機甲狩竜のファンタジア2 (ファンタジア文庫)

【機甲狩竜のファンタジア 2】 内田弘樹/比村奇石 富士見ファンタジア文庫

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旧文明の遺物『V号戦車パンター』で人類の天敵『竜』を撃つ『機甲狩竜師』を目指すトウヤたちに下された新たな任務。それは森に棲むエルフたちと協力し、王竜種バハムートが棲まう未踏の遺跡『雲海の塔』の調査だった。任務の過程で未知の戦車を操るエルフたちと出会い、バハムートの謎に触れる中、一人の少女の忌まわしき過去が呼び起こされていく―。「どうして、あたしを殺してくれなかったの…!」そして徐々に明らかになっていく世界の真実と、変わりゆくトウヤと少女たちの絆。戦況は新たな局面へと突入していく!
そうかー、パンターの乗員全員「たわわ」なのかー。それは重畳。それは重畳。このあたりはイラストレーターの比村奇石を最大限活かすための設定ですよね。パンター戦車の内部にみっしりとたわわが充満している光景を想像するに、まったくもってファンタジーである。
さすがに戦車単独での戦闘を続けるわけでなく、歩兵や他車種による諸兵科連合を形成するようになりましたか。いくら殆どのモンスターがパンターの装甲を抜ける攻撃力を持たないとはいっても、わらわらと群がられてきたら一両の戦車じゃ対処できないですし、モンスターの種類も多種多様を極めていることを思えば、他の戦闘単位との連携は柔軟な対応を可能にしますからねえ。でも、戦車の直協を受けながら戦うのって、徒士の兵科からすると結構難しいものがあるはず。特に相手が人間の軍隊ではなく、モンスターで殲滅戦が主体となっていると、ねえ。主砲の影響範囲に入らないように立ち回ったりや戦車の機動の邪魔にならないように、踏み潰されないように、という行動は相当に神経を使うはず。戦車側からすると、視界も狭いですし味方歩兵の位置を常に把握しながらというのも難しいものがあるはずですから、歩兵側で極力判断しなきゃならないですし。
なので、これ組むとしても生半な練度のパーティーとはまともに連携取れないんじゃないだろうか。今回は学院でもトップクラスで前回の暴竜退治での共闘も経験し、指揮官同士も気心が知れていたクルルたちパーティーが相手だったから十全諸兵科連合機能したけれど、これを基準と捉えてしまうと他が苦労しそう。
今回の話じゃないけれど、次出てきそうな「虎」の方とか。あっち、戦車にも習熟してないですし。
ともあれ、エルフの所有していた四号駆逐戦車ラングも加わって、未踏のダンジョン『雲海の塔』を順調に攻略していくトウヤたち……ダンジョンに戦車乗り込めるのかー。戦車二両が十分戦闘機動を行える、という時点でこのダンジョン途方もない大きさだというのが理解できてしまう。普通のダンジョンのイメージだと、洞窟にしても迷宮にしてもタワーにしても、フロアはともかく通路は人間サイズで支障がない程度、というイメージだからなあ。スカイツリーとか梅田地下街とかでも、車乗り入れ無理でしょう?w
あと、件の遺跡。塔ではあっても階段ではないんですよね。なかったよね? 階段を登坂する描写あったっけ。ガールズ&パンツァーを見てたら、階段程度問題ない気もしてしまいますが。
しかし、食料なんかも積載して、とあったけれど燃料も一緒に積んでたんでしたっけ。火属性の攻撃受けたら結構危なかったんじゃw

今回スポットが当たったのは、サツキとフィーネ。特に、サツキは過去の因縁と向き合うことになる試練の回。いわゆる普通普通を自分で力説する子は、大概にして普通じゃない過去を持っているわけで、そもそも他の人達が存在すら知らない「砲」の概念を知っていたという時点で怪しさ大爆発だったのですが、さすがに戦車そのものに関わる過去じゃなかったものの、なかなか難しい、そしてある種の負け犬としての過去を背負っていたんですなあ。立ち向かって負けるなんかよりもさらに、逃げた過去は早々振り切れるものじゃない。それを、この局面でサツキは突きつけられることになる。
まあ若干、心理描写へのアプローチがクドいというか、問題の提示・直面・苦悩・解決に至るプロセスが型に嵌めたような堅苦しさがあって自然な変化の描写と捉えられずに、ちょっと馴染まない部分があるんですけどね。これは他作品でも同じ傾向でこの作者さんの作風なので、ここらへんは好みによるかと。

バハムートについてはそう来たか、と。いわゆる正統なバハムートが登場したのって結構珍しいんじゃないだろうか。こういうギミックは好きだなあ。

一巻感想