【七つの魔剣が支配する 3】 宇野 朴人/ミユキ ルリア  電撃文庫

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運命の魔剣を巡る魔法バトルファンタジー、待望の第3弾!

オフィーリアが魔に呑まれ、ピートがその使い魔に攫われた。キンバリーの地下迷宮に消えた生徒数の多さに、学園内は厳戒態勢が敷かれる。学生統括のゴッドフレイをはじめ、上級生らが奪還に向かうも救出活動は難航していた。
 迷宮の深みに潜む魔女を相手に、自分たちに何が出来るのか? 苦悩するオリバーらに、ある人物が取引を持ちかける。それは彼らにとっての光明か、それとも破滅への誘惑か。
 目指す場所は地下迷宮の更にその奥。想像を超えた環境と罠、恐るべき合成獣たちが行く手を阻む。果たして彼らはサルヴァドーリの工房にたどり付き、友人を取り返すことができるのか──。


魔に呑まれ、人からハズレて朽ち果てる。それは魔法使いの一つの末路であり、オリバーたちの未来の姿。ここで語られるオフィーリアの物語。彼女の青春と恋と友情と、そして絶望にして最期の物語は眩しいくらいに輝いていて、そしてあまりにも儚かった。
一巻でダンジョンにて遭遇した彼女は、まさに怪物だった。この学園で魔法を学び続けるということが、魔の道に進み続ければ果たしてどうなるのかを示唆するような存在であり、やがてオリバーたちもみな、このような怪物へと成り果てるものなのかと恐れおののいたものである。
でも、ここで語られたオフィーリアは決して怪物ではなかった。どれほど道を外れようと、魔に魅入られようと、彼女がこの学園で歩んできた軌跡は今オリバーたちが歩いている道となんら変わることのない輝かしい青春の中にあり、その只中から足を踏み外して奈落へと堕ちた今となっても、その在りようは人からハズレた怪物などでは決してなく、哀しいほどに人間であったのだ。
そしてそんな、人として藻掻くオフィーリアを命を賭けて救おうとするのも、彼女の破滅に殉じようとするのも、彼女の青春を共にした友人たちだった。友として、ゴッドフレイもカルロスも最期まで彼女を見捨てることはなかったのだ。たとえ、どんな形だったとしても。
その姿は、今この時ピートを助けるために命を賭けているオリバーたちと何が違うのだろう。何も違わない。あれは、将来のオリバーたちの克明なほどの未来の姿の一つである。
オフィーリアが人の心を摩滅させて真に怪物に成り果てたのならば、オリバーたちはそうならないと信じることも出来ただろう。
だが怪物に成り果てるのではなく、人であり続けたからこそ、余計にあのオフィーリアたちの末路はオリバーたちの未来を映し出しているかのように見えてしまうのだ。
オリバーも、ナナオも、ミシェーラも、彼らが人であるからこそ殉じるべき破滅を既に内包している。ピートを救うために見せた彼らの情熱も、純真さも、眩いほどの魂の輝きも、彼らだからこそ陰らせることもなくくすませることもなく、いつか己の道の前に友が立ちふさがった時、友情の厚さそのままに切り伏せて進むことの出来る強さであるように見えた。
きっと、彼らは友情も絆もそのままに、壊すこと無く歪めることなく、友と討ち合える強い「人間」なのだと、このピート救出行でのオリバーたちの必死さ、懸命さ、聡明さ、賢明さを見れば見るほど確信が深まった。オフィーリアとゴッドフレイ、カルロスという上級生たちの友情の成就を見れば、それはダメ押しのようだった。
オリバーは、彼女らの絆の証に何を見たのだろう。何を抱いたのだろう。何を得て、何を喪ったのだろう。今は思い巡らせることしかできない。
願わくば、そこに焦がれてほしくはない。ナナオと切り結んだときのように、そこに惹かれていってほしくはない。でも、美しい末路ではあったのだ。羨望を抱いても仕方ないことなのかもしれない。
オリバーやナナオ、ミシェーラの、前に進めてしまえる強さに対して、ピートやガイ、カティの思う通りに進めない弱さ故のひたむきな強さが、彼らの内包する破滅に対して良き作用を起こせればと願うばかりである。
……いや、どうなんだろう。そんな結末を自分は望んでいるのか? 願っているのか? 心の何処かで、そのようなわかりやすい救いなど望んでいないのかもしれない、と感じる部分がある。
だってオフィーリアの破滅は、孤独ではなかったその破滅は、哀しくも美しかったのだ。どこかで、それに魅入られている。オリバーたちの内包する破滅にもまた……あのナナオとの決闘で垣間見た刹那の破滅に、同じ美しさを垣間見ているのかもしれない。
この物語に魅入られて、闇に呑まれかかっているのは、果たして誰なのか。
ああ、じわりじわりと胸の奥へと仄暗い甘さが広がっていく……。

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