかりは続きが出ない以上どうしようもないのですが。
様々な国を巡っていき、様々な風俗・民族が暮らす異なる世界を体験し、冒険を繰り広げていくという旅の物語でもあることが、この氷雪に覆われた北国、というか氷結国家が描かれることで作品としての方向性も指し示されただけに、勿体無いんですけどねえ。
題材となる七つの大罪に関しての掘り下げや、土地の風情はともかくとして国としての組織の在り方というかスケールみたいなものをなかなか描けてなくて、一つの国家の女王や宰相の問題というよりもなんか小さな都市の話みたいになってしまっていたあたりがもうちょっと、ってな感じでもあったのですけれど。アスラウグのポンコツな女王様っぷりはなかなか可愛らしかったのですが、傀儡であるという以上にどうも国家元首としての自覚が足りなかったところもあるしなあ。一人で勝手に抜け出してうろついているだけならともかく、あそこで助けるにしても女王として許してはいけない場面というのもありましたし。
折角くっついてきたセルシアも、今ひとつヒロインとして存在感を出せていたかというと、彼女らしいまっすぐな気質は見せながらも若干居るかいないかわからない存在感の薄さが付きまとっていて、もうひと押し二押し欲しかったところかなあ、と。
まあこうしてみると、あれやこれやと物足りない部分があったのも確か。しかし、それもシリーズを続けていけさえすれば密度としても埋めていけるものだと思うし、ストーリーの構成自体非常に魅力的で先を見たいと思わせる作品だっただけに、やはり残念ではありました。
これにへこたれずに次回作も頑張って欲しいところです。

和泉弐式作品感想