【アルビレオ・スクランブル 2】 宇枝 聖/白兎うゆ  電撃文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

傷ついた英雄と並び立つ者たちが、伝説を「更新」する――!!

そうして彼は戦場へ帰った。けれど友よ、今やあなたはもう孤独ではない――。
対「極限生物」機関の食堂勤務から対「極限生物」戦を教える教官へと転身した元人類の英雄・若松疾風。だが、新たな戦いを経て満身創痍の彼らに、さらなる敵の影が迫り……目指すは、南の島?
実態が掴めない敵への不安とバカンス気分の間で、状況は確かに進行していく。ついに発生する戦いの中で、一美・まりえは才能を開花させ、かつての英雄たちが成しえなかった戦いを開始する――!!
現生生物全ての天敵=「極限生物」との「戦役」を脱した世界で、かつての英雄に並び立つ新たな戦士たちと、彼らに偉大な背中を見せ続ける英雄たちの戦いは、続く――それは、次の伝説を「更新」する、ロボット・アクション!

表紙も飾ってる一美とまりえの学生コンビ、普段の非番の時から訓練の時から実戦に至るまで一貫して変わらず二人してギャーギャー掛け合い続けてるの、どんな状況でも変わらなさすぎて逆に好きですわー。本人たちは本気だし真剣だし緊張感もあるのだけれど、むやみに悲壮感がないのがムードメーカーとして作品全体に明るい雰囲気を齎してくれてる要素にもなっているので、何気に重要なポディションだと思うんですよね。
尤も、作品全体に悲壮感のたぐいは殆どないのですけれど。というのも、戦況がピークを過ぎているからなのかもしれません。一番酷くて人も少なくて末期戦の様相を呈して英雄と呼ばれる逸材たちが生まれては消えていった最も過酷だった時期を脱して、戦後とまでは言わずとも対極限生物戦の対応も安定を見ている、という状況で見ている限り人死もかなり減っているようですしね。後方の支援体制や迎撃体制、さらに学生を鍛える教育機関がまともに機能している、という時点で最悪は脱しているのがわかります。
まあだからこそ、安定に慣れてしまって組織間の連携が弛緩しだしていたり、極限生物側に新たな進化の兆しが見えてたり、とまだまだ締めなければならないところは見えてきているわけですけれど。
ともあれ、戦線に余裕が出来ているのは確かなので、その分大人世代にも余裕が生まれていて悲壮感からは遠い雰囲気になってるのである。もちろん、現役武官たちや教官たちは気が緩んでいるわけではなく、吹雪なんかも前回ラストで早々に覚悟決めたように、さすが切り替えはきっちりしているのですけれど、そういう切り替えできっちりオフに出来る状況になっているのも確かな話。というわけで、今回はわりと全般的にオフモードでもあったわけで。
主人公サイドがみんな大人、教官だったりするので、教官たちの日常みたいな感じでなかなか面白いものがありました。さらに吹雪は怪我明けの療養もあってぶらぶらフラフラとこの人はこの人でなにしてんだ、というくらいその辺うろついてたり、変装して遊んでたり、マッドサイエンティストたちの実験に首突っ込んだり、教官やってる疾風にちょっかいかけにいったり……いやほんと、この人ほんとなにやってんだ、暇か!!
折角時間が出来たわけだから、疾風と大人のラブラブイチャイチャにかまけてればいいのに、と思わないでもないけれど、疾風は疾風で教官としてだけれどコックから現場に復帰してバリバリやりはじめてる忙しいところなので、仕方ないのか。仕方ないといいつつ、教官やってる様子覗きにいってるの、ほんと暇か!と叫びたくなるけれど。同棲してるんだから、帰ってきたらイチャイチャしてるんだろうけどさ。
そんでもって、本作が恐ろしいのはだいたい作品に付き一人でお腹いっぱいなマッドサイエンティストな科学者博士が、この作品では二人もいることでしょう。一人はパイロットなんだけれど、同じく重傷明けの専用機体が修理中、ということで黒江ちゃん、実質アイリーン博士とコンビ組んで好き放題やってるし、マッド二人とか相乗効果でえらいことになってるじゃないですかー。
お蔭で、一美とまりえの機体がえらいことに。いやそれ、世界観的にありなの!? ありなの!? リアルロボット系世界の中に突然変異のスーパーロボット系を持ってくるような大盤振る舞い。でも、楽しいからオッケーみたいな。絶対博士たちノリで作っただろう、この新機体。
戦闘シーンはどちらかというと特殊な性質を持つ怪獣退治という感じだけれど、ロボットもの特有の機械機械メカメカしたやり取りや熱さやもあって、結構好きなんですよね。ただ、今回は遠方に発生した特殊な個体を出張して倒しましょう、というだけの展開でストーリー的にはふわふわとしていてピンと芯が一本通ったようなものがなかっただけに、新開発機体のお目見えはあったのもの、そのままふわふわっと終わってしまった感もあります。なんだかんだと、今回って総じて日常回寄りだったのかな。それはそれで、ふわふわっとした楽しさが堪能出来たのですが、余裕ある雰囲気は崩れなくて全然構わないんですけれど、何かしら次回はストーリー的にも動きがあるといいなあ、と思ったのでした。

1巻感想