終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#06 (角川スニーカー文庫)

【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? 6】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫

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フェオドールは鏡の向こう、笑みを浮かべる黒髪の青年に語りかける。君の力を、貸してくれないか―浮遊大陸群を墜とすために。絶望を鎖ぎ、希望を結ぶ遺跡兵装モウルネンを手に戦場に刻むのは、最後の嘘。
「堕鬼種は悪だ。信じちゃいけない」
マルゴ、ティアット、そしてラキシュ―彼女たちの傍にいる資格なんてないけれど。これが、みんなが幸せになれる唯一の方法なんだ。コリナディルーチェの、長い夜が明ける。
もう一度、会えましたか?
ブラックアゲートの人、てっきりこれが復活のきっかけかと思ったらマジで獣の方だったのか。ただ人格的にはほぼ「彼」と同一と考えていい、ということは獣とコミュニケーションが取れる可能性がある、ということなんだろうか。いや、これはあまりにも特殊すぎるケースだからなあ。
だいたいヴィレムくんよ、あんた大人なんだから子供が自分のマネするのもっと理解しておいた方が良かったんじゃないだろうか。ほら、あなたの真似をしてしまう子が出てきちゃったじゃないか。
クトリとヴィレムのラブストーリーにあこがれて、クトリのマネをしようとして頑張っていたティアットをけちょんけちょんに貶し倒したフェオドールが回り回って、ヴィレムと同じことをしてしまうというのは、なんかもう随分な話じゃないですか。
ティアットは怒っていいと思うよ。徹底的に置いてけぼりにされて、置き去りにされて、役割を押し付けられて、取り残されてしまったことを、怒っていいと思うんだ。この娘だけは、怒る権利があると思う。実際、めっちゃ怒ってたけど、うん。
ラキシュもフェオドールも、自分のやりたいようにやって行ってしまった。残された者たちは子供のままでは居られずに、大人になるしかない。悔しいことに、彼らの働きこそが残された者たちに大人になる権利をもたらしたという事実が、救いであるからこそ当事者たちにとってはもうなんか、グガーーーッって感じなんだろう。ノフトがあの時納得できん!って怒ってたのも改めてわかるよなあ。しかも、ティアットにとってはフェオもラキシュも最も親しい存在だっただけに、なおさらに。
それ以上に、土壇場の土壇場でフェオと再会してしまった、マルゴがなんかもう酷すぎるんじゃないですか? その上、ラキシュとすら深い縁があったとか。元々どん底に近い位置を這いずり回っているような立場だったのに、そこからすら叩き落とされたような有り様じゃないですか。読み終えてから表紙絵を見直すと、心が柘榴のようにズタズタにされるかのような思いである。
一方でアイセアは、というとついに「彼女」ともう一度会うことはなかったわけです。なんだろう、このそれぞれに対しての「もう一度だけ、会えますか?」へのアンサーの強烈さは。

しかし、打開としては行き詰まっていた黄金妖精たちの行く末を決定的に打開してみせた、という意味ではフェオのそれは、対処療法であったヴィレムのそれと比べても通すべき筋が通っているのだ。
モウルネンという呪いによって、凄まじい制約に縛られていた黄金妖精の在り方がこれ根本からひっくり返された、とも言えるんですよね。いわゆる「妖精」から卒業した面々、また大人になったかつての少女たちが示している有能さは、妖精たちの成体化調整措置の停止なんて容易に覆せる材料でしょうしね。誰だ、有能才女なラーントルクさまは安定してポンコツ! とか主張したがってる人はw
ほんと大丈夫なのか、このポンコツ才媛。なんか、知性と切れ味が漲ってるはずの一挙手一投足にポンコツが隠れ潜んでるんだけど!?
しかしそれでも、だ。今、浮遊大陸郡が見舞われている危機を思えば、彼ら黄金妖精の存在は欠かせないものであることは間違いないでしょうし。
って、その問題があったかー。
フェオを中心に回っていたこのモウルネン問題、喫緊だった妖精の存続の危機に対しては見事に解決してみせたわけだけれど、根本的な世界の危機についてはまったく着手出来てないんですよね。
そもそも、大賢者さまたちがロストした件、どうなってんのほんとに!?
そう、主役とヒロインが退場しても、物語は続くのである。これから、誰を主体に話は進んでいくんだろうか。ティアットか、それともマルゴか。なんか、おばけが出たー! とかラストで騒ぎになってるけれど。一瞬前シリーズのラスト再びか、と思ったんだけれどあっちが時間昼前後なのに対してこっち夜なんですよねえ。さあて、何事だ?

シリーズ感想