ワールド・イズ・コンティニュー2 (ファンタジア文庫)

【ワールド・イズ・コンティニュー 2】 瀬尾つかさ/ 早川 ハルイ 富士見ファンタジア文庫

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Kindle B☆W

“死んでも蘇る”を繰り返し、レベル100に到達した浩史とハイシェン。しかし、姉が待つ地に辿りつくには最強の旅団を作ることが必要だった!敵陣を穿つアタッカー、絶対的タンク、広範囲への制圧力。必要なピースを探す浩史だが、やっと見つけた一対多のスペシャリスト、シリンはどうやらハイシェンと相性が…?浩史にべったりなハイシェンに気ままなシリン。おまけに、素直でなかった風羽根も少しずつ積極的になってきて…!?浩史は旅団をまとめ上げることができるのか。攻略は新しいステージへ!!
打ち切りかー。僅か二巻で、というのは辛いなあ。
本作って、6人居る闘神のそれぞれが、別の世界の人間なんですよね。その使徒として召喚されるのも、また闘神と同じ世界の人間たち。それぞれの世界に異なった文化があり、能力があり、価値観がある。今度登場したシリンの居た世界というのは、魔法と科学が融合した文明が隆盛をなしていた世界であり、相応に機械群を操る文化を持っているのだけれど、このように召喚されたこの世界で用意されていたシステム上のスキルや職種とは別に、使徒の出身によって価値観の相克があり、それが文化交流みたいなのも催す萌芽となる描写もちらほら散見されて、シリーズ長く続いていくとそこらへんにもスポット当たったんだろうなあ、といささか残念なんですよね。
現段階でも、不老不死で自壊死以外に死なない使徒たちと、普通の寿命しか持たない彼ら使徒の二世・三世との世代ギャップ、同じ使徒でも既に百年以上生きている人たちとまだ召喚されたての若い世代との意識の違い、同じ日本人でも元の日本を知らない二世・三世世代との違いなど、異なる在り方の人々との「交流」と「協力」。友人になること、仲間になることへのハードルをこうして設けているのを見ると、この作品に設けられていたプランニングが色々と想像も出来るんですよねえ。
それなりに長期プランを組んでたんじゃないかなあ。
勿体無い。
個人的には桃子の、闘神たちが企図したゲーム攻略ルートを思いっきり無視した経済掌握による世界大改造がどうなっていくのか、の方をもっと見ていたかったんですけどね。本来なら百年を費やしてもレベル100に至れない中で、僅か数ヶ月で効率的レベルアップ法を駆使してレベル100に到達した浩次は、最初からゲームの攻略法を知っていたにしても十分頭おかしい人種なんだけれど、それに負けず劣らずわずか数ヶ月で地域の経済掌握したどころではなく、流通革命を起こして世界の在り方そのものを数ヶ月で数百年単位で発展させようとしている桃子女史の方も十分頭おかしいんですよね。二巻、名前だけで一切登場していないにも関わらず、この存在感w
それよりもヒロインとして面白かったのは風羽根由紀その人でしょう。桃子が金庫番にして財界の妖怪とすれば、風羽根は組織運営の魔人、みたいな人なんですよね。元からある組織をうまく動かす、というのなら出来る人は少なくないかもしれないけれど、ゼロから組織立ち上げて人集めて各界と協力繋いで、滞りない運営体制を作り上げて、最終的に自分が居なくても組織が勝手に動けるように完成させる、って豪腕どころじゃない手腕なんですよね、これ。召喚されて大混乱に陥っている連中をまとめ上げて、というだけでも凄いのに、浩次たちのバックアップをほぼ完璧に物資の提供から人材の確保から何からこなし切ってたわけですしね。
んで、彼女が凄まじいのは、当時居た現地で作り上げた組織を自分が関わらなくても自力で運営できるようにした上でほっぽり出し、自分は身一つで浩次たちが新しいフィールドに進出したのにくっついてきた挙句に、またその新しい土地で新しい組織作り上げて、さらに大規模に浩次たちを支援できる組織とその枠組をつくりだしてしまった、というところなんですよね。
化け物か、この女!!
しかも、それって一途に浩次を助けるため、ただそれだけのためなんであって、ゼロからバックアップ体制を作っては、それを放り出してしまうのに一切躊躇がないのである。野心とか全然ないんですよね。果たして、かつてここまで都合が良すぎる女が居ただろうか。自分の手持ちの財産や能力から際限なく貢いでくれる女性は珍しくなかったかもしれないけれど、ただ貢ぐためにこれだけ巨大な影響力を及ぼす体制を構築してしまうとか、とんでもねえよ! それで、ちょっと感謝されたりしただけでテンションマックスまであがって鼻血出してしまって満足するというチョロさ。餌、それだけでいいの? という見返りの無さなんだけれど、風羽根さんは十分満足そうなので、いいんでしょう。そう思っておいた方が平和だ、きっと。

1巻感想