【本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない!】 しめさば/切符  ダッシュエックス文庫

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本をこよなく愛している青年、アシタ・ユーリアス。「一生本を読んで暮らしたい!」というアシタだったが、彼が働く本屋にはいつもひっきりなしに冒険者たちがやって来る。理由は簡単。彼の“知識”が欲しいのだ。本が読めたらそれでいいというアシタの想いとは裏腹に、顔馴染みの女冒険者、エルシィにダンジョンへ連れ出されたのが運の尽き。彼の博識さがダンジョン探索の鍵になると目を付けたエルシィは、貴重な文献をエサにしてアシタを更なるダンジョン探索へ誘い…。“最も博識”で、“最も貧弱”な本屋の店員が、「帰りたい!」と嘆きながらダンジョンを駆け回る!ドタバタファンタジーコメディ開幕!!
スペランカーだ、こいつスペランカー級だ! ファミコン時代の伝説的虚弱冒険者スペランカー、それは自分の背丈にも満たない段差を飛び降りるだけで死ぬる男。それに比類するほどの虚弱さを示すのが、このアシタである。ってか、アシタくんこれだけ虚弱だとダンジョン潜る以前に日常生活でも苦労してソウナンですよね。本屋とか、あれで地味に体力仕事なところがあるし、本棚に本を収めるために梯子を登るだけでオチて死にそうじゃないですか、この子。
と、思ってしまうくらいポキポキと折れるアシタの骨。君、骨粗鬆症じゃね? 特にダンジョン関係ないところで骨折れてたりするし。
よくまあこれをダンジョンなんて危ないところに連れて行こうとするよなあ、と思う所なんだけれど、その張本人であるエルシィ、最初は考えなしなのかと思ったのだけれどこれがよくよく気を使ってはいるんですよね。彼女の考えうる最高の手段と人脈を持ってアシタを守れるだけの仲間を取り揃えていたのが、あとになって一緒にダンジョン潜ったメンツを振り返るとわかってしまうわけで。
いやいや、これメチャクチャ贅沢なメンツじゃないですか。
それだけ非戦闘員以下に危ないアシタを危険地帯に連れて行くための万全の用意、というのは整えようとしているんですよね。エルシィの態度が気軽この上ないので考えなしに見えてしまうのだけれど。
加えて、アシタの知識に関しても決して軽々しく考えているのではなく、貴重で稀有な価値を持つものだとちゃんとわきまえた上で、最大限の評価をしているんですよね。そして、それを手前勝手に利用し搾取しようとしているのではなく、極めて正当な評価と対価を払おうとしている。
ダンジョン探索への参加料としての稀覯本を別にして、ダンジョンで得た収入を分前として等価に渡していることからも明らかなのである。正直、彼女そこまできっちりしているとは思わなかったので、ちょっと感心してしまったくらい。
彼の持っているものは一見分かりづらいもので、なかなか評価しづらいものではあるんですよね。なので、往々にして普通の人はそれに対して対価を払おうという概念から持っていない。アシタ本人ですらその意識に乏しい事からもエルシィの認識と考え方が決して一般的なものではないのだろう事は想像がつくんですよね。そういうところが、彼女をトップクラスの冒険者に押し上げているのかもしれない。
それにまあ、何だかんだとダンジョン探索に参加するアシタは、イヤイヤじゃないんですよね口で言っているほどには。結局、餌に釣られてとはいえ決断しているのはアシタの方ですし、断固として断る事はしていないわけで。
それに虚弱ではあっても、痛みに対する耐性は強いみたいですし何よりあれだけペキポキ骨折れていながら全然めげないのは根性があるというよりもメンタル異常なんじゃないだろうか。
ラプチノスとの交流にはほっこりとしてしまいましたけれど、ラプチノスって思いっきりジュラシックパークのヴェロキラプトルがモデルですよね。さすがにラプトルくらいになるとファンタジーのモンスター相手でも全然引けをとってない、というか凶悪度では上回ってるw
ちょっと街中で連れ歩いたり家で飼ったりするにはフォルム的にもやばすぎると思うんだけど、どうするんだこれ。