【勇者のセガレ 3】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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度重なるシィの襲撃に耐えかね、異世界アンテ・ランデへと渡る決断をした康雄の父、英雄。シィを身体に宿す翔子も同行させるため、剣崎家&ディアナの5人は、翔子の両親の説得に向かう。
元救世の勇者と大魔導士、そして異世界の魔導機士を含む一同だったが、日本に住む普通の人達へ『異世界』の説明をするという難題に、魔王討伐やシィとの戦闘よりも緊張してしまい!?
何とか理解を得て異世界に通じるゲートに飛び込むと、元勇者の英雄に異変が発生! 見知らぬ森に一人投げ出された康雄は、そこが地球ではない『異世界』だと確信する。勇者のセガレとして、いよいよ冒険が始まる!?な、第3巻!
次の巻になっても直ってなかったですよ、マイホームw
ギャグ時空ではないので、破壊された家はもちろん業者に頼んでなおしてもらわないといけないわけだけれど、これ保険とかきかないですよね。ここまで壊れると建て直しとまではいかなくても本格的なリフォームとか必要そうだし、果たして何百万が飛んでいくのか。場合によってはもう一桁あがりかねない。現職一般的なサラリーマンである勇者・親父どのでありますから、これ死活問題なのである。ここで日本で状況の推移を見守っていても、またぞろ襲撃されて家壊されたら本格的に日本で生活できなくなりそうなので、とにかくアンテ・ランデ行ってなんとかしよう、ということになってしまったわけで。げに金の問題は良きにつけ悪しきにつけ、物事を推し進めてしまうものなのでありましょう、世知辛い世知がらい。
ともあれ、過去に勇者と大魔法使いやってました、という剣崎家のご両親ですから、元はと言えば関わり合いがあったのもの確かな話。一方で、本当に無関係で偶然巻き添えを食ってしまって、シィに憑依されるという状況に陥ってしまった翔子ちゃん。
前回の感想で、翔子ちゃん過去の関わり合いも決して濃いわけでもなくてポッと出の印象が強くて、ヒロインとしてここから果たして巻き返せるのかしら。とか書いてたら、物凄い勢いで巻き返してきましたがな! 
最後方からの直線一気ばりの捲りあげである。
というか、勢い良すぎてこれヒロイン通り越して、貴女が主人公じゃないですか!?という八面六臂の大活躍。ある程度シィの力を制御できることになったために、戦闘力皆無のヤスくんを守って、仮面ライダーばりの大アクション、殴って蹴ってとお嬢さん度胸在りすぎ!
いくらパワーアップしたからと言って、そうそう「敵」なるものに対して殴りかかったり、攻撃したりって喧嘩もしたことないような子がそんな勇気出ないですよ。
でも、やっちゃう翔子ちゃん、すげえ男前である。肝が座った乙女のど根性を見せられてしまった。もう完全にヤスくんヒロインである。元々、聖女属性の後方支援どころか、戦闘終了後に浄化してまわるような役回りなんで、立場が完全に入れ替わってます、はい。
恋愛的にも、無自覚に気を持たせるような言い回しばかりしてくるヤスくんにやきもきしっぱなしで、ある意味吹っ切れたのか言いたいことガンガン言っちゃう開き直った翔子ちゃん、初登場当時のいかにも存在感がなかなか発揮できない感じの雰囲気を消し飛ばして、実にパワフルで魅力のあるキャラクターにグイグイと競り上がってまいりましたよ。
図らずも、異世界のどこかもわからない場所に二人きりで放り出されるはめになり、異世界サバイバルをやるはめになってしまったヤスくんと翔子ちゃん。はっきり言ってこれまでで一番のピンチと言って過言ではない状況だっただけに、だいぶお互いの存在を意識してしまうことになったんじゃないでしょうか、これ。まあ、それどころではないくらい切羽詰まってた、とも言えるのですけれど。
でも、ヤスくんも醜態をさらすことなく、きちんと冷静さを保ってこのピンチを乗り切ったわけですし、相応に頼もしいと思ってもらえたんじゃないでしょうか。まあ、物理的なピンチの時に騎士のごとく活躍しまくったのは翔子ちゃんの方でしたけれど。圧巻の頼もしさだったなあw

しかしこれ、事前に翔子ちゃんのご両親に頭下げにいって、危険はありませんから、と保証したにも関わらずこの事態ですからねえ。助かったとは言え、あとでご両親にどう謝るかを考えると他人事でも胃が痛くなりそうです。ただでさえ、異世界とか魔法とかわけのわからんことについて、まともに説明せにゃならん、凄まじい苦行というか難行を乗り越えたあとだったというのにもう。
これ、ハリーヤさんが事前に魔法とか翔子ちゃんのご両親に見せて、ある種の情報の共有をしておいてくれたから、話スムーズに進みましたけれど、いきなり来ていきなり異世界の話されたらえらいことになってただろうなあ。
翔子ちゃん家の呼び鈴の前で、親父さんが胃を押さえて泣きそうになってたのなんか染みるようにわかるわー。フィクションでちゃんと説明せずに秘密にするの、余計にトラブル増やすだけなんだからちゃんと説明すればいいのに、というの実際にやるとなると「高確率で社会的に死ぬから無理!」という剣崎さん家の人々の悲鳴を聞いていると、なるほど納得である。

しかし、これでしばらく異世界編が続くことになるのか。置いてかれたお母さんと妹、そのままおとなしく待機してられるんだろうか、これ。

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