【聖なる騎士の暗黒道】 坂石遊作/へいろー  HJ文庫

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世界を司る女神に見初められ聖騎士に選ばれながらも、とある理由から暗黒騎士を目指すため、故郷を離れた少年セイン。従者メリアと共に他国の学園に通うものの光魔法以外に適性が無く、閻魔法を使えないセインは暗黒魔改造制服を身に纏うただの変質者扱いされてしまう。同じく光の一族に生まれながらも火属性の魔法しか使えないためクラスで浮いていた少女アリシアに共感したセインは迷宮の奥に眠るという「聖剣」を探す冒険に協力する。しかし迷宮に待ちかまえていたのは想像を超える試練だった。

セインくん……かわいいッ!!(握りこぶし!!

なんだろう、これがショタコン? まだ12歳のセインくん。本気で厨二センスを格好いいと信じているお年頃。この自分のセンスが否定された時のなんで!?という表情が可愛くて、自分のセンスが認められた時の嬉しそうで得意げな様子が可愛くて、なにこの愛でたい感覚!?
これで、何も知らない世間知らずのボンボンならともかく、彼セインくんは幼い頃から聖騎士に選ばれて縦横無尽に活躍し続けた歴戦の騎士なのである。ところが、その伝説とまで評されるほどの活躍を示した力は所詮、女神から借り受けた自分のものではない力に過ぎず、これからは自分本来の力を鍛え上げ、自分の力で(格好いい)暗黒騎士になるのだ、と一念発起して正体を隠し、女神の力を封印して、見知らぬ土地の実力本位主義たる他国の学園に通うことにしたのがセインくんなのだ。
実績をあげた女神の力をそれは自分の力じゃない、と押しのけてしまうのはそれはそれでお年頃な思春期の気難しさにも思えるのだけれど、セインくんの場合はそういうのとはちょっと違うんですよね。
実際、彼は女神の力を封印されてしまうと殆ど無力な12歳の少年に成り下がってしまう。学園でも最底辺の成績しか残せず、体力もなくスキルもろくに使えず屈辱の日々を送ることになるのですけれど、彼はそれを当然のことと受け入れて自分の未熟をこそ恥じるわけです。バカにされても当然だと受け入れて、これが自分の本当の実力なのだと。そして、周りの自分の力を鍛えてきた学生たちを、本気で尊敬しているのである。
かといって自分を卑下しているのでもなく、自分の力だけで鍛えて発現させた闇魔法の初級魔法を、とても誇らしげに使うのだ。借り物ではない自分の本当の力。初級の未熟極まりない魔法だけれど、自分だけで生み出せた力だと。その姿が……ほんとカワイイのですよ!!
なんでこの作品、お姉ちゃんキャラいないんだろう。居たら、もうベタベタに猫可愛がりして離さないよね、うん。従者のメリアは、すっげえ毒吐きでセインの扱いもぞんざいなのですけど、あれも絶対潜在的姉キャラだよな、うん。

ともあれ、そんなセインくんだから同じように自分の力を信じて鍛えながら、それが実らずに苦しんでいるアリシアに共感して凄く肩入れするようになるのである。
この子、非常に頑固でお子様なところはあるんだけれど、根本のところは立派な騎士様であってとても大人びた側面も持っているのである。借り物の力として封印している女神の聖騎士としての力だけれど、本当に使うべき場面では……自分の見栄や欲得のためではなく、誰かを守るため公共のものとして必要とされるとき、天敵たる存在と戦うときは、決して使うことは躊躇わないのである。私的な部分と聖騎士という公的な部分はしっかりわけて考えている証拠である。公私をきっちり区切れてるんですよね、こういうところはほんと大人びている。彼が決して借り物の力を無邪気に振り回して英雄にのし上がった勘違い小僧ではない証左でもあるのではないだろうか。
そもそも、女神の力を借りずに暗黒騎士として立とうとしている目的も、はっきりとは明言していないけれどセインくん自身のプライドの問題とかではなく、確固とした理由がありそうなんですよね。ちびっこなのに、なんというか生き様が男前すぎる。イケメンすぎる!
しかし、それ以上に可愛げがありすぎて、かわいい……このショタ、あり方がカワイイ!!

どうやら、従者もメリアだけではなく、他に五人ほど居る模様なのでその登場もなかなか楽しみであります。登場人物、みんないい具合にキャラ立ってたからなあ。
しかし、あの従者認定システムってセインくんガチで聖人と言って過言じゃないんだなあ。でも、あの趣味である。いやでも、聖騎士モードを見てしまうと実は暗黒騎士ファッションの方が確かに似合ってる!!