【齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定 3.この子ったら、生き急ぎすぎではない?】 榎本 快晴/しゅがお 角川スニーカー文庫

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小国アスガでの問題を解決し、旅を続ける邪竜(仮)とレーコの元に魔王軍幹部から手紙が届く。“降伏せよ、さもなくば悲惨な死を迎―”全文を読む前に手紙を咀嚼し、旅の続行は難しいと決心した邪竜は、自身がかつて暮らしていた古巣の森に逃げ込む…のだが、何故か森の中にドラドラとライオット、さらには魔王軍幹部を名乗る少女・操々も現れ!?またしても大騒乱は避けられない!?

知らないうちに人間たちから魔王軍の大幹部扱いされて迷惑してたら、知らないうちに当の魔王軍内部にすら邪竜派なる派閥が出来ていた件について。
これ、正確には派閥というほどのものは出来ていなかったようなのだけれど、魔王軍幹部が勘違いしてしまうくらいには邪竜レーヴェンディアの威光が広まってしまっているんだよなあ。
これ、少なくとも誰かと間違えられているわけではなくて、五千年間のんびり生きてきた邪竜様のそのド迫力な見た目にインパクトを受けて、古くからあれは邪竜だレーヴェンディアだ、と勝手に盛り上がって伝説認定されてしまっていたようなので、一応邪竜様本人ではあるんですよね。なので、人違いです、ドラゴン違いです、とは言い張れない分、そのレーヴェンディアが自分らしいんだけど邪竜じゃないよホントだよ?とか主張しても、まあ聞いてくれない場合のほうが多いよね。
それでも話を聞き分けてくれる人もある程度はいるんだけれど、レーコが大暴れして邪竜の威光が現実のものとして広まってしまった今となっては、ただの草食トカゲですからー、という真実は邪竜さま本人の身の安全も含めて、あんまり喜ぶ人いない状況になってるんですよね。
なんか、邪竜さまは人間贔屓で魔王とは対立している、なんて風聞まで広がりだしてるし。そして、レーコと一緒だと隠れ潜むことも出来ません、残念ながら。彼女のイキるところ破壊とトラブルが乱舞する羽目になるので、大人しく隠れてるとかどうやっても出来ないんだよなあ。
それでも、レーコを誘導する口車だけはどんどん上手くなってしまう邪竜さまなのでありました。いや何気に何も出来ないトカゲだった邪竜さまだけれど、必要にかられてというのが多分にあるにせよ、わりと色々とやれる事増えてるっていうのは、邪竜様五千歳の爺にもなって今更必死で成長進化している!? 死にそうな目に遭い続けてなお成長しないようではそれはもうお迎えが来る寸前なんじゃと危惧するところなので、じいさままだまだ生きるつもりらしい。
とはいえ、ちょっと爪先で攻撃できるようになったり自力で飛べるようになったり、ちっちゃいサイズに変身できるようになったり、というくらいで邪竜と呼ぶまでにははるか遠いところにいるわけだけれど、ただのトカゲが飛べるようになったりとか何気にすごいことしてるんじゃないだろうか。まあ恒常的に飛べるようになったというわけじゃなくて、一時的な工夫の結果みたいだけれどそれでも結構すごいよね。

一方でレーコの方はというとそろそろ無敵神話にも陰りが見えてきたのかしら。傍若無人にやりたい放題やって、その思い込みによって覚醒した邪竜の眷属としての能力は実際無敵、敵なし、無双、という風情だったのに、とうとう太刀打ちできない相手が出てきてしまった、というのはこの作品の趣旨として大丈夫なんだろうか。
おだてられて調子に乗ったり、昔の知り合いを気にしたり、とマトモな人間みたいな精神活動まではじめてしまったので、あの狂気が薄まっているのではないかと不安に思うところである。
しかしあの偽眷属、正体不明すぎて本気でよくわからんぞ。いや、想像は幾つか思い浮かぶのだけれど。どうやら本気で邪竜じいさまのこと敬愛しているみたいだし。
魔王の方も未だにイマイチその顔が見えてこないのはちょっと不気味でもあるんですよね。ってか、今回登場した魔王軍幹部の操々って幹部扱いされてるけれど実際は新米と言うか生まれたてみたいなものみたいで、これを本当に幹部とか魔王軍とか考えていいか首をかしげるところですし。

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