【インフィニット・デンドログラム 11.栄光の選別者】 海道左近/タイキ HJ文庫

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かつてアルター王国を襲った災害、【三極竜グローリア】。そのモンスターに近づけば死があふれ、遠くからの攻撃は効かず、打つ手をなくしたプレイヤーやティアンたちに暗雲が立ち込めていた。
そんな中、それぞれの闘う理由を胸に3人の超級が立ち上がる。<月世界>、<無限連鎖><正体不明>。
3人の超級が、“アルター王国三巨頭"と呼ばれるきっかけとなった史上最大の事件が今始まる。大人気VRMMOバトルファンタジー超激熱の第11巻!!

怪獣映画じゃんこれ! この間モンスターバースで見たよ!?
グローリアがはじめて人間たちの前に姿を現すシーンなんか、古式ゆかしい初代ゴジラからの伝統の登場シーンですもんね。あの山の向こうから山よりもでけえモンスターが現れるというシーンは、その巨大さを恐怖させるという意味でも特に印象的な手法でもありますし。
にしても、このグローリアって幾ら何でも無茶苦茶すぎやしませんかね!? 普通に国を滅ぼすどころか文明を無に帰すレベルの大怪獣なんですけど。キングギドラより理不尽じゃね!?
いやだって、所有ギミックがアホじゃん! ゲームバランス崩壊しきってるじゃないですか。うん、まだこれが自然発生した災害としての大怪獣ならまだ仕方ないと理解できるかもしれないけれど、これが明確な意図をもって投下された時点で酷い話以外なくなっちゃうじゃないですか。管理AIたちが鬼畜外道の類だというのは理解した。ティアンの命もこの世界の人々が紡いできた歴史も、塵ほどの価値も見出していないのか。目的を達成するためにはあらゆるものを犠牲にする、いや犠牲という意識すらなく単に消費するというくらいの考えしかないんじゃないだろうか。
それはもう、「邪悪」と定義されるものじゃないのか?
もちろん、猫さんのように彼らの中でも意見が別れ、価値観も変わってきているというのはわかるんだけれど。人の生死をこんな風に上から好き勝手されたらたまらない。もしこの世界をゲームと認識しているにしても、ゲームの運営では絶対にしないような恣意的なやり方をされてしまうとやっぱりたまらない。いつか絶対に対決する相手として見込んでしまいますよ、これ?

しかし、てっきり表紙の三人が並び立つ姿からして三人で共闘でもするのかと思ったら……。違うのか! 違うのか! いや、フィガロさんが他人と一緒に上手く戦えない体質というのは覚えていたので、んんん? と疑問は感じていたんだけれど、なるほどこの三人らしいといえばらしいのか。でもこれ客観的に見ると「ごっつい」戦い方やなあ……。
まだフィガロさんが一番「まとも」な戦い方だったんじゃなかろうか。最後のシュウ兄さんなんか、もうパシフィック・リムになっちゃってたじゃないですか。それともマクロスですか? あんなんアリなんかー!? 一人世界観がぶっとんでやしないですか? いや、わりとロボットとかもたくさん出てくる世界観ですけど、それにしてもそれにしても、である。
そのシュウ兄さん、何をどうしてそうなったのかこの時点で世界の裏事情について色々と踏み込んで知っちゃっているんですね。なんでそんな知っちゃってるの? なにやらかしたのホント?

そして、こっそりと阿鼻叫喚の地獄絵図になりそうだった無茶苦茶を、止めていた犯罪王。この人て、実は操縦の仕方知ってたらわりとコントロールというか誘導しやすいんじゃ……。今回も竜王さまにめっちゃ誘導されてたし。黒幕として様々な謀略・策略を張り巡らして犯罪芸術を描き出す、みたいなタイプの人ではないっぽいのな、犯罪王。でも、彼の場合はだからこそたちが悪い、という事になりそうなのがなんともはや。

結果として、アルター三巨頭と呼ばれる三人が名を挙げたものの、この事件でとてつもない被害が出てしまっているし、まだこの頃は仲の良かった皇国との戦争の遠因の一つになってしまったわけですから、これを引き起こした管理AIへの不信と嫌悪はばっちりと張り付いてくれました。大賢者さまが色々と拗らせて化身絶対殺すマンに成り果てているのもわかる悪辣さなのだけれど、彼らには彼らの理由があるわけで享楽的な悪意があるわけではないにしても、それでもジャバウォックはちょっとやりすぎだったわなあ。少なくとも、レイとは絶対に相容れないんだろうな、これ。

シリーズ感想