魔導GPXウィザード・フォーミュラ (角川スニーカー文庫)

【魔導GPXウィザード・フォーミュラ】 竹井10日/魔太郎 角川スニーカー文庫

Amazon
Kindle B☆W
世界中の魔導騎士達を運転手とした超高速マシンによるレースの祭典“WFグランプリ”。魔王を討伐した元英雄アーティスは、ある理由からこのレースにドライバーとして参加することになった。相棒であるナビゲーターのセナリィとコックピットに乗り込んだアーティスは彼女の爆乳を揉み…「はぁぁぁんっ!…い、…イっちゃ…!」そう、WFとは、ドライバーとナビゲーターが密着しHな気分になるほどスピードが増すマシンだった!
これ、ぶっちゃけどうやって運転しているとかあんまり考えてないでしょ! どう考えても運転そっちのけでエロいことしてるんですけど。ってかそれ以前に前向いてないしハンドル握ってる場合じゃないし、体制的に誰も運転してないんですけど!
というごちゃごちゃした話はどうでもいいんですけれど、一番驚いたのがエロいシーンがちゃんとエロいというところだったりします。作者の竹井10日先生は、元々エロゲのシナリオライター出身ですからもちろんヒロインのHシーンなんかも多く手がけてます。私も葉鍵時代の出身ですからして、当時は色々プレイしましたし当然「Marron」時代の竹井先生が手掛けた【秋桜の空に】と【お姉ちゃんの3乗】はやりましたよ。やったんですけどね、あれってエッチシーンになると趣向がなんというか、やばいくらいマニアックな変態入ってて、エロいとかエロくないとかいう以前に「変態!」という印象しか残ってなかったんですよね。もう随分と前の話なんで、そりゃ細かい部分は覚えてないのですが、「あれはやばかった」、「ドン引きだよ!」というイメージがくっきり焼き付いている時点で、相当だったはずである。
なので、本作のまともにちゃんとエロいシーンがあるコト自体に、時代の流れというものを感じてしまった。作風って変わるし、変われるのよねえ。……いつ、アーティスが寡黙で真面目な青年から鬼畜勇者に変貌するか違う意味でドキドキしていたんだが、エロエロドライブシーンに突入しても変貌せずに真面目なままで安心したのでした。でも、真面目な分こいつ全然容赦とか遠慮とか躊躇とかしないのね。相棒の性的興奮を高めるのが勝利への筋道だと認めるや、もうガンガン攻める攻める。恥ずかしがったり照れたりせず、冷徹にガンガン攻めまくるあたり、むしろこれも鬼畜の一つの形なんじゃなかろうか、と思えてきてしまった。さすがは勇者である。
世界観的には、アーティスが魔王討伐をやってた頃は普通に中世レベルの文明なのかと思ってて、アーティスが未来に飛ばされてしまうという展開なのかと思ってたら、普通に戦後数年してフォーミュラーカーのレースが始まってて吹いてしまった。いやいやいや、車あるの、この世界!? レース実況なんかも普通にやっているので、そもそも文明レベルわりと近代寄りだったんでしょう。社会形態は、王家を中心に封建領主が各地を統治しているような世界のようなんだけれど、あんまり気にせずノリでそういうものだ、と受け止めたほうが楽しい世界なんだろう、これ。
アーティスも例によって竹井作品の主人公らしく、眼が死んでるタイプなんだけれど、そうなった経緯が他の目が死んでる主人公と比べても、わりと王様だけが悪くてその悪意によって割を喰ってるという境遇故みたいなところもあるし、世間からの評価は未だヒーローそのもので、彼がレースのスターとして活躍することは彼自身が抱えているものを払拭するのに一番効果的でもあるので、わりと眼が生き返るまでのリハビリは早急に進みそうな感じがする。
レースの模様はこれなんだろう、タイムを競うレースというよりも他のチームの車を直接攻撃してぶっ倒すような展開になっているんで、真面目にフォーミュラレースとして見るんじゃなくて、チキチキマシン猛レース的な受け止め方をすると、素直に楽しい気がする。やたらと出てくる他の車のドライバーコンビも、総じてイロモノばっかりだし。
一応、他の竹井10日作品とはつながってない、ように見せかけてマシンにギルガメスの「センティア」と「SBD」の名前が一緒についていたり、アーティスが使う魔法剣の名称に、他の作品に出て来る連中の名前が付与されてたり、とまったく無関係ではないもよう。単に、名前流し込んで楽しんでるだけかもしれないけれど、それはそれでニマニマできるので、オッケーオッケー。

竹井10日作品感想