【Re:ゼロから始める異世界生活 11】 長月 達平/大塚 真一郎 MF文庫J

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『試練』を乗り越え、元の世界に残してきた両親への想いを克服したナツキ・スバル。エミリアを支え、レムを取り戻す―その決意を新たに奔走する覚悟を決めた矢先、スバルは懐かしき苦痛によって再び命を落とし、『死に戻り』する。『腸狩り』のエルザ、それは異世界で初めてスバルを殺した戮殺者との再会。強敵との再戦に戦慄するスバルは、『死に戻り』を生かして最善策を模策する。しかし、二度目の『聖域』は、スバルの記憶と全く違った展開を辿り―。
「俺様ァ、お姫様以外が『試練』に挑むのは認めねェ。てめェだけは、絶対に」
大人気Web小説、波乱と混沌の第十一幕。―螺旋の歯車が狂い始める。

エッグいなあ、この展開は。死に戻りしてしまうような、つまりナツキが殺されて死んでしまうような事態に見舞われることを障害、壁と定義するなら基本的にこれまでって割合とその「壁」となる死の原因まで辿り着いて、それを攻略解決して壁を乗り越え、しかしそこに新たな壁が聳え立っていて、みたいな感じで一つ一つ未来へ進むための壁をクリアしていく、みたいな感じではあったと思うんですよね。そうだよね? 前章読んだのだいぶ前なのでうろ覚えなのであまり自信がないのだけど。
ともあれ、それと比べても今回はエゲツないことになっている。死に戻りしてしまった原因を排除解決するどころか、どうやって乗り越えるか、それ以前になぜ死ぬ羽目になったのかわからないまま、試行錯誤している最中に別のトラブルが発生し、死んでしまうというケースが多発。
結果として、死亡案件を解決できないまま次々と別の案件が持ち上がり、どう動こうとも周囲を「壁」で囲まれてしまいにっちもさっちもいかない状況に追い込まれてしまったような塩梅なのである。或いは、借金を清算する前に別の借金が、さらに別の借金、別の借金、と多重債務に苛まれて返済の目処がまったく立たなくなってしまった、というべきか。そして、人生には自己破産は存在しないのである。死に戻りあるだけでも破格なんだけど、そのお陰で余計に絶望感が深まってしまった、というべきか。ほんとこれ、どうするの? という状態なんだよなあ。
特に難題なのがガーフィール。こいつだけは今の段階では特に「トリガー」となる要素がまったくわかんないんですよね。気まぐれ気分でむちゃくちゃしてくるような暴威にしか見えない。こいつが立ちふさがるお陰で、どうして前回死んだのか、どうやってその死を回避するのかを調べて原因を見つけてそれを回避するための準備を整え、という工程をまったく辿れないどころか、同じ死んだ場面までたどり着けすらしない有様で、とかくこいつが筋道を引っ掻き回してグチャグチャにしてくれている、と言っていい。
とはいえ、それはまだ情報が出揃っていないから。ガーフィールにも何らかの基準があるはずなんだけど、それがわからないということはこの聖域という場所にまつわる秘密にもまるでたどり着けていない、ということになるんでしょうな。それを調べようとしていたらことごとくコイツが邪魔してくる感じではあるのだけれど。
それでも問題が当面ガーフィールだけなら良かったのに、そこからさらに大兎、いや多兎なんて白鯨と同レベルの魔獣が突然エントリーしてくるわで。
これ、エキドナがいなかったら本気でここで終わってたのか。いくら死んでも生き返れると言っても、スバルの精神が死んでしまえば、発狂してしまえばもうどうにもならないもんなあ。
この段階ではエキドナを信じなければ、彼女の助けを請わなければいずれにしても詰んでしまうのか。でも魔女エキドナにどんな思惑があったとしても、ここで誰にも告げられなかった死に戻りを他人に告げられたという事実は、スバルにとって間違いなく救いだったんですよね。

それに、フレデリカが無実で敵側ではなかったとわかったのは大きいし、ロズワースとある程度とはいえちゃんと話せて事情の一端を明かさせたのは、長らくロズワースに色々聞きたくても聞けない状態が続いていただけに、一歩前進出来た感はある。そして、ベア子についての事情にもようやく踏み込めだしたことも。
レムのことでまだ傷つくことの多かった今回だけれど、絶望に追い詰められ荒み始めたスバルの精神に涼風を吹き込ませたオットーの友情やパトリシアの献身は、この一人と一頭がどうしようもなく掛け替えのない存在だと噛み締められたのと同時に、一筋の救いであり拠り所だったのではないでしょうか。パトリシアは前々からだけどね。ほんと、このお嬢さんの献身には頭が下がる。

しかしラストこれ、ついに死に戻った直後にあんな状態になっちゃって。普通はもうイイだろうというところを満足せずにこれでもかこれでもか、と詰んだ状態をさらに積み上げていくとか。エグいにも程がありすぎ!!