英雄エルフちゃんが二人の弟子を育てます! 崖っぷちから始める世界寿命の延ばし方 Step2 (MF文庫J)

【英雄エルフちゃんが二人の弟子を育てます! 崖っぷちから始める世界寿命の延ばし方 Step2】 秋月煌介/水鏡まみず MF文庫J

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先代英雄ヒューイの死から五年後、世界は変わらずに“黙示録の獣”の脅威に晒され滅亡への一途を辿っていた。残された現英雄のフィオは継承を行うためにウェズリー、キリエという二人の弟子を取るのだが…「二人とも、もっと仲良くできませんか?」「こいつの言葉遣いが汚いのが悪いんです」「このガキがつっかかるのが悪いっしょ」なんだかんだでどうにかこうにか、各地を旅しながらも世界の滅びを食い止めていた。ある日、英雄の力の全てが記されている遺物“ゲオルギアの魔術書”の所在が判明し手がかりを頼りに捜索に向かった一行だったが、フィオは何かを弟子の二人に隠しているようで―。終末世界を巡る、儚く切ない英雄継承譚、希望を繋ぐ為の第二巻!
あ、これはダメだ。世界滅びるわ。
前回、主人公であったヒューイからヒロインのフィオに継承された英雄の座。その一方で人類生存権の西方の要であった要塞都市が陥落し、この時点で大陸の西半分は「黙示録の獣」が跋扈する危険地帯と化してしまったんですよね。そして、人類の対抗手段は世界に一人しかいない英雄だけ、という時点で諸々人類に挽回の手段というのは殆ど残されてなかったのであります。この五年間、フィオは西側各地を回って獣退治に終始して、辛うじてその侵攻を押しとどめていたようですけれど、一人でやれることには限界があると同時に、英雄が短命であるという数々の要因に対して、フィオだけ免れるということが出来うるはずもないわけで。種族エルフとはいえ、フィオ自身のタイムリミットも刻々と針を刻んでいたはずなんですよね。それだけでも、もうジリ貧なのに、笑っちゃうほどポコポコとさらに悪いニュースというものが、英雄サイドに関しても、獣関連に関しても舞い込んでくるわけでして……もうあかんやんこれ。
そういえば、タイトルだって世界寿命の延ばし方、という延命にしか触れていなくて、救うとか完治とか寛解という語句が出てこない段階でもうこれやっぱり最初からあかんかったんやないやろうか。
トドメに、フィオ師匠。師匠とか先生と名乗るには絶望的に弟子二人に何も教えれてない!! 振り返ってみるとヒューイって、あの短期間でなんだかんだとフィオを使い物に出来るまでに即席で仕上げてみせたんだから、教えるのうまかっただよなあ。せめてメンタルケアだけでもしてあげてよ、と思う所なのだけれど、元々奴隷身分だった上に、ヒューイとの短くも濃厚で特異すぎる師弟関係にアテられてしまっているが故に、なんだかんだと五年も旅して回っていながらいまだ世間知らずなところもあるし、対人関係の根本がズレているので肝心なところで相手の気持ちを自分基準で捉えてしまって、間違えてしまうという致命的なことをやらかしてしまうわけで……。
それに、最後のあの反応を見るとフィオってヒューイの死に引っ張られていて、ウェズリーのような強烈な獣への敵意や救世思想って持ってないんですよね。そもそも、生きることへの執着が薄いとすら言える、いやこの場合死に焦がれているとすら言っていいかもしれない。
弟子の二人や、一巻で出来た友人たちの存在がフィオをつなぎとめているとも言えるけれど、ともすればフラリと簡単に崖っぷちから身投げしてしまいかねない危うさがあったんだなあ、と思い知らされてしまったわけです。ウェズリーの行き急ぐ危なっかしさに目を奪われガチでしたけれど、フィオのそれも相当だったんだな、と。
必要以上に背負わなくてもいいものまで背負い込んで、それが正しいと信じて自分を追い詰め、周りと困惑させ、状況を悪化させてしまったウェズリーですけれど、ここで荷を降ろさせるどころかさらに背負いまくらないとどうにもならない、世界終わってしまう、というところまで容赦なく追い詰めまくるこのえげつない展開、嫌いじゃないけれどやっぱりえげつないとしか言えないッ!

1巻感想