俺、ツインテールになります。 12 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。12】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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ツインテールを揺るがす禁忌の属性襲来!

慧理那とイースナの友情の力で<神の一剣>の先鋒を撃破し、決意を新たにする総二たちツインテイルズ。しかし、アルティメギル最高位の科学者・マーメイドギルディの策謀は着々と進行していた。彼女が直々に強化を施した残存戦士・カメレオギルディは、恐るべき能力を発現する。カメレオギルディを一般兵士と侮って戦いに臨んだツインテイルズはまんまと術中にはまり、装着しているテイルギアのパーソナルカラーをメンバー同士でシャッフルされてしまう。
レッドが青色に、ブルーが黄色に――ギアの色が変わったツインテイルズは思うように力を発揮できなくなるばかりか、各々の性格までもが、元のカラーの持ち主に生き写しとなってしまう。しかも、変身を解いても豹変した性格は戻らず、総二たちの日常生活はカオスとなってしまった!
その混乱も収まらぬ中、さらに<神の一剣>からも恐るべき刺客が襲来する。それは、ツインテールの存在を揺るがすほどの禁忌の属性だった……!

体感する仲間の性癖! 熾烈を極めてゆく戦い! そして、来訪者の驚愕の正体とは!? ツインテイルズよ、これまで育み高めた心の力で、強敵たちを迎え撃て!!
人格・精神の入れ替わりじゃなくて、性格の入れ替わりだったのか。いや、むしろ中身が入れ替わるよりも元の意識が残った状態で性格が変わってしまう方が面白い。まあ、普通の作品なら性格が入れ替わったからってそこまで影響なさそうな気もするのだけれど、俺ツイは性格=変態性、みたいなもんだからそれはもう酷い有様にw
ってか、愛香は業が深すぎるぞ。どれだけの憎しみを抱えて生きてるんだ。これ、うちに抱え込むと容易に悪落ちしてしまいそうな負の感情じゃないか。そうか、普段からその蛮性で発散しているから全く抱え込んでいないのか。それに、考えてみると既に悪落ちしているようなものだしな。
しかし、総二ってカテゴリー的には赤の熱血なのか。彼の熱量ってほぼ十全ツインテールに関してのものなので、熱血というよりも狂気の領域なのであんまりそういうイメージなかったんですよね。熱い語りを見せる時は、相手のエレメリアンと呼応して熱いリスペクト合戦が繰り広げられるので、熱量で言ったらいつも対等でしたしね。普段はというと、トゥアールと愛香のテンションが高すぎて総二が熱くなるシチュエーションってほぼ無いし、あるとすればツインテールに関することだけですし。
なので、レッド化したイースナの暑苦しさにはちょっと面食らってしまった。
とまあ、入れ替わりの混乱編はギャグと見せかけてけっこうピンチだったんですよね。精神のバランスまで崩れて変身すらできなくなってしまったわけですから。でもこれ、総二からするとコスチュームチェンジ・イベント的なそれぞれのツインテールの形を普段と違う形で結わえることが出来た総二的には美味しい話だったのかも。だいたいみんな、ツインテールの形は固定でしたからね。でもこれ、誰得ってか総二得でしかないんですけど。
ともあれ、ここまではもう前座でしかなかったわけで。やっぱり話的には唯乃が出てくるとビシっと締まるんですよねえ。愛香とトゥアールも人外魔境を繰り広げるだけじゃなくて、わりとここに来て女っ気も出しているんですけれど(ベッドに押し倒された時の二人のイラストは素晴らしかった)、でもヒロインとしての華もライバルとしての存在感としても、そこはかとない相棒感としても、唯乃が短い登場シーンで全部持ってっちゃうのよねえ。
そして、マーメイドギルティの暗躍によって起こってしまったラストシーン。
いや、この展開って特撮モノなら定番であると同時に、十把一絡げでしかない展開であるものなんですけれど、これが【俺ツイ】だと全く意味が違ってくるんですよねえ。
そう、彼らは敵であると同時に友であった。
相容れぬ者同士でありながら、掛け替えのない同志であった。
戦いを通じて、誰よりも理解し合った相手であったのだ。認め合い、尊敬しあい、許し合い、そうして共に高みへと至った者たちだった。
そこに憎しみはなく、怒りはなく、愛があり、友情があり、誇りがあり、敬意があった。
存在の在り方を越えた、同胞だったのだ。
彼らの登場シーンで、ツインテールズが抱くのは恐怖でも絶望でもなく、郷愁でありほのかな嬉しさであった、というのがすべてを物語っていると思う。
ちょっと泣けてきてしまったくらい。これまでツインテールズが歩んできた闘争の歴史が刻んできたものが、こんな形で現れてくるとは思わなかったなあ。
最後の、彼の台詞に込められた温かさが、本来放たれた言葉の意味と全然食い違ってるんですよね。ほんとなら、ここのシーンって圧倒的なまでにどうしようもなさに打ちひしがれるシーンだろうに、むしろこれクライマックスで歴代の主役たちが大挙援軍として現れてきたような、逆のシーンのような感じすらあるんですけれど。
いやむしろ、本当にそうならないかしら、とワクワクすらしてるんですよね。もちろん、そのまま戦ったとしても彼らが相手なら、決してくだらないことにはならないと確信、いや信頼出来てしまうのは、彼らの生き様が今なおハッキリと心に刻まれているからなのでしょう。敢えて、違う集団名を名乗ったのが伏線と思いたいところでもあります。

シリーズ感想