【公女殿下の家庭教師 2.最強剣姫と新たな伝説をつくります】 七野りく/cura  富士見ファンタジア文庫

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公女殿下ティナとその親友エリーの才能を十二分に引き出し、王立学校へ見事合格させたアレン。入学する教え子たちとともに家庭教師として王都へ戻ってきた彼を待っていたのは…
「…強く、なりすぎ、なんじゃない?」
「余裕じゃない。これなら本気でやっても大丈夫そうね」
かつてアレンが魔法を教えた腐れ縁であり、今は王国にその名を轟かせる『剣姫』リディヤとの一対一での真剣勝負で!?さらにその事件の余波で学校での臨時講師も任せられたアレンは、そこでも固定観念を打ち砕く授業で脚光を浴びて―無自覚規格外な教師の魔法革命ファンタジー、学園編開幕!
これ……いや悪いけど一巻のヒロインであるティナって全然相手になってないんじゃ。圧倒的リディヤ無双じゃないですか。
むしろ、一巻で先にティナたちを出しておいてよかった、と捉えるべきなのかもしれない。一巻でリディヤをメインにした話をした後にティナたち出してきても、正直まともなヒロイン役として機能したかどうか。この巻を見ていると、アレンのティナとエリーの扱いってリディヤの妹のリィネとほぼ同等という感じなんですよね。あくまで生徒であり妹分である、というスタンスがリィネの登場とリディヤの本格出演によってあからさまになってしまった感すらあるのです。もちろん、ティナたちのことは特別な生徒として非常に可愛がっているのもわかるのですけれど、それ以上にアレンのリディヤとの接し方が特別すぎるんですよ。リディヤからの一方通行ではなく、これ完全に双方向性のデレデレなんですよね。かなり面倒くさい甘え方ですけれど、リディヤはアレンに対してダダ甘でデレッデレだし、アレンはアレンで何気にリディヤに対して独占欲めいたものも見せていますし口ではなんやかんや言いながらも、自分がリディヤのパートナーであるという事実に対して強烈な自負を抱いているのも見て取れます。もうなんもかんもが特別なんですよ、アレンにとって。
ってかね、同衾したりキスしたりってそれもうどう見ても恋人以外のなにものでもないじゃないですか! 違うとは言わせないw
これ、実質リディヤルート・エンディング後。アフターストーリーとしか言いようがないんですよね。リディヤの親であるリンスター公爵家も凄まじい勢いでアレン推しということですし。あのリディヤたちの母親であるリサさんが度々強調する、アナタは息子同然なの、という言葉はアレンに言い聞かせているのと同時に、世間にこの子はウチの身内だぞこら!と吠え立てているようなもので、とてつもない後押しなんですよね。これって家族公認どころか家族推薦、あと家族単位だけじゃなく国の大貴族であるリンスター公爵家という「家」の立場としても公然と彼を囲い込んでいるので、こういう場合はなんていうんだろう、私的にも公的にもアレンはうちの婿です、婿候補とか曖昧な立場じゃありません、実質婿です! と言い張っているようなものなんですよね。
これ、ティナの実家のハワード公爵家もアレンのことを気に入りまくってて捕まえる気満々ですけれど、さすがにこのリンスター公爵家の徹底したスタンスを目の当たりにしてしまうと、果たしてどこまで割って入る余地があるものか。

で、これだけ声高に、うちの長女には既に婿がいるので娘にも婿にもどっちにも余計な茶々入れるんじゃねえぞ、と宣言どころか恫喝じゃないの? というくらいリンスター公爵家が明言しているにも関わらず、堂々とちょっかいかけてくる第三王子w
王室真っ青案件すぎる。
いやこれ、王室側の動きが周回遅れすぎるんですよね。アレンが第三王子の不正によって試験を落とされたというのが明らかになった時点で王室側から自主的に動いておかなければならなかったのに。この段階で既にリンスター公爵家かなりブチ切れてたきらいがあるんですよね。それでも表立って動かなかったのは、事を表沙汰にしたがらなかったアレンの顔を立てて、その上で王室に対して配慮してのことだったと思うのですが、それを全部踏みにじってのあの暴挙ですからね。リンスター公爵家どころかハワード公爵家も一緒に敵に回してしまったわけですし。
どうもこの国、王室の権威よりも四大公爵家の方が敬意を持たれている節もあるだけに、国王陛下真っ当な人みたいだけどもうちょい積極的に身を正さないと結構危うい情勢下にあるんじゃないだろうか、この国。

ともあれ、本作は本来アレンくんが家庭教師として、教える人として迷える子たちを導くお話。リディヤはもう自分をアレンの剣と規定して迷う素振りもないし、お互いの関係性も既にある意味ゴールしているのでこれはこれで。
ティナも未熟な自分の力と、それ以上に未熟で見守られている自身の立場を思い知ったことで進むべき道を見つけたわけで。そんな妹と裏腹に、努力努力を続けて続けてなかなか実らずにいたまま妹に追い抜かされてしまったことで大きな挫折を得てしまったティナのお姉ちゃんのステラが、どうやら次回のヒロインのようで。アレンの家庭教師っぷりをまたぞろ堪能できると良いのですが。

1巻感想