いつかのレクイエム case.2 少女忍者と剣の悪魔 (GA文庫)

【いつかのレクイエム case.2 少女忍者と剣の悪魔】 嬉野秋彦/POKImari GA文庫

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「ここに最近、多くの呪物が持ち込まれたはずだ。……どこにある?」

女子高生と陰陽師の二重生活をしている少女ひよりと、その同居人で魔女術使いの青年レイジの元へと持ち込まれる依頼が急増していた。何者かが付喪神を宿した呪物をばらまいて騒ぎを起こしており、それを調伏して回るレイジ。一方、期末試験のため勉学に励んでいたひよりは、レイジ不在の事務所を謎の黒ずくめに襲撃されてしまう。ピンチに陥ったひよりだったが、相手もどうやら同年代の少女のようで――! ?

呪具をばらまいた犯人の目的は、そして黒ずくめの少女の動機は何なのか。謎が謎を呼ぶ、ウィザーズファンタジー第二弾、登場!
ライダースーツとフルヘルメットって現代における忍者装束と言っても過言ではないよなあ。防御力も高いし、迷彩力も素性の隠蔽性も高いし。
タイトルには堂々と少女忍者!なんて銘打ってしまってますけれど、実のところ本編でははっきりと忍者とは明言してないんですよね、してなかったよな? あくまでひよりがそう定義づけてるだけで、本人たちは忍者とは自称していなかったはず。ある旧家に代々使えている密偵、或いは隠密の類いということで、伊賀とか甲賀から連想する忍びとは違い、真言密教や修験道ベースのかなり呪術色の強い武術流派、というふうに語られている。実際、金剛輪なんかを得物として使ってるあたり、あんまり忍者色ないのよねえ。でも、密教系ベースの少女隠密って山田風太郎っぽくもあって結構いける口である。しかしこの少女忍者こと藍住沙代、わりと偉そうな上から目線の口ぶりのわりにそれほど腕前が隔絶しているかというと、あんまり本編でも活躍出来ていなかったんじゃないかな、この娘。比較対象がレイジだったり、相手の悪魔が格上だったりしたせいかもしれないですけれど、腕前がどうのというよりも仕事をちゃんと完遂できないまま中途半端に片付いてしまったケースが多かったせいでそう見えたのかもしれない。ひよりなんか、未熟は未熟だしレイジのサポートを受けているとは言え、結構ちゃんと最低限の目的は達しているし、与えられた自分の役割はきっちり果たしているのでなかなか頑張ってるな、というふうに見えるんですよね。
レイジが居ないときでも、なんだかんだと自力で窮地脱していますし。確かに現段階では呪術師としてまだまだ未熟なのは確かだけれど、着実かつ順調に呪力は上がって実力も見識も増してますし、何気にレイジがべた褒めに近い称賛を送ってるのも不思議でもなんでもないんだよなあ。レイジって、公平である分甘えたことしてたら容赦なく厳しく断じてきそうではあるけれど、逆に頑張ってたらちゃんと正当に評価してくれそうな人だけに、尚更に彼の評価が高いというのは大したものだと思うんですよね。
んで、今回一番面白いポディションで動き回ってたのが、警察の人間でひよりたちコンサルタントの担当をしている今城清十郎くん。彼自身は呪術に対して知識も素養もなく、この手の業務を請け負う民間業者としての呪術コンサルタントであるひよりたちの事務所に繋ぎをとる警察側の担当者、というだけの人であって、実際の事件に首突っ込んで活躍できるような要素はまったくないんだけれど、それ以外のところで組織間の調整や責任者として駆け回ったり、個人的にほんと誠実でいい人なのでまだ女子高生なひよりを心配して、何くれと無く彼女の助けになるように立ち回ったり、レイジの助手みたいにしてお使いやメッセンジャーや運転手役やら、色々やらされたり、と一番働いてるのこの人なんですよね。今回はいきなり襲われてえらい目にあったりと大変な思いもしてますし。食わせ者な上司に良いように使われ、傍若無人なレイジにこき使われ、ほんとご苦労さまですなのですが、それだけ清十郎くん活躍しているということで、結構な存在感でありました。
それにしても、ライバル出現ということでひよりもうかうかしておれんなあ。まあひより当人もまだまだ、そういうつもりも自覚もないんだろうけれど、自分だけの面倒見てくれていた青年に横からちょっかいかけられたら、そりゃあ面白くはないでしょう。そこは油断せずに精進精進。

1巻感想