妹さえいればいい。 8 (8) (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。8】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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土岐健次郎、切腹……!?

年が明け、『妹のすべて』のアニメ化発表が着々と近づいていたある日、なにげなくエゴサーチをした伊月が見たものは「妹すべ、アニメ化決定!」という新刊の画像付きツイートだった。その画像の出所はなんとギフト出版の公式サイトで……。伊月やアニメ関係者からの信用を失ったGF文庫編集部が放つ、起死回生の一手とは……!? 伊月や土岐がアニメに翻弄される一方で、春斗や京、他の新人作家たちの物語も進んでいき、千尋の心にも大きな変化が訪れて――。
動き続ける青春ラブコメ群像劇、第8弾登場!!

そ、そうですよねえ。お父さんとしては、自分の息子の偏執的なまでの妹への執着を知ってしまったら、新しく出来た連れ子の娘に何をされるかわからん、と危機感を抱いてしまうのも無理からぬこと。
他人の性癖なんて家族だろうと傍からはそう簡単に認識できるもんじゃないし、妹属性なんて言われてもまあ妹が好きなんだろう、程度の把握で終わってしまうだろうところを、伊月の場合本という形で恐ろしいほどに赤裸々にその趣味趣向を語り尽くした狂気の沙汰の代物を実際お父さん読んでしまったわけですから、こいつやべえ! と思うのも仕方ないよ、うん。
そこはそれ、書いている内容がそのまま筆者の内実であるわけはないのだけれど、伊月の場合は完全に一致しているし、これほどの危機感を覚えるということはお父さんとしても日常の中に家族としてそういう傾向を見出していたんだろうし、うん。
千尋本人としては、伊月に対して性別を隠す理由は何もなくて、それどころか自ら望んでそうしている風でもなかったので、なんでだろうとは思っていたのだけれど、これほど伊月の父の意向が働いていたとは。
ただ、現状では千尋が妹だということが伊月にバレることは、当初危惧していたほどの爆弾にはならなさそうではある。それだけ、伊月と那由多の交際が真剣かつ順調で、いまさら妹が出来たところで伊月が心変わりするような関係ではなくなっている、というところが大きいからだ。
ほんと、最初の方は妹バレがシリーズの中でも最大級の爆弾として物語を激震させるかと思ってたんだけれど、平坂さんは前々からこういう定番たる展開の仕込みをあっさりと無力化して流してしまうところがある。そういうのを肩透かしに終わらせるのではなく、物語の中の妙味として活かしているのだから、流石だなあ、と。
ただこれ、妹バレした時点では起爆しなくても、何気にあとあとで効果発揮してくる場合があるだけに油断ならない。今の所伊月は那由多の作家としての天才性に対等に戦ってみせる気概に満ちあふれているけれど、地雷はふんだんに埋設されているだけに……。
しかし、当面はバレても問題にならないところには来ているだけに、お父さんのもう正体を明かしてもいいなじゃないか、という判断は決して間違ってはいないのだろう。
問題は、千尋の女性としての交友範囲が義兄の伊月だけに限定されずに、いつの間にか伊月の周囲の面々にまで広がってしまったことにある。既に伊月を介在せずに多くの友人関係を構築してしまっているだけに、いまさら千尋の性別を明かすことが伊月相手だけで済む問題じゃなくなってるんですよね。
これは千尋としてはかなり困ったことになっている。まだ未成年の彼女としては、多くの友人を騙していたという事実を明らかにして関係を再構築する、というのは大変な勇気を必要とする件になってしまっていて、これはちょっと足踏みしてしまうわなあ。
せめて相談できる相手がいればいいんだけれど。これに関しては、大人組であるアシュリー先生と千尋は知らないけれど独自に気づいてしまっている土岐さん、という二大頼れる大人が彼女の正体を知っている、というあたりにセーフティゾーンが敷かれている、と思えばいいんだろうか。
まあそうそうひどいことにはならないだろうことは、みんな関係者いい人だけに安心は出来ているのだけれど。

とりあえず、シェアハウスで一緒に暮らすことになって速攻、家に伊月連れ込んで隣の部屋にみゃーさん居る状態でにゃんにゃんしようとしていた那由多、鬼畜であるw
エロマンガだとその流れで行き着くところに行き着いてしまいかねないのだけれど、これエロマンガ先生じゃないからなあ。
しかし、みゃーさんバイトの段階で編集長から部屋紹介されて家具とかも手配してもらって、って同居人が那由多と蚕先生という重要人物であるとしても、尋常じゃない優遇のされ方だというのを全く自覚してないのな。意外と自分のことについてはわからんもんなのよねえ。

シリーズ感想