【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.20】 聴猫 芝居/Hisasi  電撃文庫

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ネトゲのイベントは一期一会だとでも思った? ――残念! リバイバル祭り開催しちゃいます!
ネトゲ部のみんなは期末試験、そしてマスターはいよいよ受験を控える二月。それ以外にも残念美少女・アコの誕生日やバレンタインデーをはじめイベントが盛りだくさん! だけど、それはネトゲ内でも同じこと。レジェンダリー・エイジでは過去のイベントを大量に再実装する復刻イベントラッシュが行われていた。
そんな中、アコはといえば……
「ルシアンに、プロポーズしたいんです」
え、そっちも復刻するの!?
ゲームもリアルも総復習! 同じようで少しだけ違うお祭り騒ぎをシリーズ中最大ボリュームで贈る! 残念で楽しい日常だいたいネトゲライフ、第20弾!

このシリーズって毎回リアルとゲームが連動してのストーリーの主題がはっきりわかりやすく提示してくれていたのですが、今回はいまいちどういう趣旨の話なのか分からなかったんですよね。
復刻イベントラッシュに、リアルではアコのプロポーズ攻勢。どういう意味が込められているのかな、と思っていたのですが、なるほどこのシリーズの原点であるアコの「ゲームとリアルは一緒」という理屈とルシアンの「ゲームとリアルは違うから」という拒否の構図を、シリーズ最終盤に際してもう一度改めて、という話だったのだ。ある意味確かに復刻でもある。
でも、かつての状況と違うのはすでに二人は恋人同士で親とも面通しした実質婚約者みたいなものという関係。アコがゲームで結婚してるからリアルでも夫婦、というロジックを据え置いて恋人という関係を結んでくれたこと。ルシアンが現実ではただの彼氏彼女の関係でしかないという父親を主とした見方に対して、いやそんな軽い関係じゃなく深くそれこそ夫婦みたいなもんなんだ、と主張するような心境に至っていること。そんな二人を周りの仲間たちが大いに認めてくれていること。
まあ、こんな風にかつてとは大きく環境が変わっているわけである。
そもそも、リアルの方でアコがプロポーズしてきて結婚してしまいましょう、と言っている時点でかつてのアコのゲームで夫婦だからリアルでももう夫婦、という理屈はもう過去のもの、というのを証明しているようなもの。茜や奈々子を通じたリアルでの日常は、アコをちゃんと現実の方に引っ張り出してくれていたわけだ。
それに比べて、ルシアンの方はちゃんと就職してアコの事養えるようになるまで、結婚とか無理、という理屈はそれ自体間違っていない上に、それ以上のアコのプロポーズを拒否する理由に関して自分でもわかっていなかっただけに、その辺曖昧に終始したのは仕方ないことなのかも知れない。
アコのゲーム内引きこもりの解消に対して、ルシアンの方のゲームとリアルをきっぱり分けるという理屈の方はパワー自体最初から弱かったのもありますしね。
とはいえ、紆余曲折の結論としてアコがゲームとリアルはやっぱりちょっと違うかも知れない、ルシアンがゲームとリアルはちょっと一緒かもしれない、というかつてこの物語がはじまった当初に二人を成り立たせていた根底の部分が歩み寄った姿をこうして決定的に見せてくれた、というのはそれこそこのシリーズの終わりを実感させてくれる、という意味でもよいケリの付け方だったんじゃないでしょうか。いやまあ、実質今までのエピソードの連なりで、二人のその結論はとっくの昔に導き出されていたのはわかるとしても。

しかし、茜がアコのプロポーズに反対する理由について、セッテさんが何か聞き捨てならない発言をしてたような気がするのですが、やっぱり茜ってそういう気持ちが全然ないわけじゃないのかー。

そしてラストは衝撃的展開へ。自分、この手のゲームとは縁がなかったのですが、その終焉期ってこんな復刻イベント連発するもんなのか。
ずっと続くと思っていたものは、いつしか唐突に終わりを告げる。ゲームとリアルを密接に繋げて描かれてきたこのシリーズ。その片方が終る時、果たしてリアルもどうなるのか。まだまだ続いてほしい気もしますけれど、あらかた描きべきものを描ききった感もあるだけに納得の最終局面突入なんですよね。次回の最終巻、どんなラストを見せてくれるのか、楽しみです。

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