欠けゆく都市の機械月姫 (角川スニーカー文庫)

【欠けゆく都市の機械月姫(ムーンドール)】 永菜葉一/ リン☆ユウ 角川スニーカー文庫

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美少女フィギュアを愛する少年・桜井拓人は、「必ず未来へ行ける」と嘯く変人科学者の実験に付き合い事故に遭う。目覚めると目の前には絶世の美女と青き地球――。
「今は西暦XX年。ここは廃棄された月面都市ムーンダリアです」
どうやら“月”に未来転生したらしい。エレクトラと名乗る彼女は、人間への性的奉仕を目的に作られたアンドロイドだった。現代へ戻る方法を探す矢先、拓人は自分に“ある任務”が課せられていることを知って……。
変人科学者の人が完全に【バック・トゥ・ザ・フューチャー】のドクだー!!
いや、本編でも「ドク」とか呼ばれてるし。いやこの際、行き先、超未来の月面都市なんかじゃなくて【バック・トゥ・ザ・フューチャー】みたく近未来でも良かった気もするんだけれど、それだと話全然変わってきてしまうか。でも、幼馴染が冒頭にチョロっと出てきただけで全然活躍も何もなかったんで、キャラ的に勿体なかったんだよなあ。ああ、でも幼馴染枠は「あの子」が持ってきているので、いいのか。生身の幼馴染の方はただただ「耳かき」の餌食要員というだけで。
それにしても、普通の主人公は当たり前にヒロイン調教とかしないからね。デフォルトで調教するの、永菜作品だけだからね! 当たり前がなんかズレてる!!
この主人公の桜井拓人は珍しくマトモな方だと思ってたのに、いきなり耳かきしだした途端に完全にアウトなモードに入っちゃうし。これって、あっちの幼馴染も実は調教済だったのね、ということですよね!?
一応、本作のメインヒロインって未来にて出会ったポンコツ姫型アンドロイドのエレクトラになるわけだし、実際に拓人もエレクトラに一目惚れして相思相愛みたいな形態になってはいるものの、実のところ常に主人公にピッタリとくっついてあれこれとサポートしてくれる上に、熱量も共有してくれて命を懸けた場面ではお互い絶対の信頼をもって躊躇なく共に征くことを疑いもしていない、完全無欠の相棒として成り立っているの、サポートAIのチェリーの方なんですよね。
チェリーって別に実体化しないし、人間形態を持っているわけじゃないんですけれど、もうHEARTがアレばヒロインとして十分、というのが伝わってくる以心伝心っぷりで、幼馴染がチェリーに対して微妙な反応示しているように周囲から見ても、このコンビの息の合いっぷりは相棒を通り越してるみたいですし。
最後にはチェリーの方も自覚持ってしまったみたいですし、この未来ならAIがアンドロイドの身体を手に入れるのも難しくはなさそうなだけに、実体化してしまうとこれヒロインとして無敵になってしまうんじゃなかろうか。
問題はこれが未来転生ではなく、精神だけ未来に来てしまって地元の人間の肉体に宿ってしまった未来憑依にあたるところなんだろうけれど。人間の精神だけじゃなくて、一緒に居たサポートAIまで未来に一緒に飛ばされて、現地のAIに宿ってしまうというのはなかなか面白かったんですけどね。これ、こっちで身体手に入れてしまうと、元の時代には一緒に戻れないだろうし。まあ、話はそこまで進まなかったのですが。
ちょっと主人公のキャラクターにアクがなさすぎて、行動指針などにも強烈なものがなかっただけに、いまいち話がさっぱりしすぎていた気がするのがちと勿体無いところ。この作者の主人公は、みんな頭がおかしいところが良かっただけになあ。
あと、やっぱりウリ文句は転生でないといけないんだろうか。本編中でもこれって憑依であって転生じゃないよ、とツッコミが入れられながら、それでも強引に未来転生、というフレーズを使う方向に決定させられてたし。そういう自主ツッコミを作中で自分で入れてしまうあたりが、可愛げに思えてしまった。いやはや。


永菜葉一作品感想