【インフィニット・デンドログラム 10.嵐の後、嵐の前】 海道左近/海道左近 HJ文庫

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カルチェラタンでの騒動もひと段落し、王国とマスターの関係は改善の方向へと進んでいた。そして大学生活へと戻った玲二は、日々の勉学に励みつつ、デンドロをやっている友人や、サークルの月夜や梢と交流を深めていく。一方、カルディナでは新たに超級を師に迎え、レベルアップを図るユーゴーが、マフィアの絡んだ大きな抗争に巻き込まれていて――。さらに勢いを増す激熱VRMMOファンタジー。穏やかな日常回なんてなかった第10巻!

ユーゴーが厨二病からの卒業期に入ってるー! 今までの格好つけた言動が段々と恥ずかしくってたまらなくなってきているものの、ついつい自然に表に出てしまうという過渡期。ユーゴーの場合、その中二病の発露によってアバターのイケメン男子を演じてきただけに、それが抜けてくると普通に女の子っぽい口ぶりや振る舞いになっていくのかー。いやでも、ユーゴーのアバター男の子だからそれはそれで面白いことになってしまうんじゃなかろうか。
とりあえずカルチェラタンの大事件も収束して、国同士の戦争も今の所は大きな動きもなく、平和な時間が訪れる。しかし、古来より平和とは次の戦争への準備期間に過ぎない、と言われる通り平穏に見える裏側では着々と次の大事件への布石が敷かれている。その筆頭であるクラン〈IF〉の暗躍だけれど、色々とあちらこちらに手を伸ばしている一方で肝心の首魁であるゼクス氏はというと監獄でガーベラさん相手にブラブラ遊んでいるだけ、という。いや、遊んでいるわけじゃないんですけどね。ゼクス氏の本質が邪悪とか魔とかそういう方向ではなく、どちらかというと無色に近いものだというのがわかるエピソードは興味深いものが在った。彼が犯罪王になることにしたのって本当にただの偶然であって、サイコロの目次第ではどのようにもなり得たというのは面白いなあ。
彼自身決して悪人ではないし、IFのメンバーとなる指名手配犯たちもゲーム上で犯罪者になっちゃっただけで本質的に悪人だったり悪党だったりする人ばかりではなさそうなんだけど、ゼクス氏の在り方が在り方だからなあ。厄介この上ないことは間違いないのだろう。それにしても、ガーベラさんは魔改造されすぎじゃないですか、それ?

とはいえ、今回ぶっちぎりでインパクトしかなかったの、ハンニャさんなんですけどね。いやこれあかんやろう。リアルでもあかんやろう。ってかリアルですでに監獄入りギリギリまでやりなさっていなんしゃる!
レイたちとはまったく別の意味でこいつゲームやりに来てるわけじゃねえ感が凄まじい。なんでこの人がフィガロと噛み合ってしまったのか不思議で仕方ないのだけれど、フィガロも話聞いている限りでは浮世離れした不思議ちゃんだったのかー。常人が受け入れられないだろうハンニャさんのヤバい部分をまったく認識できない、という意味で絶対にハンニャ地雷を踏まずにいられる人材、という事になるんだろうかこれ。やだもうこわい。

そう言えば、ユーゴーよりももっと中二病を極めた、ある意味レイとファッションの方向性が同期していらっしゃる決闘ランキング4位のジュリエットって、外伝漫画【クロウ・レコード】の主人公やってるあの娘なんですねー、なるほどなるほど。
ってかジュリエット語をナチュラルに翻訳できてしまうレイってば、なんなんでしょうねあれ。
そして毎巻欠かさずダークファッションを更新していくレイさん。いや、そのマスクはもはやトドメじゃね? それを装着してしまうと暗黒騎士どころですらなくなるような気がするんだが。

初登場の超級キャラがたくさん出てきて、顔見せにしてもなかなか贅沢さを味わえる日常?回でありました。遠慮なく世界観グイグイと広げていくなー。それこそが本作の魅力なのでしょう。

シリーズ感想