【魔王学院の不適合者 4(下) ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~】 秋/しずま よしのり  電撃文庫

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偽りの魔王アヴォス・ディルヘヴィア、その正体は伝承から生まれた大精霊であり、ミサのもうひとつの側面だった。アノスは大精霊アヴォス誕生の秘密を知るため、“時間遡行”によって二千年前のアハルトヘルンを訪れる。そこで目にしたのは、天父神の卑劣な計略によって、ひとつの家族の愛と絆が無残にも引き裂かれる瞬間だった―。「二千年前の悲劇はもう幕引きだ。これから、すべてを取り返しに行こう」あらゆる理不尽、あらゆる悲劇、我が眼前ではただ滅べ―!!Webでも大反響を得たシリーズ最大のエピソード“大精霊編”感動のクライマックス!!
いや、似てないといけないから仕方ないんだけど、アノスとかアヴォスとかアノシュとか似た名前多すぎて、若干混乱する! 
他にもレイにレノと二文字で一文字違いとか、そこにシンとか語感が似てる名前表記が交じると読んでて視線が上滑りして、誰が誰なのか誰が喋ってるのかわからなくなるときがあって、全体的に読みにくかったのは確かな話。意外とそういうのって読んでる時の集中力を削ぐんですよね。

時間遡行によって、2千年前に訪れたアノスたち。なんか来る時には歴史に手を加えるような派手なことは出来ないし、目立たないように行動しようなんて趣旨の話をしてたはずなんだけれど、いざ過去に来てみると……あんまり隠す気ないだろう、アノスくん!! 結構堂々とやりたい放題やってたと思うんだけど!? 一応、過去が改ざんされるとダメな理由の間隙をつく形であれこれと動いているので、言動に矛盾はないんだろうけれど、過去を変えないように努力するつもりは毛頭なく、どうやったらどこまでなら過去を変えても大丈夫か、という基準で動いているので、まあやりたい放題である。そりゃ、ルールだ秩序だのは知らん、とばかりに秩序秩序うるさい自分ルール至上主義な天父神と対立しているわけだから、そりゃそうなんだけど。
とはいえ、肝心の精霊レノとアノスの右腕だったシンとのラブロマンスには口を出さずに、いや脇から色々と口出しはしていた気もするけれど、むやみに手は出さなかったのはこの魔王様空気読める魔王様なのである。
そもそも、アノスって何でも出来るけれど常に他人の意思を尊重する人でもあるんですよね。自分の意志や野望、というのを無理やり押し付けよう、自分の正義を振りかざしてやりたい放題やる、というタイプじゃないんですよね。
なので、この物語の中で起こる奇跡的な展開というのは、常に誰かが強い意志でやり抜こうとしたこと、必死の思いで手繰り寄せようとした行為が下地になっている。誰かが願わなければ、誰かが自力でやり通さねば、その結末へと至る筋道は存在しないのだ。魔王アノスは助力なければ途中で潰えてしまうかもしれないそれに、そっと手を差し伸べるだけ。手を差し伸べてバーニア点火してフルスロットルで発射してしまうわけだけれど、実のところアノスは主体ではないんだよなあ。
今回だって、シンとレノが愛を育み絆を育て、そうして産まれたミサと勇者カノンの転生としてアノスとの友情に応えるために二千年にも渡って結実させてきたレイの想いがなければ、どれだけ強く万能なアノスでも、何も始められないしなにも救えなかったのだから。
自分でも語っているけれど、だからこそアノスはそうした人の持つ愛情や希望という善なる心の存在を世界に証明する、証明者なのでしょう。それを誰に向かって証明しているのか、についてはかの女神の存在が匂わされているようですけれど。
でも、ここまで完全に魔王様として認められちゃったのに、まだ学院通うつもりなんだろうか。学院としても、大変困るんじゃないの、これ?
あと、ミーシャとサーシャが今回は実質背景で出番らしい出番もなく、しかももしかしてメインヒロイン実は他にいるんじゃないか疑惑まで出てきてしまって、おやおやまあまあという感じで。