異世界拷問姫4 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 4】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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「余が貴様を速やかに殺してやるからな」
14階級の悪魔と契約者討伐を終えたエリザベートに、『皇帝』の契約者―全人類の敵となった櫂人を討てとの命令が下される。一方、逃亡生活を続けていた櫂人とヒナの下に、予期せぬ来訪者―獣人が訪れる。「人類の敵を、賓客としてお迎えする」何者かにより同胞を虐殺された彼らは、事件解決のため櫂人に助力を求めていた。早速向かった獣人の領域で惨状を確認し―
「俺はこの犯人を知っている。―間違いなく、悪魔の仕業だ」
だが、14の悪魔は既に殺し尽くしたはずで…?
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る異世界ダークファンタジー第四弾。分かたれし二人の道が交わる時、残酷なる世界の真実が姿を現す―。
はいアウト!! アウトアウトアウトーー!! それもう服じゃないからっ! 水着ですらないからっ! 超絶十字架ファッションすぎる。これに聖別的な意味が込められてるなら、神様の趣味を疑っていまいます。神アウト!!
いやもうね、エリザベートのあのドレスも大概でしたけれど、新たなる拷問姫こと「聖女にして阿婆擦れ」たるジャンヌ・ド・レの格好と来たら作中でもかなりツッコまれてました。これ創った錬金術師たち、何考えてたんだホントにっ。エリザベートの方はあれ、彼女の趣味なんだっ、と言い切られると「あ、あ〜〜」とまあ何となく目をそらしながら頷いてしまう部分があるのですけれど、こっちのジャンヌはちょっと自分の格好意味分かってるのか怪しい気がするので、これ創った連中がわるいですね、アクですね。大丈夫か、世界護る側がそんなんで。
それにしても、ジャンヌの名前からしてまた凄まじく冒涜的というかなるほどというか、名前だけで神聖さと禁忌を体現しているかのようである。
そんな彼女の出現が、14の悪魔を殺し尽くして終わったはずの、そしてエリザベートと櫂人とヒナだけの延長戦とも言うべき顛末かと思われた物語に、新たな開幕のベルを鳴らすことになる。
そうなんですよね。ぶっちゃけこの延長戦って櫂人たちの我儘であり、エリザベートの意固地であり、絶対に許されざる者の救済であり、痴話喧嘩に収まりかねないところがあったのですけれど、これまでの戦いが全部前哨戦に過ぎなかった、というのなら話は大いに違ってくる。ってか、第二幕開始、いや真章開幕じゃないですか、これ!?
でもそれはそれとして、カイトたちに救われて、しかし置いて行かれてしまったエリザベートの落ち込みっぷりがねえ。孤高の狼であった彼女の安らぎがどこにあったのか、得られぬはずの幸福がなんであったのかが、静まり返った城に独り残ってしまったエリザベートの姿が嫌というほど物語っていたんですよね。もうらしからぬほどのへこみっぷりで。
だからこそ、騒がしく押しかけて肉食わせてくれた肉屋の存在がありがたかったのです。まだ、エリザベートがひとりじゃない。別れてしまったけれど、置いて行かれてしまったけれど、肉屋を通じてカイトたちとの時間がまだつながっているのを実感できたというか。ちゅうかなんで自分がこんなへこんでなきゃいかんのだ、何もかもがカイトが悪い、締める、甚振る、ぶっ殺すっ! ぶっ殺す前にこの憤りを晴らすためにぶん殴る、蹴っ飛ばす、踏むと激おこぷんぷん丸なエリザベート様の元気いっぱい復活がまた、良かったというか大変なことになったというか、うんうん。
そう、ほの暗い覚悟や後ろめたさ、嘆きや怨みなんかはとりあえず置いておいて、エリザベート様を怒らせたんだから殴る! というシンプルな激情が、淀みを消し飛ばしてくれたみたいで、その原動力となった肉屋は以前からの痒いところに手が届くサポートも相まって、本当にありがたい「仲間」の一人だと、そう思って疑いもしなかったのに。
まさか、そんなキーパーソンになっていたとは。
愛もある、情もある、幸せな思い出があり、絆があり、友情があり、親愛がある。彼の人と我らにはそれがあり、しかしそれらすべてを投げ打っても果たすべきものがある。
ああこれは、もっとも魅力的にして悲嘆たる敵役の在り方じゃないですか。もしかしたら、主役を食う可能性すら生まれるほどの、悪の誕生じゃないですか。
まさか、ここまで重要なキャラクターになってくるとは。
悪魔たちですら慄き冒涜的とのけぞった世界に隠されていた真実。それを元にうごめく世界壊滅の運命と、その運命に抗う者たち。そして、定められた運命に投じられた一抹のイレギュラー。拷問姫エリザベートとその従者たち。この、本当の戦いが今、はじまる、というノリはホント好き。

とりあえず、カイトとヒナのご夫婦新婚生活スタートにも、おめでとうの一言を。祝杯をあげるのと壁をぶん殴りたくなる気分を同時に味わったエリザベート様には、えらく共感させていただきました、ええそれはもうw

シリーズ感想