【ヒマワリ:unUtopial World 7】 林 トモアキ/ マニャ子 角川スニーカー文庫

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謎に包まれたゼネフの正体が明らかに!? シリーズ最終章突入――!!

川村ヒデオと共に神殺しの巫女・名古屋河睡蓮の脅威を退け、決勝ステージへと駒を進めたヒマワリとミサキのペア。
鈴蘭率いる魔殺商会とゼネフを擁するマッケンリーグループの全面対決が囁かれる中、
ヒデオと手を組むことを決めたヒマワリ達は、すべてを見通し、無数に策を張り巡らせるゼネフに勝負を挑む!
「この私を倒すことは不可能です」「マスター、わかったのです……ゼネフの居場所が!ゼネフの正体は……!」
ベールに包まれたゼネフの正体が明らかになる時、世界はその在り様を問われることに――!?
第二回聖魔杯、ルール・オブ・ルーラー。誰もが予想だにしなかった終幕が訪れる――!

流石は視姦魔人。億千万の目マリーチである。どのシリーズでも、全部見通しちゃっている彼女が出張ってくるとそこがターニングポイントになるんですよね。それだけ、彼女が動かなくちゃいけない事態そのものが、えらいことの象徴なんでしょうが。
でも、この時代ではマリーチ完全に眠っちゃってると思っていただけに、ここで中身が出てくるとは思わんかったなあ。あの表の人格、大人しいくせにミスマルカでもそうだったけど、わりと本性に引きずられている節あるよなあ。引きずられているというか、自分で中身叩き起こすことに躊躇しないというか。怖い怖いと言いながら、怖いもの好きだろうこの平和マリーチ。
ついに明らかになったゼネフの正体だけど……おいおい、ウィル子と被ってませんかそれ!? 電脳存在としてウィル子の方を完全上位と思い込んでたんで、ゼネフの正体については結局最後まで考えが及ばなかった。いやだってそれ、まんまウィル子が請け負うものだったんじゃないの!? と、思うんだけどノアレと違ってウィル子って考えてみると、今の少女の姿がまんま本体でもあるんですよね。ようやく出てきた少女の姿を素体と言い切ってしまっていたゼネフの方が、主体が重くなってしまうのもこれは当然なのか。
スケール感では、人類史を担ってきたとも言える「金」の概念を象徴化した、カミ化したマッケンリーも全く負けていないはずなんだけれど、やっぱり「本体」が実体としてあるのと、概念よりも実際に存在しつつ物理的には存在しないモノとしてあるゼネフとでは、全然難易度が異なってくるのか、なるほど。
ゼネフを倒すには人類の文明そのものを倒さなくてはならない。でも、それって一介のテロリストで賄えるものなんだろうか。それこそ、核戦争でも起きなければ文明なんて滅びないと思うのだけれど、ゼネフからすればあのラストの展開を見ると人類を滅ぼしてもゼネフは滅びないという確信があるようだし。ヒマワリ個人に、果たしてどれだけ担えるのか。しかも、彼女に残された寿命は……。
あの復活の決断で見せたマリーチやミーコの異質さこそが「カミ」らしさであり、アウターの恐ろしさであるはずなんだけれど、だからこそもう少し彼女らには「外なるもの」として手の届かない存在で居てほしかった感がある。「お・り・が・み」の頃のアウターはもっと途方もないものだったのになあ。なんともインフレと逆のデフレが定着してしまっていて、そのあたりのカタルシスが物足りなくあるのも確かな話。その意味でも鈴蘭には、そろそろ悪の組織の総帥としてではなく「魔王」としても頑張ってほしかったところでもあるのだけれど、いい加減負け癖ついちゃってるよ、聖魔王さま!? (あと、リップルラップルも!)。
ヒデオがヒーローであり続ける信頼は揺るがず、絶体絶命のピンチからウィル子の願いに応えるのは間違いないのだけれど、やはりヒマワリの存在がこの際キーポイントであり迷いどころでもあるんでしょうね。一体、一人の兵士にこの期に及んで何が出来るのか。
そんな疑念をキレイに吹き飛ばしたのが、かつての引きこもりヒデオだったのですが、はたしてそれがヒマワリに出来るのか。その答えを最終回で待っている。

シリーズ感想