かくりよの宿飯 六 あやかしお宿に新米入ります。 (富士見L文庫)

【かくりよの宿飯 六 あやかしお宿に新米入ります。】 友麻碧/Laruha 富士見L文庫

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あやかしの棲まう“隠世”の老舗宿「天神屋」に秋が訪れる―。ライバル宿「折尾屋」に攫われていた葵は、困難の末に完成した料理で、南の地の呪いを晴らした。凱旋する彼女を待っていたのは、「天神屋」の仲間との温かくも大忙しの毎日!新作お土産を考えたり、秋祭りの準備を進めながら、食事処「夕がお」を再開していく。そんな時、葵は大旦那様から果樹園デートに誘われた。いつものお誘いと変わらないはずが、「折尾屋」での一件を経た葵は、大旦那様のことをもっと知りたいと思う自分に気づいて…?

白米! 白米! 白米!! ちょっともう初っ端の白いご飯は反則だよっ! 本日は「夕がお」が繁盛して残り物もなく、残ったのは白いご飯だけ、というところに従業員のみんなが終業して、クタクタになってご飯食べに来るんだけれど、あるのはお米だけだから、みんなおかず無しで色んな御飯のお供で白米を掻き込むことになるんですけれど……これが反則級に美味そうなんだ。白飯最高!! そうだよ、日本人は白米さえあればわりと何とかなるんだよっ。ってか、飯テロ小説で真っ向から白ご飯、という棍棒を振り回してくるとかアリですか!? いやもう、どの御飯のお供も何倍もお代わりできそうなくらい美味そうで美味そうで、それだけでももう一杯一杯のところにトドメに新鮮な卵を使った卵ごはん! 卵かけご飯!! 卵かけご飯に肉味噌!! これもう非人道兵器じゃね!? 何気に作中のみんなのテンションも変な具合に高くなってたし。御飯美味え!
ええ、もちろんあとで卵かけご飯いただきましたよ? 自分は出汁醤油派。さらにふりかけを加えるタイプ。うへへ、マジ最高っすよ。
しばらく、あっちゃこっちゃに出張して忙しかったというかトラブルに巻き込まれることも多かった葵だけれど、ようやく落ち着いて「天神屋」で過ごす日々。落ち着いた、というには相変わらず賑やかすぎる日常なのだけれど、目下のトラブルや差し迫ったイベントや葵に突きつけられる課題、といった緊急のあれこれが無い分、落ち着いているのだろう。ってか、これだけ何事もなく、人間関係トラブルもなく、天神屋でもちゃんと居場所が出来てゆっくり「夕がお」の経営に勤しんだり、大旦那さまとお出かけしたり、と余裕をもって過ごせたのって初めてなんじゃなかろうか。
まあ、デートしに行った先でまたぞろ捕まってみたり、あれやこれやとトラブルには見舞われるけれど、これくらいなら何事もなかった、と言ってもいいくらいだし。
そうなってくると、改めて大旦那さまとの距離感なんかに思いを馳せる時間の余裕なんかも出てくるわけで、「折尾屋」に出張状態になっている時に随分と大旦那さまには助けられ、というかお茶目で気安い顔を見せてくれたお陰で、こっちに戻っていてもかつてよりもグッと心の距離感近くなってるんですよね。むしろ、大旦那様当人の方が、そんな葵の変化に気がついていなくて無理に距離をとろうとしてしまっているくらい。葵としてももどかしいってわけじゃないんだけれど、むしろもっと彼のことを知りたい、身近に感じたいと思い始めている時期だけに、以前のようにグイグイキてくれた方がこの際嬉しかったのかも。まあ、来られたら来られたでのけぞってしまうのが彼女かもしれないのだけれど。そう考えると、絶妙な引きかたをしてるのかもしれないなあ。
ただ、以前よりも接しやすくなったと葵が感じているのは彼女だけの感覚だけではないようで、他の店の面々も大旦那様の態度に、以前よりも柔らかいもの、子供っぽい生気みたいなものを感じてる様子なんですよね。
店の面々の結束は、確かに以前よりもずっと高まっているのが、大旦那様の変化や従業員たちから淀みや悩みが取り払われたことによって、より強く感じられるようになっているのが、今の天神屋だったわけです。
だから、そこに新たな新米、新キャラ投入も全然大丈夫かなあ……と、サブタイトルからもワクワクして見てたら……新キャラ登場どころか、むしろ退場じゃないかーー!! 厳密にはアイちゃん、クラスチェンジしてキャラ再誕、ってことになるのかもしれないけれど、新キャラとはいえないし。ってか、アイちゃんちゃんと表紙絵に出てるじゃん!
じゃなくて、それどころじゃなくて、ちょっとちょっと、何気に一番潤滑油的な人がぁ!?
ぐぬぬ、いや、決してこれ悪いことじゃなくて、円満退社というか寿退社というか、祝福される退場であるのでしょうけれど、しかし大事な友だちだっただけに寂しいなあ。
なんだかんだと、女子会というか、天神屋の女の子たちの友達関係もいい感じに熟してきて、男抜きでも彼女たちのワイワイ飯食ってる様子だけで楽しめるくらい、良い友達関係を築けてきていただけに、やっぱり寂しい。その分、ようやくお涼姉さんが本気になってくれそうですけれど。
いやもう、ラストの展開からして、葵を中心に天神屋が結束しなければならないにしても、柱となるべき人がもう一人は欲しかっただけに、このタイミングが大事だったのかなあ。葵としても、拠り所が必要な状況になってしまいましたし。
落ち着いて、葵の御飯を堪能するという……いや、実際食べられないので、この美味しそうな料理描写を指を咥えて眺めるという恍惚なのか苦行なのかわからないテンションに耽溺してたら、ラストに急展開ですからね。
紛うことなき天神屋最大の危機!! 大ピンチだぁ!

シリーズ感想